新事業進出補助金|統合後の3つの枠と返還リスクの見方

「新しい事業を立ち上げたいが、設備投資が重すぎて踏み出せない」。「補助金を調べたら、去年と制度の名前が変わっていた」――このところ増えているご相談です。

新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支える補助金です。2026年6月からはものづくり補助金と統合され、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金のなかの新事業進出枠として運用されています。補助上限は従業員数に応じて2,500万円から7,000万円、賃上げ特例を適用する場合は最大9,000万円です。

税理士法人Light UPでは、この補助金の相談を受けたとき、補助額より先に返還条件を確認しています。賃上げの目標に届かなかった場合の返還義務が定められており、採択された数年後に影響してくる制度だからです。

この記事では、統合後の3つの枠と補助上限、新事業進出枠に課される6つの要件、新規性と新市場の判定、返還リスクの見方、そして受け取った期の税務までを、中小企業庁・中小企業基盤整備機構の資料に沿って整理します。

統合後の3つの事業枠

結論: 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3つに分かれ、新事業進出枠がかつての新事業進出補助金にあたります。

枠によって、補助率も上限も、必須になる経費区分も変わります。中小企業基盤整備機構の補助金概要では、次のように整理されています。

事業枠 対象となる取組 補助上限額 補助率 補助下限額
革新的新製品・サービス枠 革新的な新製品・新サービス開発 最大2,500万円(賃上げ特例で最大3,500万円) 中小企業者1/2(一定条件で2/3)、小規模企業・小規模事業者・再生事業者2/3 100万円
新事業進出枠 既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出 最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) 中小企業者1/2(一定条件で2/3) 750万円
グローバル枠 海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化 最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) 中小企業者2/3 750万円

(出典:中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 補助金概要」)

新事業進出枠の水準

新事業進出枠の補助上限は、従業員数によって段階が分かれます。1〜20人で2,500万円、21〜50人で4,000万円、51〜100人で5,500万円、101人以上で7,000万円。賃上げ特例を適用する場合は、それぞれ3,000万円、5,000万円、7,000万円、9,000万円に上がります。

金額の大きさに目が向きがちですが、注目すべきは補助下限が750万円という点です。補助率が2分の1なら、事業全体で1,500万円以上を動かす計画でなければ土俵に上がれません。小さく試したい会社には合わない設計です。

革新的新製品・サービス枠との線引き

同じ補助金のなかで、革新的新製品・サービス枠と新事業進出枠は目的が違います。前者は自社の技術力を活かした新製品・新サービスの開発、後者は自社にとって新しい市場への進出です。

中小企業基盤整備機構は、革新的新製品・サービス枠について、既存の製品・サービスの生産等のプロセスについて改善・向上を図る事業は補助対象外だと明記しています。単に機械を入れて生産性を上げるだけでは通らないということです。この線引きは、申請書の書き方を大きく左右します。

グローバル枠

グローバル枠は、海外への輸出体制を国内側で整える取組が対象です。補助率が3分の2と3枠のなかで最も高く、海外旅費と通訳・翻訳費がこの枠だけの対象経費に入ります。

一方で、取引先主導の事業は自発的な取組にあたらず対象外とされています。大手の依頼で海外向けラインを増設するといった話は、この枠では通りません。

ものづくり補助金との統合

結論: 中小企業新事業進出補助金は第4回公募をもって独立した制度としての募集を終え、2026年6月からものづくり補助金と統合した新しい枠組みに引き継がれました。

制度が引き継がれてきた順番
1

事業再構築補助金
第13回公募で新規の募集が終了。事務局サイトは採択済み事業者の手続き専用になっている
2

中小企業新事業進出補助金
2025年6月に第1回の受付が始まり、第4回(2026年5月19日〜6月19日)で独立した制度としての募集を終えた
3

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
2026年6月にものづくり補助金と統合。第1回は申請受付が2026年9月30日から10月30日、採択発表は2027年1月頃の予定

統合前の中小企業新事業進出補助金

統合前の中小企業新事業進出補助金は、2025年6月に第1回の申請受付が始まった比較的新しい制度でした。中小企業庁の補助金公募情報によれば、第4回公募は要領が2026年3月27日に公開され、申請受付は同年5月19日から6月19日まででした。

さらにさかのぼると、この制度自体が事業再構築補助金の後継として設けられたものです。名前が3代にわたって変わっているため、検索で出てくる情報の年度を確認しないと混乱します。

第1回公募のスケジュール

中小企業庁は、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募要領を2026年6月30日に公開しました。その後スケジュールが変更され、中小企業基盤整備機構の補助金スケジュール(2026年7月29日更新)では、公募開始が2026年6月29日、申請受付が同年9月30日から10月30日まで、採択発表は2027年1月頃の予定と示されています。

申請から採択発表まで3か月ほどかかります。設備の発注が交付決定後になることを考えると、事業に着手できるのはさらに先です。年度をまたぐ前提で資金計画を組む必要があります。

新事業進出枠の6つの要件

結論: 新事業進出枠は、付加価値額、賃上げ、事業場内最低賃金、ワークライフバランス、子育て等の職場環境整備、金融機関という6つの要件を満たす3〜5年の事業計画が求められます。

要件はどれも計画段階の宣言ではなく、事業終了後の実績で判定されます。ここが従来の設備投資系の補助金といちばん違うところです。

実績で判定される要件
01
付加価値額の年平均成長率4.0%以上
補助事業終了後3〜5年の事業計画期間で見る
02
一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上
目標値に届かない場合は補助金の返還義務があると明示されている
03
事業場内最低賃金は地域別最低賃金より30円以上高い水準
計画期間中の毎年。地域別最低賃金そのものが毎年改定される
04
体制面の3つ
一般事業主行動計画の策定と公表、子育て等に関する職場環境整備、金融機関等からの事業計画の確認

付加価値額と賃上げ

第1の要件は、補助事業終了後3〜5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの計画を作ることです。

第2の要件は賃上げです。同じ期間に、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させることが求められます。中小企業基盤整備機構は、この要件について目標値未達の場合に補助金返還義務があると明示しています。

年3.5%の賃上げを5年続けると、給与水準は2割近く上がります。人数が増えれば総額はさらに膨らみます。ここを軽く見て申請すると、あとで身動きが取れなくなります。

事業場内最低賃金の水準

第3の要件は、事業計画期間中の毎年、事業場内最低賃金が補助事業実施場所の都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であることです。これも目標値未達の場合は返還義務があるとされています。

地域別最低賃金は毎年改定されます。つまり、こちらが何もしなくても基準のほうが上がっていきます。5年間、毎年30円の上乗せを維持し続けるという意味だと理解しておく必要があります。

ワークライフバランスと金融機関

第4の要件は、次世代育成支援対策推進法にもとづく一般事業主行動計画を策定し、両立支援のひろばで公表していることです。第5に、子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組みを行うこと。第6に、補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、その金融機関等から事業計画の確認を受けていることが求められます。

行動計画の策定と公表は、届出から公表まで日数がかかります。金融機関の確認も、担当者に話を通すところから始めると1か月では終わりません。締切から逆算すると、この2つを先に動かすのが現実的です。

新規性と新市場の判定

結論: 新事業進出枠の新規性は、日本初や世界初という水準ではなく、申請する会社にとって新しいかどうかで判定されます。

その取組に新規性があるとされるか
自社にとって新しい市場・製品
世の中における新規性は求められない。既存事業で対象になっていなかったニーズ・属性の顧客層に向けるものであればよい
過去に製造していた製品を作り直す
新たな製品等を製造しているとはいえず対象外。撤退した事業の再開はこの枠に合わない
すでに走り始めている事業
申請予定の公募回の公募開始日以降に初めて取り組む事業が、新規性を有するものとみなされる

自社にとっての新規性

中小企業基盤整備機構は、ここでの新規性について、補助事業に取り組む中小企業等にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではないと説明しています。新たな市場についても、その会社の既存事業で対象になっていなかったニーズ・属性を持つ顧客層を対象とする市場を指すとされています。

この点を誤解して、特許級の新技術が要ると思い込んで諦めてしまう会社があります。建設業の会社が一般消費者向けのリフォーム事業を始める、といった話でも土俵には乗ります。

過去に扱っていた製品の扱い

ただし、過去に製造していた製品を作り直すことは、新たな製品等を製造しているとはいえず対象外とされています。かつて手がけていて撤退した事業を再開する計画は、この枠には合いません。

また、申請予定の公募回の公募開始日以降に初めて取り組んでいる事業について新規性を有するものとみなす、という整理も示されています。すでに走り始めている事業を後から補助金に乗せる形は取りにくいということです。

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補助対象になる経費

結論: 新事業進出枠では機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必ず補助対象経費に含まれている必要があり、建物費が使えるのはこの枠とグローバル枠だけです。

建物費が入る意味

対象経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費です。このうち建物費は、新事業進出枠とグローバル枠でのみ対象になります。

建物が対象に入るかどうかは、計画の作り方をまるごと変えます。新業態の店舗を建てる、加工場を増築するといった投資が視野に入るからです。革新的新製品・サービス枠には建物費がないため、同じ会社でもどちらで出すかで組み立てが変わります。

どちらの枠で出すかで、計画の組み立てが変わる
新事業進出枠
建物費が対象になる(グローバル枠とこの枠だけ)
機械装置・システム構築費か建物費のどちらかが必ず要る
補助下限750万円・上限は従業員数に応じて2,500万〜7,000万円
革新的新製品・サービス枠
建物費は対象外
既存の製品・サービスの生産プロセスの改善・向上を図る事業は対象外
補助下限100万円・上限2,500万円

必須になる経費区分

新事業進出枠では、機械装置・システム構築費か建物費のどちらかが必ず入っていなければなりません。広告宣伝費と外注費だけの計画は、金額が下限を超えていても成立しません。

経費区分ごとにも上限が設けられています。広告宣伝・販売促進費だけを大きく積むといった組み方はできない仕組みです。詳細は公募回ごとの公募要領で確認する流れになります。

採択後に残る返還リスク

結論: 新事業進出枠は賃上げと事業場内最低賃金の要件が未達の場合に返還義務が生じる設計のため、採択後3〜5年にわたって義務が続きます。

採択後3〜5年にわたって続く義務
01
賃上げの維持
一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上。賃上げ特例を使うなら6.0%以上
02
事業場内最低賃金の維持
地域別最低賃金より30円以上高い水準。特例を使うなら50円以上
03
毎年の実績報告
計画期間中は実績を報告し続ける。未達の場合は返還義務があるとされている
04
社内での引き継ぎ
5年は経営者や担当者が代わる長さ。計画の写しと年次の判定基準を、分かる場所に残しておく

賃上げ未達での返還

中小企業基盤整備機構は、賃上げ要件と事業場内最賃水準要件のそれぞれに、目標値未達の場合は補助金返還義務ありと注記しています。これは努力目標ではなく、条件です。

補助金を受け取ったあとに業績が伸びず、賃上げの原資が作れないという場面は現実に起こります。そのとき、賃上げを実行すれば資金繰りが苦しくなり、実行しなければ返還を求められる、という板挟みになります。「補助金は通ったのに、そこから毎年しんどい」というお声を聞くのは、この構造があるからです。

特例を使うときの上乗せと、事業計画期間の重み

賃上げ特例を適用すると補助上限が上がりますが、条件も重くなります。一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、通常の3.5%にさらに2.5%を加えた合計6.0%以上、事業場内最低賃金を通常の30円にさらに20円を加えた合計50円以上とすることが求められ、これも要件未達の場合は返還義務ありとされています。

上限が2,500万円から3,000万円に上がる代わりに、5年間の人件費の増加を追加で背負う形です。差額の500万円と、賃上げ幅の上乗せぶんの人件費を並べて比べる作業が要ります。

事業計画期間は3〜5年です。この間、毎年の実績を報告し続けます。

5年というのは、経営者が代わることもある長さです。申請時の担当者が辞めて、要件の中身を誰も把握していないという状態は避けたいところです。計画の写しと年次の判定基準を、社内の分かる場所に残しておく運用が現実的です。

補助金を受け取った期の税務

結論: 建物や機械装置は固定資産にあたるため、新事業進出枠の補助金は圧縮記帳の対象になり得ます。

建物・機械の圧縮記帳

e-Govで公開されている法人税法第42条第1項は、固定資産の取得又は改良に充てるための国庫補助金等について、その返還を要しないことが当該事業年度終了の時までに確定した場合に限って圧縮記帳を認めています。同条第3項では、確定申告書に損金算入に関する明細の記載がある場合に限り適用するとも定められています。

新事業進出枠は建物費と機械装置費が中心ですから、この方法が使える場面が多い補助金です。補助額が数千万円になると、圧縮記帳を使うかどうかで納税額が大きく変わります。

なお、賃上げ未達で返還を求められる可能性があることと、返還不要が確定したかどうかは別の話です。国税庁の法人税基本通達10-2-1は、次のような一般的条件が付されていることは判定に関係がないとしています。

交付の条件に違反した場合には返還しなければならないこと。

そのうえで同通達は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第15条の規定により額が確定し、その旨の通知を受けた国庫補助金等は返還を要しないことが確定した国庫補助金等に該当する、と注記しています。判断の基準になるのは額の確定通知です。

受け取った補助金を、その期にどう扱うか
期末までに返還不要が確定している
圧縮記帳を検討できる。建物・機械装置が中心のこの枠は使える場面が多い。確定申告書に損金算入の明細を記載することが条件
期末までに確定していない
法人税法第43条の特別勘定として損金に算入し、確定した期に取り崩す。年度をまたぐ大型投資では実際に起こる
確定したかどうかの見分け
基準になるのは額の確定通知。交付の条件に違反したら返還するという一般的な条件が付いていることは、判定に関係しない

期をまたぐときの特別勘定

交付は受けたものの、返還を要しないことが期末までに確定していない場合には、法人税法第43条の特別勘定という方法があります。その事業年度の損金に算入しておき、確定した期に取り崩す形です。

補助事業が年度をまたぐ大型の投資では、この場面が実際に出てきます。決算月と交付決定・額の確定の時期がどう並ぶかで処理が変わりますので、個別の判断は税理士にご相談ください。

申請前に確認する3点

結論: 申請前に確かめるべきは、金融機関との事前調整、補助下限750万円に届く事業規模、そして5年間の賃上げに耐える収益計画の3つです。

金融機関との事前調整

補助金は後払いです。7,000万円の補助でも、事業期間中は自社が立て替えます。金融機関からの資金提供を受ける場合は事業計画の確認を受けることが要件にもなっており、いずれにせよ早い段階で相談が必要です。

融資の話を後回しにして、交付決定後に資金が組めないと分かる例があります。順番としては、事業計画の骨格ができた時点で金融機関に持ち込むのが自然です。

補助下限750万円の壁

新事業進出枠とグローバル枠の補助下限は750万円です。補助率2分の1で計算すると、補助対象経費で1,500万円以上の事業でなければ申請できません。

規模が届かない場合は、革新的新製品・サービス枠なら下限100万円ですし、設備の中身によっては省力化投資補助金や持続化補助金のほうが合います。無理に規模を膨らませて申請するより、制度を選び直すほうが安全です。

よくある相談事例|業種別の受け止め方

製造業|下請けから自社ブランドへ

長年、部品の受託加工をしてきた会社からのご相談でした。取引先が減っていくなかで、自社ブランドの製品を一般消費者に売りたいという構想です。

最初の面談では、新しい加工機の導入だけが話題に上がっていました。ただ、それだと既存事業のプロセス改善に見えてしまい、新事業進出枠の説明が立ちません。そこで、販売先が法人から個人へ変わる点、必要になる小ロット対応と包装工程、広告のかけ方を計画の中心に据え直しました。設備は同じでも、位置づけを変えると通り方が変わります。

小売業|店舗を建てて業態を変える

既存の物販店を続けながら、飲食を組み合わせた新業態を別の場所で立ち上げたいという相談です。建物の新築が必要でした。

このケースで先に確認したのは、資金繰りと賃上げ要件の2つでした。建物費が対象に入るのは新事業進出枠の強みですが、投資額が大きいぶん立て替え期間も長くなります。数字を並べると、賃上げの原資を作れるのが3年目以降になる見込みでした。最終的には、初年度の人件費計画を控えめに置き直し、金融機関と返済据置の相談を並行させています。

よくある質問

事業再構築補助金とは違うの?
別の制度です。事業再構築補助金は第13回公募で終了し、その後継として中小企業新事業進出補助金が設けられ、さらに2026年6月からものづくり補助金と統合されて新事業進出・ものづくり商業サービス補助金になりました。制度の系譜としてはつながっていますが、要件も補助上限も変わっています。事業再構築補助金の情報をそのまま当てはめないほうが安全です。
補助金がもらえるのはいつ?
事業が終わって実績報告を出し、検査を経て額が確定したあとです。採択の通知を受けた時点でも、交付決定を受けた時点でも入金はありません。数千万円規模の投資を全額立て替える期間があるということになります。金融機関との調整が要件に入っているのは、この構造があるからです。
賃上げができなかったら全額返す?
返還の範囲は公募要領で定められており、未達の程度によって扱いが変わります。中小企業基盤整備機構は賃上げ要件と事業場内最賃水準要件について目標値未達の場合は補助金返還義務ありと示していますので、返還が生じる前提で計画を作る必要があります。具体的な返還額の考え方は公募要領を確認するのが確実です。
個人事業主でも申請できる?
中小企業者等が対象ですので、個人事業主も含まれます。ただし補助下限が750万円ある枠では、事業規模の面で現実的かどうかを先に確かめる必要があります。規模が合わない場合は、下限100万円の革新的新製品・サービス枠や、他の補助金を検討するほうが筋が通ります。

まとめ:補助額より返還条件から見よう

新事業進出補助金は、統合を経て新事業進出枠として続いている制度です。ここまでの要点を整理します。

  • 3つの枠は革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠
  • 新事業進出枠は上限最大7,000万円、賃上げ特例で最大9,000万円、補助下限750万円
  • 要件は付加価値額4.0%、賃上げ3.5%、事業場内最賃プラス30円ほか計6つ
  • 賃上げと事業場内最賃は未達で返還義務がある
  • 建物費が使えるのは新事業進出枠とグローバル枠だけ
  • 建物・機械は固定資産なので圧縮記帳の対象になり得る

本文で書かなかったことを1つ挙げるなら、この補助金は申請しないという判断も立派な結論だという点です。5年間の賃上げに自信が持てないなら、補助率の低い制度や融資で組んだほうが、結果として会社は軽く動けます。

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出典

  • 中小企業基盤整備機構「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 補助金概要」
  • 中小企業基盤整備機構「最新(2026年度)小規模事業者・中小企業向け補助金スケジュール」(2026年7月29日更新)
  • 中小企業庁「補助金公募情報」(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回/新事業進出補助金 第4回)
  • 国税庁「法人税基本通達 第10章第2節 国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳」10-2-1
  • e-Gov法令検索「法人税法」第42条・第43条

【メタディスクリプション】
新事業進出補助金の統合後の3つの枠と補助上限、6つの要件、新規性の判定、賃上げ未達の返還リスク、建物と機械の圧縮記帳までを一次情報に沿って整理します。

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