追徴課税の内訳|加算税と延滞税の計算と負担
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
「追徴と言われましたが、結局いくら払うことになるんでしょうか」。「本税のほかに、どれくらい上乗せされますか」――金額の見通しが立たないことが、いちばん落ち着かない部分です。
追徴課税という名前の税金はありません。実際に納めるのは、①本来納めるべきだった本税、②申告が正しくなかったことに対する加算税、③納付が遅れた期間に対する延滞税の3つです。加算税は原則10パーセントから、仮装隠蔽があれば35パーセントまで幅があります。
税理士法人Light UPでは、指摘の内容が固まった段階で、この3つを分けて試算します。合計だけを見ていると、どこを争えばよいのか、どこは受け入れるほかないのかが見えなくなるためです。
この記事では、加算税4種類の割合と計算、加重される場面、延滞税の割合、実際の負担がどうなるか、そして納付が難しいときの選択肢までを、財務省と国税庁の資料に沿って整理します。
追徴課税は3つの合計
結論: 追徴課税として納めるものは、本税、加算税、延滞税の3つに分かれ、それぞれ根拠となる条文も計算方法も違います。
本税、加算税、延滞税の3つ
否認された経費や、計上漏れの売上に対応する税額です。ここは、指摘が正しければ納めるほかありません。
過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4種類があります。どれが課されるかは、申告の状態と、仮装隠蔽があったかどうかで決まります。
本来の納期限から実際に納めるまでの日数で計算されます。利息に近い性質のものです。
加算税4種類の整理
結論: 加算税は、期限内申告があったか、申告そのものがなかったか、源泉徴収の納付が遅れたか、仮装隠蔽があったかで4つに分かれます。
4種類の使い分け、重加算税は置き換わるもの、正当な理由がある場合
| 種類 | 課される場面 | 原則の割合 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 期限内申告のあと、修正申告や更正があった場合 | 10パーセント(一定額を超える部分は5パーセント上乗せ) |
| 無申告加算税 | 期限後申告や決定があった場合 | 15・20・30パーセント |
| 不納付加算税 | 源泉徴収した国税を法定納期限までに納めなかった場合 | 10パーセント |
| 重加算税 | 仮装または隠蔽があった場合 | 35パーセント(無申告は40パーセント) |
財務省「加算税制度の概要」に示された区分です。
重加算税は、過少申告加算税や無申告加算税に上乗せされるのではなく、仮装隠蔽があった部分について置き換わります。二重に課されるわけではありません。
過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税には、正当な理由があると認められる場合の不適用が定められています。ただし、資金がなかった、忙しかったという事情は、通常ここに含まれません。
過少申告加算税の計算
結論: 過少申告加算税は、追加で納める税額の10パーセントが基準となります。追加で納める税額のうち、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分に対して、5パーセントが上乗せされます。
2段階の割合、調査通知の前後で変わること、気づいた時点が分かれ目
基準は10パーセントで、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えた部分だけ、5パーセントが上乗せされて15パーセントになります。上乗せの対象は超えた部分に限られ、追加で納める税額の全体には及びません。国税通則法第65条第2項の定めです。
財務省「加算税制度の概要」によれば、調査通知を受けたあと、更正があるべきことを予知する前に修正申告をした場合は5パーセント(超過部分はさらに5パーセント上乗せ)です。調査通知の前に自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税は課されません。
同じ誤りでも、いつ直すかで負担が変わります。誤りに心当たりがあるなら、通知を受ける前に手を打つほうが軽く済みます。
無申告加算税の計算
結論: 無申告加算税は、納付すべき税額のうち50万円以下が15パーセント、50万円超300万円以下が20パーセント、300万円超が30パーセントです。
300万円超の区分、期限後1か月以内、調査通知前の自主申告
財務省の資料では、300万円超の30パーセントについて、高額無申告を発生させたことに納税者の責めに帰すべき事由がない場合を除く、とされています。
法定申告期限から1か月以内にされた一定の期限後申告については、無申告加算税が適用されないとされています。期限内申告をする意思があったと認められる場合の措置です。
自ら期限後申告をした場合は5パーセントです。調査通知後・更正の予知前は10・15・25パーセントに分かれます。
重加算税が課される場面
結論: 重加算税は、事実の仮装または隠蔽があった場合に課されるもので、計算誤りや解釈の相違では課されません。
仮装隠蔽に当たる行為、単純な誤りとの線引き、経費も落ちにくくなること
二重帳簿の作成、売上伝票の破棄、請求書の改ざん、架空の外注先への支払い。国税庁の令和6事務年度の資料にも、売上代金を代表者の個人口座に入金させて除外した事案などが掲載されています。
期ずれ、区分の誤り、通達の解釈の違い。これらは過少申告加算税の領域です。事実を作り替えたかどうかが分かれ目になります。
e-Gov法令検索の法人税法第55条第3項は、隠蔽仮装行為に基づく申告について、帳簿書類等によって取引が行われたことや金額が明らかでない原価・費用・損失は、損金の額に算入しないと定めています。加算税だけの問題では終わりません。
加重される4つの措置
結論: 過去の指摘の繰り返し、連年の無申告、帳簿の不備、電子データの仮装隠蔽があると、加算税の割合がさらに上乗せされます。
4つの加重措置、帳簿の加重、電子データへの加重
| 措置 | 内容 | 加重 |
|---|---|---|
| 短期累犯加重 | 過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある | 10パーセント |
| 連年無申告加重 | 前年分と前々年分についても無申告加算税等を課された | 10パーセント |
| 不記帳加重 | 売上の帳簿の不提出、または記載が2分の1以上不足 | 10パーセント |
| 不記帳加重(軽度) | 売上の記載が3分の1以上2分の1未満不足 | 5パーセント |
財務省「加算税制度の概要」による整理です。
国税庁「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」も、令和5年分の確定申告に対する修正申告等から、帳簿を保存していなかった場合や記載が不十分だった場合に、加算税の割合に5パーセントまたは10パーセントが加重されると説明しています。
スキャナ保存または電子取引に係るデータについて仮装隠蔽があった場合、重加算税に10パーセントが加算されます。
延滞税の計算
結論: 延滞税は、法定納期限の翌日から納付の日までの日数で計算され、令和8年は年2.8パーセントと年9.1パーセントの2段階です。
2段階の割合と、計算式の考え方
国税庁「延滞税の割合」によれば、令和8年1月1日から令和8年12月31日までは、納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8パーセント、それ以降が年9.1パーセントです。
原則は年7.3パーセントと年14.6パーセントですが、特例基準割合により、この水準に下がっています。
本税に割合を掛け、日数を365で割ります。年単位でまとめて見るものと思われがちですが、日割りです。
割合は年によって変わり、納める日まで増え続ける
令和4年から令和7年までは、いずれも年2.4パーセントと年8.7パーセントでした。令和8年から上がっています。過去の期を計算するときは、その年ごとの割合を当てはめます。
延滞税は、納付した日で計算が止まります。逆にいえば、納付するまで日数が積み上がります。修正申告書を出したあと、資金の準備で数か月空けば、その分だけ増えるということです。
1年を過ぎた分は計算期間から除かれる
数年前の期を修正した場合でも、延滞税の計算期間には除かれる部分があります。国税通則法第61条第1項は、期限内申告をしている国税について、法定申告期限から1年を経過した日以後に修正申告書が提出され、または更正通知書が発せられた場合、法定申告期限から1年を経過した日の翌日から修正申告書の提出日(更正通知書の発付日)までの期間を、延滞税の計算期間から除くと定めています。除算期間と呼ばれます。
期限後申告をしていた場合は、その提出日の翌日から起算して1年を経過した日の翌日から、修正申告書の提出日または更正通知書の発付日までが除かれます。
ただし、偽りその他不正の行為により税を免れていた場合、つまり重加算税の対象となるような場合には、この除算は適用されません。仮装隠蔽があると、加算税の割合が上がるだけでなく、延滞税も遡った年数分がそのまま積み上がります。
本税を先に一部だけ納めることもできます。全額そろうまで待つより、納められる分から入れるほうが、結果として負担は小さくなります。
実際にいくらになるのか
結論: 本税100万円を3年前の期について修正した場合、加算税10万円前後に加えて延滞税が数万円加わり、合計で115万円前後になります。
説明のための計算例、仮装隠蔽がある場合、税目が分かれると合計が増える
本税100万円、過少申告加算税10パーセントで10万円。延滞税は、期間と年ごとの割合によりますが、除算期間があるため3年分まるごとにはならず、おおむね数万円の水準です。合計は115万円前後になります。
これは仕組みを説明するための概算で、実際の金額は納期限や期間、税目によって変わります。
同じ本税100万円でも、重加算税35パーセントなら35万円です。加えて延滞税がかかります。減らそうとした税額より、失う金額のほうが大きくなる構造です。
法人税の否認は、消費税や源泉所得税にも波及します。指摘された所得の金額だけを見ていると、最終的な負担を読み違えます。
源泉所得税の不納付加算税
結論: 源泉徴収した所得税を法定納期限までに納めなかった場合、不納付加算税として原則10パーセントが課されます。
割合は2段階、1か月以内の納付、調査で後から生じること
財務省「加算税制度の概要」によれば、不納付加算税は原則10パーセント、納税の告知を受ける前に自主的に納付した場合は5パーセントです。仮装隠蔽があれば35パーセントの重加算税に置き換わります。
法定納期限から1か月以内にされた一定の期限後納付については、不納付加算税が適用されないとされています。直近1年間、納付の遅れがないことなどが条件です。
「源泉はきちんと毎月納めています」という会社でも、後から生じることがあります。会社の支出が役員賞与と認定された場合、その時点で源泉徴収漏れが確定するためです。
国税庁の令和6事務年度の資料では、源泉所得税の実地調査は6万4千件、追徴税額は404億円、1件当たり63万円でした。
地方税にも同じことが起きる
結論: 法人税の所得が修正されると、法人住民税と法人事業税も連動して増え、延滞金や加算金が別に生じます。
国税だけでは終わらない。名前が違うだけで性質は同じ
法人税の所得金額は、地方税の課税標準の土台です。国税で所得が増えれば、地方税も自動的に増えます。
国税で指摘を受けると、地方税にも同じ調整が入ります。所得の金額が動けば、住民税と事業税の計算も動くためです。
地方税では、延滞税ではなく延滞金、加算税ではなく加算金と呼びます。過少申告加算金、不申告加算金、重加算金という区分です。
こちらも損金にならない。資金の見込みは合計で立てる
法人税法第55条第4項は、地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金についても損金の額に算入しないとしています。
扱いも国税と同じで、費用にはなりません。合計でいくらになるかを見ておく必要があります。
国税の試算だけを見て資金を用意し、あとから地方税の通知が届いて足りなくなる。よくある行き違いです。合計で見込んでおくことになります。
加算税が課されない正当な理由
結論: 過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税には、正当な理由があると認められる場合の不適用が定められていますが、範囲は限定的です。
認められにくいもの、検討の余地があるもの、主張するなら記録が要る
資金繰りが苦しかった、忙しくて手が回らなかった、担当者が退職した。いずれも通常は正当な理由に当たりません。
災害その他やむを得ない事情、税務署の誤った指導によったと認められる場合など、納税者の責めに帰することができない事情に限られます。
「言った、言わない」では通りません。いつ、誰に、どのような照会をして、どう回答されたのか。記録が残っていて初めて検討の対象になります。
経理処理と決算への影響
結論: 加算税と延滞税は損金に算入されないため、納めても税負担の軽減にはつながりません。
条文の定め、会計上は費用でも税務上は別、過年度の修正の影響
法人税法第55条第4項は、「国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税」などの額は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しないと定めています。
帳簿には租税公課などとして計上しますが、申告書で加算調整します。処理を忘れると、翌期以降に別の誤りとして残ります。
修正申告により過去の所得が変われば、その期の税額も変わります。金融機関に提出済みの決算書との差異について、説明を求められることがあります。
納付が難しいときの選択肢
結論: 一括で納められない場合には、換価の猶予や納税の猶予といった制度があり、納期限を過ぎる前の相談が前提になります。
修正申告書を出した日が納期限。猶予の要件と、放置がいちばん重いこと
修正申告の場合、提出した日が納期限です。提出のタイミングと資金の手当ては、あわせて考える必要があります。
事業の継続が困難になるおそれがあること、納税について誠実な意思があることなど、要件と提出書類が定められています。自動的に認められるものではありません。
督促のあとは、差押えの手続に進みます。延滞税も日数分だけ増え続けます。納められない見込みが立った時点で相談するほうが、選べる手が残ります。
連絡を取らないまま期限を過ぎるのが、最も選択肢を狭めます。金額が用意できない段階でも、状況を伝えておくことに意味があります。
負担を軽くできる場面
結論: 加算税は、調査の通知を受ける前に自主的に修正申告や期限後申告をした場合に軽くなり、通知後は割合が上がります。
通知前の自主的な修正、通知後でも予知前なら軽減、争える論点は分ける
調査通知の前に修正申告をすれば、過少申告加算税は課されません。期限後申告の場合も5パーセントにとどまります。
調査通知を受けたあとでも、更正があるべきことを予知する前であれば、割合は原則より低く設定されています。
指摘のすべてを受け入れる必要はありません。事実関係に争いがないもの、評価が分かれるもの、明らかに誤解によるもの。分けて整理すると、どこを説明すべきかが見えます。
受け入れる前に確認すること
結論: 指摘を受け入れるかどうかは、事実関係に争いがあるか、評価が分かれるだけかを切り分けてから決めます。
事実と評価を分ける。修正申告に応じると閉じる道がある
支払いがあったかどうかは事実の問題です。その支払いが交際費か会議費かは評価の問題です。前者に争いがなくても、後者では見解が分かれることがあります。
「全部認めるしかないと思っていました」というご相談は少なくありません。指摘は一括で受けるものではなく、項目ごとに判断できます。
修正申告書を提出すると、その内容について不服申立てはできなくなります。納得できない項目が残るなら、更正処分を受けて争うという選択肢があります。
争う手続の流れと、費用と時間も判断材料になること
- 再調査の請求(処分をした税務署長等に対して行う)
- 審査請求(国税不服審判所に対して行う)
- 訴訟(審査請求の裁決を経てから)
いずれも期限があります。処分の通知を受け取ったら、まず期限を確認することです。
争えば時間と費用がかかります。金額と論点の重さを見て、どこまで進めるかを決めることになります。天秤にかけるのは金額だけではありません。翌期以降も同じ処理を続けるのかどうか、という点も含めて考えます。
よくある相談事例|負担の内訳が分かれた3つの場面
本税より延滞税に驚いた製造業/通知前に自主的に直した小売業
5年前の期まで遡って修正することになり、除算期間があるとはいえ、各期に延滞税がかかって合計が膨らみました。合計を見てから、内訳を分けて説明したところ、納得のうえで納付の段取りに入っています。
内訳を知らずに合計だけを見ると、驚きが大きくなります。
過去の消費税の区分に誤りがあると気づいた段階で、調査の連絡が来る前に修正申告をしました。過少申告加算税は課されず、延滞税のみの負担で収まっています。
重加算税を回避できた建設業/分割で納めることになった飲食業
当初は仮装隠蔽を疑われましたが、記録の不備であり事実を作り替えたものではないことを、資料と経緯の説明で整理しました。過少申告加算税として処理されています。
重い側の話と、納め方の話。どちらも相談として多い場面です。
一括の納付が難しく、納期限の前に猶予の相談を行いました。要件の確認と書類の準備に時間がかかるため、早めに動くことが前提になります。
よくある質問
追徴課税は経費になりますか?
加算税と延滞税は両方かかりますか?
自分から修正すれば加算税はかかりませんか?
重加算税は交渉で下げられますか?
分割で納めることはできますか?
まとめ:合計ではなく、内訳で見る
追徴課税は、本税・加算税・延滞税の3つの合計です。加算税は、過少申告10パーセント(一定額を超える部分は5パーセント上乗せ)、無申告15・20・30パーセント、仮装隠蔽があれば35パーセント。延滞税は令和8年で年2.8パーセントと年9.1パーセントの2段階です。
過去5年以内の繰り返し、連年の無申告、帳簿の不備には、それぞれ加重措置があります。負担が跳ね上がるのは、一度の指摘ではなく、繰り返しと記録の欠落によるものです。
軽くできる場面は限られています。調査通知の前に自ら直すこと。これがいちばん大きく、通知後は割合が上がります。
そして、加算税も延滞税も損金にはなりません。納めても税務上の効果はない、という前提で資金を見込んでおくことになります。
指摘の内容を受けて負担の見通しを立てたい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。本税・加算税・延滞税に分けて試算し、争う余地のある論点があるかどうかも一緒に確認します。
出典
- 財務省「加算税制度の概要」
- 国税庁「延滞税の割合」(令和8年1月1日から令和8年12月31日までの割合)
- 国税庁「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」(タックスアンサー)
- 国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」(令和7年12月)
- e-Gov法令検索「国税通則法」第61条・第65条・第66条・第67条・第68条
- e-Gov法令検索「法人税法」第55条





