年末調整とは|会社が行う手続きと1年の流れ

「毎年11月になると書類を配っていますが、あれが何のためのものか説明できません」。「従業員に還付があると言われても、いつ返るのか答えられなくて」――そんなお声を、この時期になるとよくいただきます。

結論からお伝えすると、年末調整とは、毎月の給与から概算で差し引いてきた所得税を、1年間の給与が確定した時点で正しい税額に計算し直し、差額を精算する手続きです。多くの人は納めすぎになっているため、12月または1月の給与で還付されます。

税理士法人Light UPでは、年末調整は12月の作業ではなく10月から始まる作業だと考えています。書類の回収が遅れると、12月の給与計算に間に合わず、1月の提出物まで連鎖して押します。

この記事では、対象になる人、集める書類、計算の順序、そして令和7年度改正で新しく増えた確認事項までを、実際に代行している立場から整理します。

年末調整は1年分の所得税を精算する手続き

結論: 年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収した所得税の合計額と、その人が1年間に納めるべき本来の税額との差額を精算する手続きです。会社が従業員に代わって行います。

毎月の天引きは概算にすぎない

毎月の給与から差し引く所得税は、源泉徴収税額表を引いて求めた概算です。その月の給与が1年続くと仮定した金額のため、実際の年収とはずれます。

国税庁のタックスアンサーNo.2662は、この手続きの目的を、1年間に源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額と1年間に納めるべき額を一致させる必要があるためだと説明しています。

差が生まれる4つの理由。多くの人は還付になる

ずれる原因ははっきりしています。

  • 賞与や残業代で月ごとの給与額が動く
  • 年の途中で扶養親族が増減する
  • 生命保険料控除・地震保険料控除は年末にならないと金額が確定しない
  • 住宅ローン控除は年末の借入残高で決まる

毎月の源泉徴収が仮払い、年末調整が本清算という関係です。健康診断でいえば、毎月の体重測定に対する年1回の精密検査に近いものだと考えてください。

税額表は、扶養親族が年の途中で増えることや各種控除の申告を織り込んでいません。そのため、実際には納めすぎの状態になっている人が多く、その分が還付されます。

対象になる人とならない人

結論: 年末調整の対象は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している人です。給与の支払額が2,000万円を超える人は対象になりません。

対象になる人

国税庁のタックスアンサーNo.2662は「年末調整の対象となる人は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している人です」としています。申告書を出しているということは、源泉徴収税額表の甲欄で計算されている人ということです。

12月に在籍している人が基本ですが、年の途中でも次に当たる人は対象になります。

対象になる人 対象にならない人
12月まで在籍している人 給与の支払額が2,000万円を超える人
年の途中で死亡により退職した人 扶養控除等申告書を提出していない人(乙欄)
12月に支給される給与を受けて退職した人 年の途中で退職し、他社へ再就職する人
海外転勤で非居住者になった人 日雇いなど丙欄で計算している人
心身の障害により退職し、再就職の見込みがない人 災害減免法により徴収猶予を受けた人

掛け持ちの人の扱い

扶養控除等申告書は1か所にしか提出できません。2社から給与を受けている人は、申告書を出した主たる勤務先だけで年末調整を行い、もう一方は乙欄のまま精算しません。

本人は、両方の源泉徴収票を持って確定申告をすることになります。この説明を会社からしておくと、翌年に「なぜ引かれすぎているのか」という問い合わせが減ります。

年末調整は10月から始まる

結論: 年末調整の実務は、10月下旬から11月上旬の書類配付から始まり、翌年1月31日の法定調書提出まで、およそ3か月にわたって続きます。

時期 やること
10月下旬〜11月上旬 従業員へ申告書と控除証明書の提出を案内
11月中 書類を回収し、記載内容と添付書類を点検
11月下旬〜12月上旬 給与総額を確定させ、税額を計算
12月または1月の給与 過不足額を還付または徴収
翌年1月10日または20日 源泉所得税の納付
翌年1月31日 源泉徴収票の交付・法定調書合計表・給与支払報告書の提出

12月の給与計算には締め日があります。書類の回収が12月に食い込むと、計算が間に合わず1月の給与での精算に回ります。そうなると1月は、精算・納付・3種類の提出物が同じ月に重なります。

11月中に回収を終える。ここが実務上のいちばんの分かれ目です。

生命保険料の控除証明書は10月頃に届きますが、紛失して再発行を依頼すると2週間ほどかかります。案内の段階で、証明書が手元にあるかを確認してもらうと、後半の遅れが減ります。

従業員から集める申告書は4種類

結論: 年末調整で回収する主な申告書は、扶養控除等申告書、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書の4つです。

4種類の申告書と、そこで拾うもの
01
扶養控除等申告書
扶養親族の氏名・続柄・所得の見込額。年の途中で子が生まれた、親を扶養に入れた、といった変更をここで拾う
02
基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除
4つが1枚にまとまった様式。本人の合計所得金額の見積額と、配偶者や特定親族の所得をここで拾う
03
保険料控除申告書
生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金。子の国民年金を親が払っている分は申告漏れが起きやすい
04
住宅借入金等特別控除申告書
初年度は本人が確定申告、2年目以降は年末調整で処理できる。税務署の証明書と金融機関の残高証明書の2つが要る

扶養控除等申告書と、基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除の申告書

その年の最初の給与を支払う日の前日までに提出を受けるもので、翌年分は年末調整とあわせて回収するのが一般的です。扶養親族の氏名・続柄・所得の見込額を記載します。

年の途中で子どもが生まれた、親を扶養に入れた、といった変更はこの申告書で拾います。

4つの申告書が1枚にまとまった様式です。本人の合計所得金額の見積額、配偶者の所得、19歳以上23歳未満の特定親族の所得、23歳未満の扶養親族がいる場合の所得金額調整控除などを記載します。

保険料控除申告書と、住宅借入金等特別控除申告書

生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の控除を受けるための申告書です。控除証明書の添付が必要になります。

国民年金保険料や、子どもの国民年金を親が払っている場合の社会保険料控除は、ここで拾います。申告漏れが起きやすい項目です。

住宅ローン控除は、初年度だけ本人が確定申告をし、2年目以降は年末調整で処理できます。税務署から送られてくる証明書と、金融機関の残高証明書の2つが必要です。

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2年続けての改正で確認する項目が増えた

結論: 令和7年度改正で基礎控除と給与所得控除が見直され特定親族特別控除が創設され、令和8年度改正でさらに控除額と所得要件が引き上げられました。令和8年度改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。

扶養の範囲が2段階で広がった

国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」による、扶養親族等の所得要件の変遷は次のとおりです。かっこ内は収入が給与だけの場合の収入金額です。

区分 改正前 令和7年度改正後 令和8年度改正後
扶養親族・同一生計配偶者 48万円以下 58万円以下(123万円以下) 62万円以下(136万円以下)
勤労学生 75万円以下 85万円以下(150万円以下) 89万円以下(163万円以下)

これまで扶養から外れていた家族が、改正後は扶養に戻る場合があります。前年と同じ内容で提出されてきた申告書をそのまま処理すると、この変化を拾い損ねます。

国税庁のQ&Aは、この改正で新たに扶養控除等の対象になった親族等を書くときの記載方法として、扶養控除等申告書の「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載する扱いを示しています。

特定親族特別控除が加わった

19歳以上23歳未満の親族について、合計所得金額が一定の範囲であれば63万円を上限に控除できる制度です。令和8年分の所得要件は62万円超123万円以下(収入が給与だけなら136万円超197万円以下)になりました。大学生の子がアルバイトで一定額を超えて稼いだ場合に、親の側で使えます。

適用を受けるには、従業員から給与所得者の特定親族特別控除申告書の提出を受ける必要があります。該当しそうな年齢の子がいる従業員には、個別に案内しておくのが安全です。

給与所得控除も2段階で上がり、令和8年11月までの源泉徴収は変えない

給与所得控除の最低保障額は、55万円から65万円(令和7年度改正)、さらに74万円(令和8年度改正)へ引き上げられました。国税庁の同じ資料は、後者を「給与所得控除について、65万円の最低保障額が74万円に引き上げられました」と示しています。

パート収入がある配偶者や子の所得計算にも影響します。基礎控除の本則も58万円から62万円へ上がっており、年末調整の税額計算に使う表そのものが改正されています。

令和8年度改正の施行は12月1日です。11月までに支払う給与の源泉徴収に変更はなく、源泉徴収税額表の改正が適用されるのは令和9年1月1日以後に支払う給与からです。

令和8年12月の年末調整で、改正後の控除額を使って1年分の税額を計算し、それまで徴収してきた金額と精算します。

計算は5つの段階を順に進む

結論: 年末調整の計算は、給与総額の集計、給与所得控除後の金額の算出、所得控除の差引き、税率の適用、住宅ローン控除の差引きという順に進みます。

年税額にたどり着くまでの5段
1

給与総額を確定させる
1月1日から12月31日までに支払うべきことが確定した給与と賞与。12月末締め・翌年1月払いは翌年分
2

給与所得控除後の金額を求める
給与所得控除後の給与等の金額の表に当てはめる。所得金額調整控除があればここで引く
3

所得控除を差し引く
基礎控除・配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除・社会保険料控除など。申告書と証明書がそのまま反映される
4

税率を当てはめる
所得控除後の金額(1,000円未満切捨て)に税率を掛ける
5

住宅ローン控除を引き、2.1%を上乗せする
住宅借入金等特別控除を差し引いたうえで、復興特別所得税を加えた金額が年税額

給与総額を確定させ、控除後の金額を求め、所得控除を差し引く

その年の1月1日から12月31日までに支払うべきことが確定した給与と賞与を合計します。基準は支払日です。12月末締め・翌年1月払いの給与は、翌年分に入ります。

集計した金額を、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表に当てはめます。所得金額調整控除の適用がある場合は、ここから差し引きます。

基礎控除、配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、社会保険料控除などを差し引きます。申告書と証明書の内容が、そのままこの段階に反映されます。

税額を求めて住宅ローン控除を引き、過不足を精算する

所得控除後の金額(1,000円未満切捨て)に税率を当てはめて税額を出し、住宅借入金等特別控除がある場合はここから差し引きます。最後に復興特別所得税として2.1%を上乗せした金額が、年税額になります。

税額が出たら、あとは差額を精算するだけです。

年税額と、それまでに源泉徴収した合計額を比べます。徴収しすぎていれば還付、不足していれば追加徴収です。

還付と追徴の反映

結論: 精算した過不足額は、12月または翌年1月の給与で調整します。還付の場合は給与に上乗せし、不足の場合は追加で差し引きます。

還付する金額は、その月に納付する源泉所得税から差し引いて調整します。会社が立て替えているわけではありません。還付額が納付額を超える場合は、翌月以降へ繰り越すか、税務署へ還付請求をします。

扶養親族が減った、給与が大きく増えた、2か所から給与を受けていた、といった場合は不足額が出ます。金額が大きいと、その月の手取りがはっきり減ります。

追加徴収になりそうな人には、計算が終わった時点で先に伝えておく。これだけで、給与明細を見てからの問い合わせがなくなります。

年末調整では扱えない控除がある

結論: 医療費控除、寄附金控除、雑損控除の3つは年末調整で扱えません。適用を受けるには従業員本人が確定申告をする必要があります。

依頼されても会社では処理できない3つ
01
医療費控除
会社が家族の医療費を把握できないため本人の確定申告になる。セルフメディケーション税制も同じ
02
寄附金控除(ふるさと納税を含む)
寄附先5自治体以内でワンストップ特例を申請していれば確定申告は不要。ただしその場合は所得税でなく翌年度の住民税から控除される
03
雑損控除
災害や盗難で資産に損害を受けた場合。こちらも確定申告が必要

医療費控除と寄附金控除

年間の医療費が一定額を超えた場合の控除です。会社が家族の医療費を把握することはできないため、本人の確定申告になります。セルフメディケーション税制も同じです。

ふるさと納税を含む寄附金控除も、年末調整では扱えません。ふるさと納税については、寄附先が5自治体以内でワンストップ特例の申請をしていれば確定申告は不要ですが、その場合は所得税ではなく翌年度の住民税から控除されます。

「年末調整でふるさと納税をお願いします」という依頼は毎年出てきます。制度上できないことなので、案内の段階で一言添えておくと親切です。

雑損控除

災害や盗難で資産に損害を受けた場合の控除です。こちらも確定申告が必要になります。

災害や盗難で資産に損害を受けた場合の控除です。年末調整では扱えないため、確定申告で申告することになります。災害の場合は、雑損控除と災害減免法のどちらか有利なほうを選べます。会社としては、対象になりそうな従業員に確定申告が要る旨を伝えておく程度で足ります。

中途入社と退職者の扱い

結論: 年の途中で入社した人は前職の源泉徴収票を合算して年末調整を行い、年の途中で退職した人は原則として年末調整の対象外になります。

年の途中で人が動いた場合
中途入社した人
前職の給与を含めて1年分を精算する。12月になっても前職の源泉徴収票が届かなければ対象から外し、本人に確定申告してもらう
退職して他社へ再就職する人
再就職先で年末調整を受ける。退職時に源泉徴収票を交付する(退職の日以後1か月以内)
12月の給与を受けたあとに退職した人
退職の時点で年末調整を行う。死亡により退職した人も同じ

前職の給与を含めて1年分を精算します。前職の源泉徴収票が必要になるため、入社手続きの段階で提出を依頼します。

12月になっても源泉徴収票が届かない場合、その人は年末調整の対象から外し、本人に確定申告をしてもらうことになります。回収は早いほうが安全です。

年の途中で退職し、他社へ再就職する人は、再就職先で年末調整を受けます。退職時には源泉徴収票を交付します。期限は退職の日以後1か月以内です。

ただし、12月に支給される給与を受けたあとに退職した人や、死亡により退職した人は、退職の時点で年末調整を行います。

集計する給与に含めるもの・含めないもの

結論: 年末調整で集計するのは、その年に支払うべきことが確定した給与・賞与のほか、現物給与など金銭以外の経済的利益も含みます。非課税とされる通勤手当は含みません。

集計に入れるもの、入れないもの
集計に含める
給与・賞与(支払日で年を区切る)
通勤手当のうち非課税限度額を超えた部分
社宅の賃貸料相当額と本人負担額の差額
食事の補助、レクリエーション旅行の費用
集計に含めない
非課税限度額の範囲内の通勤手当(公共交通機関は月15万円まで)
12月20日締め・翌年1月10日払いの給与(翌年分になる)
12月に決議して翌年に支払う決算賞与

通勤手当は限度額までが非課税

通勤手当には非課税の限度額があります。電車やバスなど公共交通機関の場合は月15万円まで、マイカー通勤は片道の通勤距離に応じた金額までが非課税です。

限度額を超えた部分は給与として課税されるため、年末調整の集計にも入ります。引っ越しで通勤経路が変わったのに手当の金額を見直していない場合、この超過分が漏れます。

現物給与も給与に含まれる。支払日が基準になる

社宅の貸与、食事の補助、レクリエーション旅行の費用など、金銭以外で従業員が受ける利益も原則として給与です。社宅であれば、賃貸料相当額と本人負担額の差額が課税対象になります。

給与明細に金額として現れないため、集計から抜けやすいところです。制度として社宅や食事補助を設けている会社は、年末調整の前に一度棚卸ししておくと安全です。

12月20日締め・翌年1月10日払いの給与は、翌年分に入ります。締め日ではなく支払日で年をまたぐ、という原則は集計の入口です。

決算賞与を12月に決議して翌年に支払う場合も、年末調整の集計では翌年分になります。損金算入の時期とは考え方が違うため、分けて管理してください。

年末調整の電子化という選択肢

結論: 従業員から集める申告書と控除証明書は、書面ではなく電子データで受け取ることができます。国税庁は年末調整控除申告書等作成ソフトを無償で提供しています。

電子化を入れるかどうかの見立て
01
効果が出やすい会社
従業員数が多く、給与システムが電子データの取り込みに対応している。転記と検算の作業がまとめて減る
02
初年度は負担が上回ることもある
10名前後で紙のやり取りが定着している会社。案内の手間が削減分を超える場合がある
03
全員を一度に切り替えなくてよい
希望する人だけ電子、という併用が認められている。1年目は一部から始める進め方が現実的

電子データで集める仕組みと、向いている会社・向いていない会社

生命保険会社や金融機関が発行する控除証明書は、電子データで受け取れるものが増えています。従業員がそのデータを国税庁のソフトに読み込ませると、控除額が自動計算された申告書データができます。

会社はそのデータを給与システムに取り込むかたちになるため、転記と検算の作業が減ります。

従業員数が多く、給与システムが電子データの取り込みに対応している会社ほど、効果がはっきり出ます。一方、10名前後の会社で紙のやり取りが定着している場合、初年度の案内の手間のほうが大きくなることもあります。

全員を一度に切り替える必要はありません。希望する人だけ電子で、という併用も認められています。

保険料控除証明書の再発行が減る

電子化のわかりやすい利点は、紛失がなくなることです。紙の証明書は毎年何名かが失くし、再発行に2週間ほどかかります。ここが消えるだけでも、11月の回収が楽になります。

電子で受け取れる保険会社が増えたため、紛失による再発行の手間が減ります。従業員の側でも、証明書の到着を待つ時間が短くなります。集める側と出す側の双方で作業が軽くなる部分です。

事例:11月に回すと決めた会社

「毎年1月がとにかく地獄で、他の仕事が止まります」。従業員28名の運送業のお客様からのご相談でした。

話を聞くと、書類を配るのが12月に入ってからでした。回収が12月中旬になり、計算が間に合わず1月の給与で精算。その1月に、納付と3種類の提出物が重なっていました。

変えたのは日程だけです。配付を10月最終週、回収の締切を11月20日に設定し、締切の1週間前と前日にリマインドを送る形にしました。あわせて、記載内容の点検で毎年指摘が出る箇所――保険料控除証明書の添付漏れと、配偶者の所得見込額の空欄――を、配付時の案内文に太字で入れています。

初年度は締切に間に合わない人が4名いましたが、翌年は0名でした。12月の給与で精算が終わるようになり、1月は提出物だけに集中できています。

担当の方の言葉が印象的でした。作業量は変わっていないのに、慌てなくなった、と。

よくある質問

年末調整と確定申告は何が違うのですか?
年末調整は会社が従業員の給与について行う精算で、確定申告は本人が1年間のすべての所得について行う申告です。給与以外に所得がある人や、医療費控除・寄附金控除を受ける人は、年末調整を受けたうえで確定申告もします。
アルバイトやパートも年末調整の対象になりますか?
対象になります。扶養控除等申告書を提出していて、12月まで在籍していれば、勤務時間の長短にかかわらず年末調整を行います。掛け持ちで他社に申告書を出している人だけが対象外です。
還付金はいつ支払われますか?
多くの会社では12月または1月の給与とあわせて支払います。法律で日付が決まっているわけではなく、計算が終わったあとの直近の給与で調整するのが一般的です。
書類を出さない従業員がいる場合はどうすればよいですか?
扶養控除等申告書の提出がなければ乙欄での計算となり、年末調整の対象外になります。本人が確定申告をすることになるため、その旨を伝えたうえで期限を区切って再度案内するのが現実的です。
令和7年度改正で、実務では何が増えましたか?
特定親族特別控除申告書の回収と、扶養の所得要件が58万円以下に変わったことによる扶養親族の再確認の2点です。前年と同じ内容の申告書をそのまま受け取ると、新たに扶養に入る家族を拾い損ねる場合があります。
年末調整を間違えたことに後から気づいた場合はどうなりますか?
翌年1月31日までであれば、会社が再計算して精算し直せます。それ以降に気づいた場合は、本人が確定申告で修正することになります。源泉徴収票の再交付が必要になるため、早めに税理士へご相談ください。

まとめ:12月の作業ではなく10月の作業

年末調整は、毎月の概算で差し引いてきた所得税を、1年分の給与が確定した時点で正しい税額に計算し直す手続きです。

  • 対象は扶養控除等申告書を提出している人。2,000万円超の給与を受ける人は対象外
  • 回収する申告書は4種類。2枚目は基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除が1枚にまとまった様式
  • 扶養の所得要件が48万円以下から58万円以下に変わり、扶養の範囲が広がった
  • 医療費控除・寄附金控除・雑損控除は年末調整では扱えない
  • 精算のあと、翌年1月31日までに源泉徴収票・法定調書合計表・給与支払報告書を出す

この手続きで会社が消耗するかどうかは、計算の難しさではなく日程で決まります。11月中に書類を回収できていれば、12月の給与で精算が終わり、1月は提出物だけになります。

いま12月に配っているなら、来年は10月最終週に前倒ししてみてください。変えるのはそこだけで十分です。

年末調整の進め方や、社内で行う範囲と外に出す範囲の切り分けでお困りの方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。

給与・源泉・年末調整のご相談は初回無料です。実際の数字を見ながら、自社の場合はどうなるかをそのままお話しできます。

出典

  • 国税庁 タックスアンサー No.2662「年末調整のしかた」
  • 国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」
  • 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
  • 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」
  • 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)
  • e-Gov法令検索「所得税法」第190条・第194条・第196条

【メタディスクリプション】
年末調整で何を精算するのか、対象になる人、集める4種類の申告書、計算の順序を実務の流れに沿って整理しました。令和7年度改正で加わった特定親族特別控除と扶養の所得要件の変更、還付と追徴の反映、中途入社と退職者の扱いまで解説します。

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