法人税の納税証明書|種類と取り方
「銀行から納税証明書を出してくださいと言われたのですが、その1とその3のどちらですか」。「入札の申請に要ると聞いて、税務署に行ったら年度を聞かれて答えられませんでした」――融資や入札の場面で、この2つはよく出てきます。
結論からお伝えすると、納税証明書にはその1からその4まで4種類があり、証明する内容がそれぞれ違います。融資でよく求められるのはその1とその3、入札参加資格や経営事項審査ではその3が中心です。建設業許可の申請だけは別で、国税の証明が要るのは国土交通大臣の許可を受ける場合に限られます。どれが要るかは提出先が決めるため、まず先方に種類を確認するのが最短です。
税理士法人Light UPでは、納税証明書は「取り方」より間に合わせ方が実務の要点だと考えています。オンラインで請求すれば手数料が下がり受取も早いのですが、申告や納付の直後は当日中に発行できないことがあります。融資の実行日が決まっているなら、逆算が要ります。
この記事では、4種類の違いと使い分け、オンラインと書面での請求方法、手数料の計算、そして間に合わなくなる場面までを、国税庁の交付請求手続の案内に沿って整理します。
納税証明書は4種類ある
結論: 納税証明書は、その1からその4までの4種類です。納付すべき税額と未納額、所得金額、未納がないこと、滞納処分を受けたことがないことを、それぞれ証明します。
4種類の証明内容と、その1とその3の違い
国税庁の「G-1 納税証明書の交付請求手続」では、納税証明書の種類が次のように示されています。
| 種類 | 証明内容 | よく求められる場面 |
|---|---|---|
| その1 | 納付すべき税額、納付した税額および未納税額等の証明 | 融資審査、建設業許可(大臣許可)、取引先からの提出依頼 |
| その2 | 所得金額の証明 | 融資審査、公的機関への申請 |
| その3 | 未納の税額がないことの証明 | 入札参加資格、経営事項審査 |
| その4 | 証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないことの証明 | 一部の許認可、公的な資格審査 |
その1は納めるべき額と納めた額を数字で示すもの、その3は未納がないという状態を示すものです。金額を見せたいのか、滞納がないことを示したいのかで分かれます。
融資では両方を求められることがあります。一方、入札関係ではその3だけで足りる場面がほとんどです。
その2は所得金額を証明する。種類は提出先に聞く
その2は、申告した所得金額を証明するものです。決算書を出さずに規模を示す資料として使われることがあります。
どれが必要かは、書類を求める側が決めます。「納税証明書をお願いします」とだけ言われた場合は、種類と年度、税目を確認してから請求します。
証明書は在庫のある商品ではなく、条件を指定して作ってもらう書類だと考えてください。指定が曖昧なまま取りに行くと、窓口で止まります。
その3には未納がない範囲の指定がある
結論: その3は未納の税額がないことを証明するもので、税目を限定しない「その3」と、税目を指定する「その3の2」「その3の3」があります。提出先の指定に合わせて選びます。
税目の範囲で分かれ、1円でも未納があると発行されない
その3は、すべての税目について未納がないことを証明します。これに対し、法人税と消費税及び地方消費税に限定した様式など、税目を絞った証明もあります。
入札関係では、法人税と消費税に限定した形を求められることが多くなっています。
その3は「未納がないこと」の証明なので、対象の税目に未納があると発行されません。延滞税や加算税が残っている場合も同じです。
金額の大小は関係しません。数百円の延滞税が残っていて発行できなかった、という相談は実際にあります。
納付してすぐは反映されず、カード納付の直後は記載が付く
同案内は請求時期について、申告または納税の直後においては当日中に納税証明書を発行できない場合があるとしています。
未納を解消してからその3を取る場合、納付が記録に反映されるまでの時間を見ておく必要があります。
クレジットカード納付をした場合、納付受託者が立替払いを行うまでの間は、納税証明書にクレジットカード納付が行われている旨が記載されます。融資や入札で提出する時期が近いなら、納付方法から選ぶ必要があります。
納付方法を選べる場面は限られますが、証明書の提出が近いと分かっているなら、振込や口座振替を使うほうが記載は付きません。カード納付の利便性と、証明書の見え方を並べて決めることになります。
請求はオンラインと書面の2通り
結論: 納税証明書は、e-Taxを使ったオンライン請求と、税務署の窓口または郵送による書面請求のどちらでも取得できます。オンラインのほうが手数料が安く、受取方法も選べます。
オンラインの受取方法は3つ。電子ファイルは印刷して使える
国税庁の同案内によれば、オンラインで交付請求した場合の受取方法は次の3つです。
- 電子納税証明書(PDFファイルまたはXMLファイル)で受け取る:電子証明書等が必要。期限内であれば何度でも使える
- オンラインで請求して税務署の窓口で受け取る:電子証明書等は不要で、必要事項を入力して送信するだけで請求できる
- オンラインで請求して郵送で受け取る:電子証明書等が必要
2番目は電子証明書が要らないため、マイナンバーカードやカードリーダーを用意していない会社でも使えます。窓口で待つ時間が減るだけでも意味があります。
同案内は、ダウンロードした電子納税証明書(PDFファイル)について、自宅やコンビニエンスストアで印刷することができるとしています。ただし提出方法は、あらかじめ提出先に確認するよう注記されています。
電子ファイルを受け付けない提出先もあるため、先に確認します。
書面請求は郵送と窓口。代理人が請求する場合
郵送の場合は、封筒の表面に納税証明請求在中と記載したうえで、交付請求書、手数料相当額の収入印紙、返信用封筒を同封して所轄の税務署へ送ります。法人の場合、番号確認書類と本人確認書類の写しは不要です。
窓口で請求する場合は、交付請求書、手数料(収入印紙または現金)、本人確認書類を持参します。
代表者以外の役員や従業員が窓口へ行く場合は、委任状が必要です。同案内は、代理人が業務として納税証明書の請求を行うことは税理士法に規定する税務代理に該当するとしています。
顧問税理士に依頼する場合は、この税務代理として行われます。
手数料は請求方法と種類で変わる
結論: 手数料はオンラインが370円、書面が400円を単位として計算します。その1とその2は税目数×年度数×枚数、その3とその4は枚数のみで計算する点が違います。
計算式と、その1が組み合わせで増えること
手数料は一律ではありません。請求の方法で単価が変わり、証明書の種類で掛ける数が変わります。まず計算式を押さえておくと、必要な年度や税目を絞る判断がしやすくなります。
同案内に示された手数料の計算式は次のとおりです。
| 種類 | オンライン請求 | 書面請求 |
|---|---|---|
| その1・その2 | 税目数 × 年度数 × 枚数 × 370円 | 税目数 × 年度数 × 枚数 × 400円 |
| その3・その4 | 枚数 × 370円 | 枚数 × 400円 |
法人税と消費税の2税目、3年度分をそれぞれ1枚ずつ請求すると、2×3×1で6単位です。オンラインなら2,220円、書面なら2,400円になります。
税目と年度を絞れば、その分だけ下がります。提出先が3年分を求めていないなら、必要な年度だけにします。
電子ファイルは1請求1枚。収入印紙に消印をしない
同案内は、電子納税証明書(電子ファイル)で受け取る場合について、1つの請求に対して1つの電子ファイルで発行することとなるため、請求枚数は1枚となるとしています。
複数の提出先に出す場合でも、ファイルを複製すれば足ります。紙で複数枚を請求するより安く済む場面です。
書面請求で収入印紙を貼って手数料を納める場合、同案内は収入印紙に絶対消印しないよう注意しています。消印をしたものは無効になります。
契約書の印紙と扱いが逆になるため、間違えやすいところです。
免除される場合
災害により財産に相当な損失を受けた方が復興に必要な資金の借入れを行う場合など、証明書の内容等に応じて交付手数料が免除となる場合があります。詳細は請求先の税務署に確認します。
免除に当たるかどうかは、請求の前に税務署へ確認します。該当する場合でも、申請の際に事情を示す書類を求められることがあります。急ぐ場面では、この確認の時間も日程に入れておくことです。
手数料の勘定科目
納税証明書の交付手数料は、租税公課ではなく支払手数料で処理するのが一般的です。税金そのものではなく、証明書の発行という役務に対する対価だからです。
収入印紙で納めた場合も同じ扱いになります。印紙を買った時点では貯蔵品、証明書の請求に使った時点で支払手数料へ振り替えます。金額が小さいため、購入時に費用処理している会社が多い部分です。
なお、この手数料は消費税の課税対象になりません。国や地方公共団体が法令に基づいて徴収する手数料は非課税とされているためです。会計ソフトの税区分を課税で固定していると誤ります。
入札と建設業許可では添付が自動化されている
結論: 入札参加資格の統一資格審査や建設業許可、経営事項審査の申請では、納税情報を手数料不要で自動添付できる仕組みが用意されています。証明書を取らずに済む場面があります。
自動添付の仕組みと、使えるのは対象の申請だけであること
同案内は、入札参加に係る統一資格審査の申請や、建設業許可、経営事項審査の申請の際に、納税情報が自動添付できるようになったと案内しています。外部機関のシステムを利用して申請する際に、手数料不要で自己の納税情報を添付できる仕組みです。
対象は調達ポータルと建設業許可・経営事項審査電子申請システムを使う申請です。金融機関への提出や取引先からの依頼には使えません。
自社が該当する申請をしているかどうかを確認したうえで、必要な場面だけ証明書を取ります。
紙で求められることもある
システム上は自動添付できても、担当者から紙の証明書を求められる場合があります。申請の窓口に確認してから動くほうが確実です。
自動添付が使える申請であっても、社内で控えを残したい場合は別途取得するという判断もあります。取得の要否は、申請の要件と社内の運用の両方で決まります。迷う場合は、申請の窓口に確認したうえで動くのが確実です。
使う場面によって必要な種類が変わる
結論: 融資ではその1とその2、入札や許認可ではその3が中心です。同じ会社でも、提出先が変われば必要な種類と年度が変わります。
融資審査で求められるものと、入札・建設業許可
金融機関は、納税に遅れがないかと、申告した所得の水準を見ます。その1で未納の有無と金額を、その2で所得金額を確認する形が一般的です。
決算書と併せて提出するため、決算期に合わせた年度を求められます。
入札の参加資格審査や経営事項審査では、その3が中心です。未納がないことを示せればよいため、金額の証明までは求められません。
建設業許可の申請は、これとは違います。建設業法施行規則が添付書類を定めており、国土交通大臣の許可を申請する場合は法人税(個人は所得税)の直前1年の各年度における納付すべき額と納付済額を証する書面、都道府県知事の許可を申請する場合は事業税について同じ内容の書面とされています(同規則4条1項14号・15号)。前者は納税証明書のその1が該当し、後者は国税ではなく都道府県税事務所が発行する証明です。未納がないことを示す書類ではない点が、入札の場面との違いになります。
税目を法人税と消費税に限定した様式を指定されることがあります。
取引先からの依頼と、補助金・助成金の申請
新規の取引開始時に、与信の一環として求められる場合があります。この場合はその1かその3が多くなります。
同じ与信の目的でも、公的な制度では指定の仕方が変わります。取引先は先方の判断で決まりますが、補助金は公募要領に書かれているのが通常です。
事務局によって指定が分かれます。公募要領に種類まで書かれていることが多いため、まず要領を確認します。
地方税の証明書とは別物
ここまでは国税の納税証明書の話です。法人住民税や法人事業税について未納がないことを示すには、都道府県や市区町村が発行する納税証明書が別に必要になります。
入札参加資格では、国税と地方税の両方を求められることが珍しくありません。窓口も手数料も別なので、それぞれ手配します。地方税の証明書は自治体ごとに様式と名称が異なり、法人事業税と法人住民税で分かれている場合もあります。
国税の証明書だけを用意して、申請の直前に地方税分が足りないと気づく。この順番の見落としが、期限に追われる原因になりやすいところです。
間に合わなくなる3つの場面
結論: 納税証明書が間に合わなくなるのは、未納が残っていた場合、納付や申告の直後に請求した場合、そしてカード納付の直後に請求した場合の3つです。
その3は未納があると発行されません。納付してから請求することになり、その分だけ時間がかかります。
延滞税や加算税は、本税を納めたあとに別途通知が来ることがあります。本税を納めたから未納はゼロ、とは限りません。
同案内は、申告または納税の直後においては当日中に納税証明書を発行できない場合があるとしています。決算申告を出したその足で証明書を取りに行く、という段取りは避けたほうが安全です。
立替払いが行われるまでの間、証明書にカード納付が行われている旨が記載されます。この記載を避けたいなら、提出予定から逆算して納付方法を選びます。
発行された証明書の確認と保存
結論: 納税証明書にはQRコードが付いており、記載事項を確認できる仕組みが用意されています。電子ファイルで受け取った場合は、期限内であれば繰り返し利用できます。
QRコードで内容を確認でき、電子ファイルは期限内なら再利用できる
同案内によれば、納税証明書のQRコードには納税証明書の記載事項が格納されており、QRコード付納税証明書確認コーナーを利用することでその内容を確認できます。
提出先が真正性を確かめる手段でもあります。
ダウンロードした電子納税証明書は、期限内であれば何度でも使えます。複数の提出先がある場合、1回の請求で足りることになります。
保存の扱いと、有効期限は提出先が決めること
納税証明書そのものに保存義務はありませんが、いつどの種類を取ったかを記録しておくと、次に求められたときの判断が早くなります。
融資や入札が定期的にある会社では、取得の履歴を残す運用をおすすめしています。
納税証明書自体に法令上の有効期限はありません。ただし提出先は、発行から3か月以内などの条件を付けるのが通常です。
前回取ったものが残っていても、使い回せるとは限りません。日付を確認してから提出します。
記載内容が想定と違うとき
その1を取ったら未納税額が記載されていた、というように、想定と違う内容で発行されることがあります。多くは、納付が記録に反映される前に請求したか、延滞税や加算税が残っているかのどちらかです。
内容に疑問があるときは、証明書を持って所轄の税務署に確認します。証明書の記載は納税の記録に基づくため、記録側を直さないと証明書も変わりません。
事例:融資の実行日から逆算した建設業の会社
建設業の会社から、融資の実行が2週間後に迫っているというご相談をいただきました。「銀行から納税証明書を求められたのですが、どれを取ればいいのか分からなくて」というお話でした。
まず銀行に確認したところ、その1とその2をそれぞれ直近2年度分、税目は法人税と消費税という指定でした。指定が具体的に分かった時点で、手数料も計算できます。
次に未納の有無を確認しました。前期の消費税について、延滞税がわずかに残っていることが分かっています。本税は納付済みでしたが、延滞税の通知が届いたまま処理されていませんでした。
延滞税を納付し、記録に反映される時間を見て数日空けてから、オンラインで請求しています。受取は窓口を選びました。電子証明書の準備が間に合わなかったためです。
同時期に、この会社は入札参加資格の更新も控えていました。こちらは調達ポータルからの申請で納税情報を自動添付できるため、証明書の取得は不要と整理しています。
経理担当者からは「銀行に種類を聞くところから始めればよかった」という言葉がありました。何を求められているかが決まれば、あとは手順の話になります。
よくある質問
納税証明書のその1とその3はどう違うのですか?
納税証明書の手数料はいくらですか?
未納があっても納税証明書は取れますか?
決算申告を出した当日に納税証明書は取れますか?
顧問税理士に納税証明書の取得を頼めますか?
電子ファイルで受け取った納税証明書は提出先で使えますか?
まとめ:先に決まるのは、自分の都合ではなく提出先の指定
- 納税証明書はその1からその4の4種類。証明する内容がそれぞれ違う
- 融資はその1とその2、入札・建設業許可はその3が中心。種類は提出先が決める
- 手数料はオンライン370円・書面400円が単位。その1とその2は税目数×年度数×枚数
- その3は未納があると発行されない。延滞税や加算税が残っていても同じ
- 入札参加資格や建設業許可の申請では、納税情報を手数料不要で自動添付できる
先に確認すべきは、取り方ではなく提出先の指定です。種類・年度・税目の3つが決まれば、あとは請求方法を選ぶだけになります。
やらなくてよいこともあります。念のため全部の年度を取っておく必要はありません。その1とその2は年度数に比例して手数料が増えるため、求められた範囲に絞るほうが無駄がありません。
税理士法人Light UPでは、融資や入札に向けた書類の準備についてもご相談をお受けしています。何が必要か整理がつかない、期限までに間に合うか不安だ――そうしたご相談は無料相談からお気軽にお寄せください。
出典
- 国税庁「G-1 納税証明書の交付請求手続」
- 国税庁「納税情報の添付自動化について」
- e-Gov 法令検索「国税通則法」
- e-Gov 法令検索「建設業法施行規則」(第4条第1項第14号・第15号)
※本記事は2026年8月時点の国税庁の案内に基づいています。手数料や手続きの内容は変わることがあるため、請求の前に最新の情報をご確認ください。




