源泉徴収税額表の見方をわかりやすく解説|給与の所得税の求め方
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
源泉徴収税額表(給与から天引きする所得税の額を調べる表)の見方は、4つの手順です。給与の払い方で表を選び、扶養控除等申告書を出している人かどうかで甲欄か乙欄を選び、社会保険料等を引いた後の金額で行を探し、扶養親族等の数の列で税額を読みます。この記事は令和8年分の表で説明します(国税庁、2026年10月時点)。
源泉徴収税額表の見方は?
結論: 源泉徴収税額表は、表を選ぶ、欄を選ぶ、金額で行を探す、扶養親族等の数の列で税額を読む、の4つの手順で引きます。当てはめる金額は、総支給額ではなく社会保険料等を引いた後の金額です。
引き方の4つの手順
表は、給与の払い方で決まります。
| 表 | 使う給与 | 表から読み取るもの |
|---|---|---|
| 月額表 | 月ごと、半月ごと、10日ごと、月の整数倍の期間ごと | 税額 |
| 日額表 | 毎日、週ごと、日割り、日雇賃金 | 税額 |
| 賞与の算出率の表 | 賞与 | 率 |
当てはめる金額は社会保険料等を引いた後
国税庁は、その月(日)分の給与等の金額から、厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料などの社会保険料等を引いた後の金額を当てはめると案内しています。非課税の通勤手当は課税される給与に入らないため、総支給額から先に除きます。住宅手当・家族手当・残業代は課税される手当なので、除きません。
使用例
国税庁の令和8年分の使用例です。支給額420,000円、社会保険料等63,400円、扶養親族等2人の人は、356,600円を当てはめます。月額表の「356,000円以上359,000円未満」の行と、甲欄の2人の列が交わる7,020円が、源泉徴収する税額です。同じ行の乙欄は71,900円です。
税額表の引き方でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、甲欄と乙欄の選び方、扶養親族等の数、賞与の計算の3つです。どれも、従業員の手取りと、会社が納める源泉所得税の額がずれます。
表を引く作業は難しくありません。結果を左右するのは、引く前の判断です。
従業員の手取りがずれる
欄や扶養親族等の数を誤ると、天引きの額が本来と違います。甲欄の人の差額は年末調整で精算されます。年の途中の変化を申告書に反映しないまま年末を迎えると、差額が12月の給与でまとめて出て、その月の手取りが大きく動きます。乙欄の人は年末調整の対象にならず、本人が確定申告で精算します。
納付が足りなくなり加算税がつく
本来の額より少なく天引きして納めていると、不足額を後から納めることになります。納期限までに納められなかった源泉所得税には、不納付加算税がかかります(国税通則法67条)。税務署から納税の告知を受けて納めるときは不足額の10%、告知を受ける前に自主的に納めたときは5%が原則です。
税理士が確認する順番
税理士は、次の順で確かめます。
- 扶養控除等申告書:提出の有無と、提出日(最初の給与の前日まで)
- 扶養親族等の数:申告書の記載から数え直し、加算の漏れ
- 表に当てはめた金額:社会保険料等と非課税の通勤手当を除いた金額か
- 賞与:前月の給与と比べ、率で計算するか月額表で計算するか
- 給与計算ソフトの設定:その年の表か、10倍を超える賞与や乙欄の人が正しく出るか
従業員ごとの扶養控除等申告書と給与・賞与の明細をご用意いただければ、使う欄と扶養親族等の数、賞与の税額が合っているかを確かめます。
甲欄と乙欄の違いは?
結論: 扶養控除等申告書を出している人に払う給与は甲欄、出していない人に払う給与は乙欄です。正社員かアルバイトかは関係なく、乙欄の税額は甲欄より高くなります。
申告書を出した人は甲欄
申告書は、毎年最初に給与を受ける日の前日までに、主たる勤務先へ出してもらいます(所得税法194条)。年の途中で入社した人も、最初の給与の支払日の前日までに受け取れば、最初の給与から甲欄で計算できます。
申告書がなければ乙欄
出していない人の給与は、乙欄で計算します。冒頭の使用例の人を乙欄で引くと、甲欄の7,020円に対し71,900円です。
副業先の給与は乙欄
掛け持ちで働く人が申告書を出すのは、主たる勤務先1か所だけです。副業先の給与は、原則として乙欄で計算します(国税庁のタックスアンサーNo.2520)。
乙欄の人は会社で年末調整しない
年末調整の対象は、扶養控除等申告書を年末調整を行う日までに出している人です(国税庁のタックスアンサーNo.2665)。乙欄の人は対象外で、副業先の従たる給与も原則として対象外です。精算は本人の確定申告で行います。
扶養親族等の数の数え方は?
結論: 甲欄で使う扶養親族等の数は、申告書に書かれた源泉控除対象配偶者の有無と源泉控除対象親族の人数に、障害者やひとり親などの加算を足した数です。同居の家族の人数とは一致しません。
申告書の記載で数える
源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の要件は、令和8年分と令和9年分で次のとおりです。所得は、その年中の見積額です。
| 区分 | 令和8年分 | 令和9年分 |
|---|---|---|
| 源泉控除対象配偶者 | 本人の所得が900万円以下で、配偶者の所得が95万円以下 | 同じ |
| 源泉控除対象親族のうち、16歳以上の扶養親族 | 所得が58万円以下 | 所得が62万円以下 |
| 源泉控除対象親族のうち、19歳以上23歳未満の特定親族 | 所得が58万円超123万円以下で、100万円以下の人 | 所得が62万円超123万円以下で、100万円以下の人 |
青色事業専従者として給与を受ける人と白色事業専従者は、どちらにも入りません。数えるのは、聞き取りで把握した家族ではなく、申告書の記載です。
加算する人と数えない人
給与を受ける人が、障害者(特別障害者を含みます)、寡婦、ひとり親、勤労学生のどれかに当たるときは、当たるごとに1人を加えます。その人の同一生計配偶者や扶養親族に障害者または同居特別障害者がいるときも、当たるごとに1人を加えます。16歳未満の子は、扶養親族等の数に加えません。健康保険の被扶養者の人数を流用すると、列を取り違えます。
賞与の税額の求め方は?
結論: 賞与の税額は、前月の給与と扶養親族等の数から率を求め、賞与から社会保険料等を引いた金額に掛けて出します。前月に給与がないときと、賞与が前月の給与の10倍を超えるときは、月額表で計算します。
前月の給与から率を出す
算出率の表の甲欄で、前月の給与(社会保険料等を引いた後)と扶養親族等の数が交わる行の「賞与の金額に乗ずべき率」を読み、賞与から社会保険料等を引いた金額に掛けます。1円未満は切り捨てです。
国税庁の令和8年分の使用例は、賞与554,000円、賞与の社会保険料等85,593円、前月の給与196,616円、扶養親族等2人です。率は2.042%で、468,407円(554,000円−85,593円)に掛けた9,564円が税額です。乙欄の人も、前月の給与から乙欄の率を読みます。
前月に給与がないとき
前月に給与がない場合(入社直後の人など)は、率を使いません。賞与から社会保険料等を引いた金額を6(計算期間が6か月を超えるときは12)で割り、月額表で税額を出し、その税額に6(または12)を掛けます。国税庁のタックスアンサーNo.2523の例では、賞与769,300円(計算期間6か月、扶養親族等0人)の税額は、128,216円で月額表の1,300円を6倍した7,800円です。
賞与が前月の給与の10倍を超えるとき
賞与が前月の給与の10倍を超えるときも、率を使いません。同じ例の数字で手順を示します。
- 賞与を6(または12)で割り、前月の給与を足す(1,668,062円÷6+166,531円=444,541円)
- 足した金額で月額表を引き(16,100円)、前月の給与だけで出した税額(1,510円)を引く
- 残りに6(または12)を掛ける(14,590円×6=87,540円)
月払い以外の給与はどう引く?
結論: 半月ごと、10日ごと、月の整数倍の期間ごとの給与は月額表、毎日・週ごと・日割りの給与は日額表を使います。支給期に合わせて、金額と税額を換算します。
半月・10日・2か月ごとは換算する
換算の方法は、所得税法185条1項が定めています。どの場合も、社会保険料等を引いてから表に当てはめます。
| 支給期 | 使う表 | 表に当てはめる金額 | 求めた税額の扱い |
|---|---|---|---|
| 半月ごと | 月額表 | 金額の2倍 | 2分の1にする |
| 10日ごと | 月額表 | 金額の3倍 | 3分の1にする |
| 月の整数倍 | 月額表 | 月割額(金額÷月数) | その月数を掛ける |
| 週ごと・日割り | 日額表 | 日割額(1日分の金額) | 支給日数を掛ける |
丙欄は日雇賃金に使う
丙欄は日額表だけにある欄で、日雇賃金に使います。日雇賃金とは、日々雇い入れられる人に払う給与等のうち、労働した日または時間で算定され、労働した日ごとに支払を受けるものです。あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内と決まっている日給や時給のパートも、丙欄です(国税庁のタックスアンサーNo.2514)。
同じ支払者から継続して2か月を超えて払うと、2か月を超える部分は日雇賃金に当たらず、申告書が出ていれば日額表の甲欄、出ていなければ乙欄で計算します。
令和9年分の表で変わることは?
結論: 令和9年1月1日以後に払う給与には、令和9年分の税額表を使います。扶養親族等の所得の要件が58万円から62万円に変わり、税額には防衛特別所得税が含まれます。
令和9年分の表を使う給与
国税庁は、令和9年分の表を令和8年分以前の給与には使わないよう案内しています。支給日が定められている給与は、その日が令和9年1月1日以後かどうかで判断します。令和8年12月分の給与でも、払う日が令和9年1月なら令和9年分の表です。
防衛特別所得税が加わる
令和9年1月1日以後に生ずる所得には、源泉徴収すべき所得税の額の1%にあたる防衛特別所得税が加わります。復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に下がり、合計は2.1%のままで、源泉徴収税額の計算方法は変わりません(国税庁の防衛特別所得税及び復興特別所得税のQ&A)。
よくある質問
日給で払っていれば、丙欄を使える?
給与計算ソフトの税額が、税額表と数円違うのはなぜ?
税額表に当てはめる金額は、総支給額?
まとめ:表と欄を選んでから引こう
- 源泉徴収税額表は、表を選ぶ、欄を選ぶ、社会保険料等を引いた後の金額で行を探す、扶養親族等の数の列で税額を読む、の4つの手順で引きます
- 欄は雇用の形ではなく、扶養控除等申告書を出しているかどうかで決まります。乙欄の人は会社で年末調整をしません
- 賞与は前月の給与から率を出します。前月に給与がないときと、前月の給与の10倍を超えるときは、月額表で計算します
- 令和9年1月1日以後に払う給与は、令和9年分の表を使います
賞与の源泉徴収で税額が合わない方、役員賞与を出す予定のある方、年の途中の入社や掛け持ちで欄の判定に迷っている方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の給与台帳と扶養控除等申告書、賞与の計算を確認し、欄の判定と税額の求め方を整理します。
出典
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」「令和9年分 源泉徴収税額表」
- 国税庁 タックスアンサー No.2511「税額表の種類と使い方」
- 国税庁 タックスアンサー No.2514「パートやアルバイトに対する源泉徴収」
- 国税庁 タックスアンサー No.2520「2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」
- 国税庁 タックスアンサー No.2523「賞与に対する源泉徴収」
- 国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」
- 国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税(源泉徴収関係)Q&A」
- e-Gov 法令検索「所得税法」第185条、第194条、「国税通則法」第67条





