法人税の納税証明書の取得方法|融資・入札で出す種類と請求の手順
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
法人税の納税証明書は、会社の納税地を所轄する税務署に請求して取ります。国税庁の電子申告・納税システム(e-Tax)で請求すると手数料は1通370円、窓口や郵送で書面を請求すると400円です。ただし、どの種類を何年度分取るかは、銀行や入札の発注者、許認可の窓口といった提出先が決めます。この記事では、種類の選び方、請求の手順、手数料、取得が間に合わなくなる場面を、国税庁の案内(2026年10月時点)に沿って整理します。
納税証明書はどの種類を取る?
結論: 提出先が指定した種類を取ります。融資ではその1とその2、入札参加資格の審査と建設業許可ではその3が中心です。
場面ごとの早見表
銀行から出してほしいと言われた、入札の資格審査や許認可の窓口で提出を求められた、といった場面ごとに、求められやすい種類は次のとおりです。
| 場面 | 求められやすい種類 | 提出先が見るもの |
|---|---|---|
| 金融機関の融資 | その1、その2 | 納税が遅れていないか、所得の水準 |
| 国土交通省の入札参加資格の審査(建設工事など) | その3の3(法人用) | 法人税と消費税及び地方消費税に未納がないこと |
| 建設業許可 | その3が中心 | 税金に未納がないこと |
融資の行は、納税の状況と所得の水準を見るため、その1とその2を求める例が多いという実務上の傾向です。指定は金融機関ごとに違うので、先方の指定を優先します。建設業許可は、未納がないことを示せれば足りる場面が多いため、その3が中心です。許可の種類や申請先によって求める書面が違うので、申請先の手引で確かめてから請求します。
請求する前に決める4つのこと
提出先には、種類のほかに、年度、税目、電子ファイルで受け付けてもらえるかを聞きます。この4つが決まれば、あとは請求の手順どおりに進められます。
納税証明書の請求でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、種類や年度を決めずに請求すること、申告や納付の直後に請求すること、未納が残ったまま未納がないことの証明を取ろうとすることの3つです。どれも取り直しになります。
融資の実行日が決まってから納税証明書を出してほしいと言われ、種類も年度も分からないまま税務署へ行って出直した、という相談は少なくありません。取り直しの数日が、融資の実行日や入札の締切に間に合うかどうかを分けます。
種類と年度を決めずに請求する
納税証明書とだけ言われて請求すると、必要な種類ではなかった、年度が足りなかったという理由で取り直しになります。請求できる年度は、原則として直前の事業年度からさかのぼって3年前までです。未納がないことを示すその3系は、年度を指定できません。
申告や納付の直後に請求する
国税庁は、申告または納税の直後は当日中に納税証明書を発行できない場合があるとしています。納付の方法によって、証明書に納付が反映されるまでの日数も変わります。
- コンビニで納付した場合:納付済みの証明書を発行できるのは、納付から約3週間後です
- クレジットカードで納付した場合:納付受託者が立替払いを行うまでの最大3週間程度、証明書にクレジットカード納付が行われている旨が記載されます
- 窓口で請求する場合:最近納付した分は、領収証書の持参を求められます。電子納税なら不要です
未納が残ったまま、その3を請求する
その3は、未納の税額がないことを証明するものです。未納が残っていれば、未納がないという証明は出せません。納付書や延滞税の通知が届いたまま処理していないものがないかを、請求の前に確かめて、先に納めます。
その1は、納付すべき税額、納付した税額、未納税額を示す証明なので、未納があるとその金額がそのまま提出先に伝わります。
税理士が確認する順番
税理士は、次の順に確かめます。
- 提出先の指定:種類、年度、税目、電子ファイルで出してよいか、発行日の条件
- 納税の状況:未納の有無、通知の届いたものの処理、直近の納付日
- 納付の方法:コンビニやカードの場合は、証明書に反映される日
- 請求の方法:e-Taxか窓口か、受け取りから提出期限までの日数
- 請求書の記載:年度、税目、枚数、その3系の様式
提出先の案内と、直近の申告書・納付書の控えをお送りいただければ、請求する種類と年度、未納が残っていないかを確かめます。
納税証明書の種類の違いは?
結論: 国税の納税証明書は、その1(納税額)、その2(所得金額)、その3(未納がないこと)、その4(滞納処分を受けたことがないこと)の4種類です。その3には税目を絞った様式があり、法人用はその3の3です。
4種類の証明内容
| 種類 | 証明内容 | 年度の指定 |
|---|---|---|
| その1 | 納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等 | できる |
| その2 | 法人税の所得金額 | できる |
| その3 | 未納の税額がないこと | できない |
| その4 | 証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないこと | 期間を記入する |
その1は金額を示し、その3は未納がない状態を示します。その2は、決算書を出さずに会社の規模を示す資料として使われることがあります。金額を見せたいのか、滞納がないことを示したいのかで選びます。
その3の2とその3の3は税目が決まっている
その3には、税目を絞った様式が2つあります。
- その3の2(個人用):申告所得税及び復興特別所得税と、消費税及び地方消費税に未納の税額がないこと
- その3の3(法人用):法人税と、消費税及び地方消費税に未納の税額がないこと
法人が個人用のその3の2を出しても、受け付けてもらえません。国土交通省の資格審査の案内でも、法人にはその3の3が望ましい様式とされています。
地方税の納税証明書は別
法人事業税や法人住民税が未納でないことの証明は、都道府県や市区町村が出す地方税の納税証明書で、税務署では取れません。入札参加資格のように国税と地方税の両方を求められる場面では、請求先と手数料がそれぞれ別になります。
納税証明書の請求方法は?
結論: 請求先は、会社の納税地を所轄する税務署です。e-Taxで請求する方法と、窓口や郵送で書面を請求する方法があり、e-Taxなら受け取りを電子ファイル、窓口、郵送から選べます。
e-Taxで請求する3つの受取方法
法人はe-Taxソフト(WEB版)の法人用のログイン画面から請求します。受け取り方は、次の3つです。
電子ファイルの提出方法は、国税庁が提出先にあらかじめ確認するよう求めています。紙しか受け付けない提出先もあるため、請求の前に聞いておきます。電子ファイルと窓口の受け取りは、電子委任状(証明用)を添付すれば、代理人が受け取ることもできます。
窓口で請求するときの持ち物と受付時間
税務署の窓口で請求するときに持参するものは、次のとおりです。
- 納税証明書交付請求書(国税庁のサイトに様式があります)
- 手数料に相当する収入印紙または現金
- マイナンバーカード。お持ちでなければ、本人確認書類
- 代理人が行くときは、代表者が作成した委任状。代表者以外の役員や従業員も代理人にあたります
法人の場合、番号確認書類は不要です。国税庁は、令和8年10月1日から全国の税務署で総合窓口の受付時間を原則として午前9時から午後3時までとしています。開庁時間内(午前8時30分から午後5時)なら手続はできますが、受付時間内に行くよう求められています。土曜日、日曜日、祝日、年末年始は受け付けていません。
郵送で請求するときの同封物
郵送の場合は、封筒の表面に「納税証明請求在中」と書き、次のものを納税地の税務署へ送ります。
- 納税証明書交付請求書
- 手数料に相当する収入印紙(郵送では現金で納められません)
- 切手を貼った返信用封筒
法人は、番号確認書類と本人確認書類の写しは要りません。
納税証明書の手数料はいくら?
結論: 手数料は、e-Taxの請求が1通370円、窓口と郵送の請求が400円です。その1は税目数×年度数×枚数、その2は年度数×枚数、その3系とその4は枚数で計算します。
手数料の計算式
| 種類 | e-Taxで請求 | 窓口・郵送で請求 |
|---|---|---|
| その1 | 税目数 × 年度数 × 枚数 × 370円 | 税目数 × 年度数 × 枚数 × 400円 |
| その2 | 年度数 × 枚数 × 370円 | 年度数 × 枚数 × 400円 |
| その3、その3の3、その4 | 枚数 × 370円 | 枚数 × 400円 |
たとえば、法人税と消費税及び地方消費税の2税目、直近3事業年度分のその1を1通請求すると、2税目×3年度×1枚で6通分です。e-Taxなら2,220円、窓口や郵送なら2,400円になります。必要な年度だけに絞ると手数料が下がります。
電子ファイルは1請求で1枚
電子ファイルで受け取る場合は、1つの請求に対して1つのファイルが発行されるため、請求枚数は1枚です。複数の提出先に出すときは、ダウンロードしたファイルをコピーして使えます。
収入印紙の貼り方と免除
書面の請求の手数料は、収入印紙または現金で納めます。災害で財産に相当な損失を受けた方が復旧に必要な資金を借りる場合などは、手数料が免除になることがあります。収入印紙を買う前に、税務署へ確認します。
納税証明書を取らずに済む申請は?
結論: 全省庁統一資格の審査申請と、建設業許可(国土交通大臣許可)や経営事項審査の電子申請では、納税情報を手数料なしで自動添付でき、納税証明書の取得を省けます。
自動添付が使える申請
納税情報の添付自動化は、申請システムから納税情報を取得して、納税証明書の代わりに提出する仕組みです。国税庁は、令和7年6月現在の対象を次のように案内しています。
| 申請 | 使うシステム | 取得できる納税情報 |
|---|---|---|
| 物品の製造・販売等の入札参加に係る全省庁統一資格審査 | 電子調達システム(GEPS) | 申請の際に選択 |
| 建設業許可(国土交通大臣許可の新規と許可換え新規)と決算変更届 | 建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP) | 法人税、申告所得税 |
| 経営事項審査 | 同上 | 消費税及び地方消費税 |
利用には、e-Taxの利用者登録が要ります。建設業許可と経営事項審査では、GビズIDのアカウントも要ります。
対象外の申請と取得できない場合
建設工事や測量・建設コンサルタント等業務の競争参加資格、地方公共団体の入札参加資格は、自動添付の対象外です。この場合は、納税証明書を取って出します。
対象の申請でも、申請の直前に確定申告、修正申告、更正の請求をしたとき、取得する税目や年分の入力を誤ったときは、納税情報を取得できないことがあります。そのときは、電子納税証明書の取得を検討します。
よくある質問
納税証明書のその1とその3は、どう違う?
法人税の納税証明書は、どこの税務署でも取れる?
顧問税理士に取得を頼める?
決算の申告をした当日に、納税証明書は取れる?
まとめ:提出先に聞いてから請求しよう
- 納税証明書はその1からその4の4種類で、法人が未納がないことを示すときはその3の3を使います
- 種類、年度、税目は提出先が決めます。請求の前に、発行日の条件と電子ファイルの可否も聞きます
- 請求先は納税地の税務署で、手数料はe-Taxが370円、窓口と郵送が400円を単位に計算します
- 申告や納付の直後は、当日中に発行できないことがあります。コンビニ納付やカード納付は、反映まで3週間ほどみます
- 全省庁統一資格の審査や建設業許可の電子申請では、納税情報の自動添付で取得を省けます
融資や入札に向けて、どの納税証明書をいつまでに取ればよいか整理がつかない方、未納や納付の反映時期が気になる方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。提出先の指定と直近の納付の状況を確認し、請求の順番と日程を整理します。
出典
- 国税庁「G-1 納税証明書の交付請求手続」
- 国税庁「納税証明書を請求される方へ(留意事項・記載要領)」
- 国税庁「納税情報の添付自動化について」
- 国税庁「クレジットカード納付」
- e-Tax「納税証明書の交付請求について」
- 国土交通省「インターネットを活用した資格審査申請の一元受付方法について」(納税証明書の取扱い)
※本記事は2026年10月時点の国税庁などの案内に基づいています。手数料や手続の内容は変わることがあるため、請求の前に最新の情報をご確認ください。





