法人税の計算方法をわかりやすく解説|税額のシミュレーション付き
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
法人税は、決算書の利益に税率を掛けて計算するのではなく、税法のルールで求めた課税所得(法人税の対象になる金額)に税率を掛けて計算します。中小法人の税率は、課税所得のうち年800万円以下の部分が15%、800万円を超える部分が23.2%です。たとえば課税所得が1,000万円なら、法人税額は166万4,000円になります。この記事では、利益から課税所得を出す手順、税率の当てはめ、地方税まで足した総額の試算を、国税庁の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。
法人税の計算方法は?
結論: 法人税額は、課税所得に税率を掛け、税額控除を引いて求めます。課税所得は、加算と減算で作り直す、利益とは別の金額です。
計算の流れ
会社が実際に納める総額は、法人税額に、地方法人税、法人住民税、事業税を足した額です。
課税所得別の税額の早見表
資本金1億円以下の中小法人で、事業年度が12か月の会社の試算です(説明用の金額です)。地方税は標準税率で計算し、赤字でも払う均等割(標準は年7万円)は含めていません。
| 課税所得 | 法人税 | 地方法人税 | 法人住民税(法人税割) | 事業税・特別法人事業税 | 総額 | 課税所得に対する割合 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 60.0万円 | 6.2万円 | 4.2万円 | 19.2万円 | 89.6万円 | 22% |
| 800万円 | 120.0万円 | 12.4万円 | 8.4万円 | 48.2万円 | 189.0万円 | 24% |
| 1,000万円 | 166.4万円 | 17.1万円 | 11.6万円 | 67.4万円 | 262.6万円 | 26% |
| 2,000万円 | 398.4万円 | 41.0万円 | 27.9万円 | 163.3万円 | 630.6万円 | 32% |
課税所得が増えるほど、総額の割合も上がります。800万円を超えた部分には、15%でなく23.2%が掛かるためです。1,000万円の行の法人税は、800万円×15%(120万円)と、200万円×23.2%(46万4,000円)の合計です。防衛特別法人税は、この表の範囲では0円です。
法人税の計算でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、利益に税率を掛けること、加算と減算の拾い漏れ、事業年度が短い期の800万円、地方税の見込み漏れの4つです。納税額と資金計画がずれます。
決算の直前に、自分で出した税額と税理士の出した納税額が大きく違うと気づき、相談に来られる方が少なくありません。
利益に税率を掛けてしまう誤り
決算書の当期純利益に23.2%を掛けると、中小法人では税額が実際より大きく出ます。逆に、加算を落とすと課税所得が小さく出て、納税資金が足りなくなります。
加算と減算の拾い漏れ
交際費は、勘定科目が会議費や福利厚生費でも、取引先への接待なら税務上は交際費等です。前期に加算した償却超過額は、当期に減算で戻ります。前期の申告書と並べて拾わないと、課税所得が変わります。
事業年度が短い期の800万円
設立1期目や決算月を変えた期は、年800万円の枠が月数で縮みます。12か月分の枠のまま計算すると、税額が実際より小さく出ます(計算のしかたは税率の節で説明します)。
地方税の見込み漏れ
法人税だけで納税資金を用意すると足りません。早見表の1,000万円の行では、総額が法人税の約1.6倍です。
前期の申告書と今期の試算表をお送りいただければ、加算・減算の項目を拾い直して、納める税額の見込みを一緒に出します。
課税所得はどう出す?
結論: 課税所得は、益金の額から損金の額を引いて求めます。実務では、当期純利益に加算と減算を足し引きして、別表四という申告書で計算します。
益金と損金
益金は、商品の売上収入や土地・建物の売却収入などです。損金は、売上原価や販売費、災害による損失などです(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」)。範囲は法人税法22条が定めており、会計の収益・費用とほとんど同じです。差が出る項目を、加算と減算で直します。
別表四の流れ
別表四(所得の金額の計算に関する明細書)は、当期純利益を一番上に書き、加算と減算を積み上げて、一番下に所得金額を出す様式です。最初に書く金額は、損益計算書の当期純利益(法人税等を引いたあとの利益)です。
税引後の利益から始めるため、損金の額に算入できない法人税や住民税を、最初の加算で戻します。
加算する主な項目
| 加算する項目 | 内容 |
|---|---|
| 法人税・住民税 | 損金の額に算入できないため全額を戻す |
| 交際費等の損金不算入額 | 定額控除限度額(年800万円)を超えた部分 |
| 減価償却の償却超過額 | 償却限度額を超えて計上した部分 |
| 役員給与の損金不算入額 | 定期同額給与などの形に当てはまらない部分 |
| 罰金・延滞税・加算税 | 交通反則金など |
交際費の枠は、租税特別措置法61条の4が定めています。資本金1億円以下の法人は、年800万円(事業年度が12か月の場合)まで損金の額に算入できます。参加者1人あたり1万円以下の飲食費は、書類を残せば交際費等から除かれます(国税庁タックスアンサーNo.5265)。
減算する主な項目
減算は、受取配当等の益金不算入額や、還付を受けた法人税・住民税のように会計では収益でも益金にならない分と、前期に加算した償却超過額の当期の戻り(認容)が中心です。加算より項目が少ないため、課税所得は当期純利益より大きくなる会社が多いです。
課税所得の計算例
税引前当期純利益が1,000万円の中小法人です(説明用の金額です)。交際費1,000万円のうち、定額控除限度額の800万円を超えた200万円を加算し、前期に加算した償却超過額のうち当期に認められた30万円を減算します。1,000万円+200万円-30万円=課税所得1,170万円です。
法人税率はいくら?
結論: 資本金1億円以下の中小法人の法人税率は、年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%です。資本金1億円を超える法人は、全額に23.2%が掛かります。
中小法人の税率
| 法人の区分 | 年800万円以下の部分 | 年800万円を超える部分 |
|---|---|---|
| 資本金1億円以下の中小法人 | 15% | 23.2% |
| 同上で、所得が年10億円を超える事業年度 | 17% | 23.2% |
| 資本金1億円を超える法人 | 23.2% | 23.2% |
15%は、本来の19%を租税特別措置法42条の3の2の特例で軽減した税率で、令和9年3月31日までに開始する事業年度に適用できます(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」)。課税所得1,170万円の例では、800万円×15%(120万円)と、370万円×23.2%(85万8,400円)の合計で、法人税額は205万8,400円です。
所得が年10億円を超える事業年度
令和7年4月1日以後に開始する事業年度から、所得が年10億円を超える事業年度は、年800万円以下の部分の税率が15%から17%に上がりました(令和7年度税制改正)。判定は資本金でなくその事業年度の所得で行い、年10億円以下の会社は15%のままです。
15%を適用できない法人
資本金1億円以下でも、次の法人は15%を適用できません。
- 前3事業年度の所得金額の年平均が15億円を超える法人(適用除外事業者):年800万円以下の部分も19%
- 資本金5億円以上の大法人などに完全支配されている法人、相互会社:全額に23.2%
- グループ通算制度を適用している法人:グループで配分した年800万円以下の部分が19%
事業年度が1年に満たないときの800万円
事業年度が12か月に満たないときは、年800万円を12で割って、事業年度の月数を掛けます(1か月未満の端数は切り上げ)。設立1期目が6か月なら、枠は400万円です。
法人税に上乗せされる税金は?
結論: 法人税のほかに、地方法人税、法人住民税、事業税、特別法人事業税がかかります。令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは、防衛特別法人税も加わります。
税目ごとの計算
| 税目 | 計算の基礎 | 標準的な税率 |
|---|---|---|
| 地方法人税 | 法人税額 | 10.3% |
| 法人住民税(法人税割) | 法人税額 | 7.0%(道府県1.0%+市町村6.0%) |
| 法人事業税(所得割) | 課税所得 | 年400万円以下3.5%、400万円超800万円以下5.3%、800万円超7.0% |
| 特別法人事業税 | 事業税の所得割額 | 37% |
表は資本金1億円以下の普通法人の場合で、税率は自治体で異なることがあります。
課税所得1,170万円の例では、地方法人税が21万1,900円、法人税割が14万4,000円、事業税が61万1,000円、特別法人事業税が22万6,000円で、均等割を除く総額は325万1,300円です。
防衛特別法人税
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、防衛特別法人税も納めます(令和7年度税制改正)。基準法人税額(所得に対する法人税の額)から年500万円を引いた額に4%を掛けます。
中小法人(15%と23.2%)で事業年度が12か月なら、法人税額が500万円を超えるのは課税所得が約2,440万円を超えるときで、それまでは0円です。事業年度が1年に満たないときは、500万円も月数で按分します。
赤字のときの計算は?
結論: 課税所得がマイナスなら、法人税はかかりません。ただし申告は必要で、法人住民税の均等割は払います。赤字は、条件を満たせば翌期以降の黒字と相殺できます。
欠損金の繰越控除
赤字(欠損金)は、平成30年4月1日以後に開始した事業年度に生じたものなら、翌期以降10年間、黒字の所得から引けます。資本金1億円以下の法人など(中小法人等)は所得の全額まで引け、ほかの法人は50%までです。条件は、欠損金が生じた事業年度に青色申告書を出し、その後も連続して確定申告書を出すことです(国税庁タックスアンサーNo.5762)。
赤字でも払う税と申告
課税所得がマイナスなら、法人税、地方法人税、法人税割、事業税は発生しませんが、均等割(標準は年7万円)は発生します。申告書を出さないと欠損金を繰り越せないため、赤字の年も申告が必要です。
計算した法人税はいつ納める?
結論: 法人税の申告と納付の期限は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。3月決算なら5月31日です。
申告と納付の期限
法人税、地方法人税、防衛特別法人税の確定申告は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に行い、同じ日までに納めます。法人住民税と事業税も、ほぼ同じ時期です。
中間申告
事業年度が6か月を超える会社は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に中間申告が必要です。前事業年度の実績で計算した中間分の税額が10万円以下なら不要です(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」)。
納税資金の用意
納税資金は、決算の2か月後に一度に出ていきます。四半期ごとに年間の課税所得を見込み、早見表で総額を確認して、別の口座へ寄せておきます。
よくある質問
決算書の利益に23.2%を掛ければ、税額は分かる?
法人税の計算は1円単位で行う?
会計ソフトが出した税額は、そのまま使ってよい?
まとめ:課税所得から順に計算しよう
- 法人税は、加算と減算で作り直した課税所得に税率を掛けて計算する
- 中小法人の税率は、年800万円以下が15%、超える部分が23.2%。事業年度が1年に満たなければ800万円は月割り
- 総額は、法人税に地方税が加わる。課税所得1,000万円なら、早見表では約262万6,000円
- 令和8年4月1日以後に開始する事業年度は防衛特別法人税が加わるが、法人税額が年500万円以下なら税額は0円
- 申告と納付は事業年度終了の日の翌日から2か月以内で、赤字でも申告は必要
今期の法人税額の見込みを知りたい方、加算と減算の拾い方に不安がある方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の決算書と前期の申告書を確認し、課税所得の見込みと納税資金の目安を整理します。
出典
- 国税庁「法人税のあらましと申告の手引」(令和7年10月)
- 国税庁 タックスアンサー No.5759「法人税の税率」
- 国税庁 タックスアンサー No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
- 国税庁 タックスアンサー No.5762「青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」
- 国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」(防衛特別法人税の創設、中小企業者等の法人税率の特例の見直し)
- e-Gov 法令検索「法人税法」(第22条)
- e-Gov 法令検索「租税特別措置法」(第42条の3の2・第61条の4)
- e-Gov 法令検索「国税通則法」(第118条・第119条)
- 総務省「法人住民税・法人事業税 税率一覧表」





