中小企業投資促進税制とは|対象設備と特別償却・税額控除

「計画の認定まではとても手が回りません」。「もっと簡単に使える設備の制度はありませんか」――設備投資の相談で、経営強化税制の手続きを聞いたあとに必ず出てくる質問です。

中小企業投資促進税制は、計画の認定が要らない設備投資の優遇制度です。青色申告書を提出する中小企業者等が対象設備を取得して指定事業の用に供した場合、取得価額の30パーセントの特別償却か、7パーセントの税額控除のどちらかを選べます。適用期間は平成10年6月1日から令和9年3月31日までとされています。

税理士法人Light UPでは、設備投資の相談を受けたとき、まずこの制度で足りるかどうかを見ます。手続きが軽く、対象の幅も広いためです。計画の認定が必要な制度を検討するのは、その先の話になります。

この記事では、対象になる設備と法人、令和8年度改正で変わった工具の要件、特別償却と税額控除の選び方、そして経営強化税制との使い分けを、国税庁の資料に沿って整理します。

制度の中身を一言で

結論: 中小企業投資促進税制は、計画の認定を受けずに使える設備投資の制度で、取得価額の30パーセントの特別償却か7パーセントの税額控除を選べます。

特別償却30パーセントと税額控除7パーセント

通常の償却費に加えて、基準取得価額の30パーセントを上乗せして償却できます。初年度の費用が増えるため、その年度の課税所得が下がります。

即時償却ではありません。全額を1年で落とせるわけではない点が、経営強化税制との違いです。

費用を前倒しするのではなく、税額そのものを減らす道も用意されています。

基準取得価額の7パーセントを、計算した法人税額から直接差し引きます。ただし、こちらを選べるのは資本金または出資金が3,000万円以下の法人などに限られます。

根拠となる条文と適用期間

租税特別措置法第42条の6に置かれています。指定期間は平成10年6月1日から令和9年3月31日までで、この期間内に取得または製作して指定事業の用に供したものが対象です。

条文に期限が置かれている制度なので、延長されるかどうかは毎年度の税制改正で決まります。過去にも複数回にわたって期限が延ばされてきましたが、次も同じとは限りません。設備の入替えを数年先まで見ている会社は、期限の年度を計画表に書き込んでおくことをお勧めします。

令和8年度改正で変わった点

結論: 工具の取得価額要件が、1台または1基30万円以上から40万円以上に引き上げられ、令和8年4月1日以後に終了する事業年度から適用されます。

改正の内容と、施行日をまたぐ事業年度の経過措置

国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」は、この制度について「「1台又は1基の取得価額が30万円以上の工具の取得価額の合計額が120万円以上であること」との要件が「1台又は1基の取得価額が40万円以上の工具の取得価額の合計額が120万円以上であること」との要件とされました」と説明しています。

同資料によれば、この見直しは令和8年4月1日以後に終了する事業年度から適用されますが、施行日をまたぐ事業年度には経過措置が設けられています。

施行日前に取得した工具は30万円以上、施行日以後に取得した工具は40万円以上で判定し、その事業年度の工具の取得価額の合計額が120万円以上である場合に、それぞれの工具が対象となる取扱いです。

機械装置の160万円は変わらない

対象の中心である機械および装置は、1台または1基160万円以上のままです。多くの製造業にとって、実務への影響は限定的といえます。

改正で動いたのは工具の1台当たりの金額だけです。制度の枠組みや、機械装置を中心とする対象範囲は従来どおりですので、設備投資の中心が機械装置である会社は、これまでと同じ判断で構いません。影響が出るのは、30万円台の測定工具や検査工具をまとめて導入する計画のほうです。

対象になる法人

結論: 対象は青色申告書を提出する中小企業者等で、税額控除を選べるのは資本金3,000万円以下の法人などに限られます。

特別償却を使える法人と、税額控除を使える法人

資本金または出資金が1億円以下の法人、あるいは資本や出資を持たない法人で常時使用する従業員が1,000人以下の法人が基本です。農業協同組合等や商店街振興組合も含まれます。

同じ中小企業者等でも、税額控除まで選べる範囲はさらに狭くなります。

税額控除の対象は、上記の中小企業者のうち資本金または出資金が3,000万円以下の法人、農業協同組合等、商店街振興組合です。

資本金5,000万円の会社は特別償却しか選べません。ここを取り違えたまま申告書を組んでしまう例があります。

除外されるケースと、個人事業主の扱い

発行済株式の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人、3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人は除かれます。適用除外事業者(所得金額の年平均額が15億円を超える法人等)も対象外です。

資本金の額で使える措置が変わる一方、株主の構成や所得の規模によっては制度そのものが使えません。逆に、法人でなければ使えない制度でもありません。

青色申告をしている個人事業者も適用を受けられます。法人だけの制度ではありません。

対象になる設備

結論: 対象は新品の機械装置、測定工具・検査工具、ソフトウエア、一定の貨物自動車、内航海運業の船舶の5区分です。

対象になるかの判定
導入する設備
機械装置
1台160万円以上
測定工具と検査工具
1台の金額のほか、複数台の合計で判定する区分がある
貨物自動車
車両総重量で判定する
中古は使えない
新品であることが前提

5つの区分と金額の要件

対象になる設備は5つの区分に分かれ、それぞれに金額の下限が置かれています。金額だけを見て判断すると、区分そのものから外れている設備を数えてしまいます。まず自社の設備がどの区分に当たるかを決め、そのうえで金額を確認する順番になります。区分ごとに判定の単位も違うため、見積書の明細と突き合わせておくことです。

区分 要件
機械および装置 1台または1基 160万円以上
測定工具および検査工具 1台または1基 120万円以上(1台40万円以上でその年度の合計が120万円以上のものを含む)
ソフトウエア 一のソフトウエア 70万円以上(その年度に事業供用した合計額が70万円以上のものを含む)
車両および運搬具 貨物の運送の用に供される普通自動車で車両総重量3.5トン以上
船舶 内航海運業の用に供される船舶

工具なら何でもよいわけではありません。国税庁は「製品の品質管理の向上等に資する測定工具および検査工具」と限定しています。加工用の刃物や治具は含まれません。

貨物自動車は重量、船舶は届出で決まる

車両総重量3.5トン以上の貨物運送用の普通自動車が対象です。営業用の乗用車やワゴンは入りません。判定は道路運送車両法施行規則の別表によるとされ、減価償却資産の耐用年数表では判定できない点にも注意が要ります。

同じように、外形ではなく別の基準で線が引かれているのが船舶です。

内航海運業の用に供される船舶が対象で、総トン数500トン以上の船舶は、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出たものに限られます。

中古は使えない

対象は、製作の後事業の用に供されたことのない新品の資産です。中古機械は対象外になります。展示品や実演機は、使用の実態によって判断が分かれるため、購入前に確認しておくことをお勧めします。

新品かどうかは、製作されたあとに事業の用に供されたことがあるかで判断します。売り手が法人か個人かは関係ありません。中古市場で状態のよい機械が安く出ていても、この制度の対象にはならないという整理です。価格が下がる分と税制上の効果を並べて比べることになります。

節税の判断に迷っていませんか。実際の数字を見ながらお答えします。初回のご相談は無料です。

対象にならないもの

結論: 貸付けの用に供する資産、器具備品、建物とその附属設備は対象外で、ここが経営強化税制との大きな違いです。

対象にならないもの
対象にならない資産
器具備品
建物と建物附属設備
貸付けの用に供するもの
対象にならない事業
娯楽業
主要な事業でないコインランドリー業
飲食店業には条件が付く区分がある

パソコン、レジ、厨房機器、応接セットといった器具備品は対象外です。建物や建物附属設備も含まれません。これらを対象にできるのは経営強化税制のほうです。

貸付けの用に供する資産は対象になりません。ただし、内航運送の用に供される船舶の貸渡しをする事業を営む法人は例外とされています。

貸付けに近い形態として、名指しで除かれている業種もあります。

主要な事業であるものを除き、管理のおおむね全部を他の者に委託するコインランドリー業の用に供する機械装置は除かれています。

対象になる事業

結論: 指定事業は製造業・建設業・小売業・情報通信業・医療福祉業など幅広く定められていますが、娯楽業(映画業を除く)は対象外です。

幅広く含まれるが、娯楽業は除かれる

製造業、建設業、農業、林業、漁業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、小売業、飲食店業、情報通信業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、医療・福祉業、教育・学習支援業などが指定事業とされています。

ほとんどの業種が入る一方で、名指しで外されている事業もあります。

娯楽業(映画業を除きます)は対象になりません。性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象外です。指定事業に当たるかどうかは、日本標準産業分類を手がかりに判定します。

飲食店業には条件が付く区分がある

料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限るとされています。

指定事業に当たるかどうかは、看板ではなく実際の営業形態で判断します。同じ飲食店業でも、深夜の酒類提供が中心の店舗は、この条件に当たる可能性があります。判断に迷う場合は、日本標準産業分類のどの細分類に入るかを先に確かめておくと、あとから覆りません。

特別償却と税額控除の選び方

結論: 特別償却は課税の繰延べ、税額控除は税額そのものの減少で、利益の見通しと資本金の額によって選べる範囲が変わります。

どちらを選ぶか
1

資本金を確かめる
税額控除はそもそも選べない会社がある
2

当期の利益を見る
赤字なら、税額控除は使いきれない
3

効果の性質で選ぶ
特別償却は前倒し、税額控除は総額が減る
4

控除の上限を見る
法人税額の20パーセント。超えた分は1年繰り越せる

効果の性質が違い、そもそも選べない会社がある

特別償却は、償却費を前倒しするだけで、耐用年数を通じた費用の総額は変わりません。翌期以降の償却費はその分だけ減ります。

税額控除は、法人税額から直接差し引くため、その分だけ税負担が実際に減ります。長い目で見れば税額控除のほうが有利になる場面が多いといえます。

どちらが有利かという議論の前に、選択肢が1つしかない会社があります。

資本金3,000万円超1億円以下の法人は、税額控除を使えません。この場合は特別償却の一択です。

控除上限は20パーセントで、重複適用はできない

税額控除の上限は、この制度と中小企業経営強化税制の税額控除の合計で、その事業年度の調整前法人税額の20パーセントです。利益が小さい年度は使い切れません。

上限に当たるかどうかとは別に、一つの資産についての制限もあります。制度を組み合わせて使えると考えていると、計画した控除額に届きません。

同じ資産について特別償却と税額控除の重複適用は認められません。資産ごとにどちらかを選びます。

控除しきれないときの繰越し

結論: 税額控除限度額が法人税額の20パーセントを超えて控除しきれなかった場合、その超過額は1年間だけ繰り越せます。

期間は1年で、明細書を出し続ける

国税庁は、控除しきれなかった金額(繰越税額控除限度超過額)について1年間の繰越しが認められると説明しています。賃上げ促進税制の中小企業向け措置が5年であるのと比べると短い期間です。

短い期間であっても、手続きの要件は繰越しの制度に共通しています。

繰越控除を受けるには、超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に明細書を添付し、繰越控除を受ける事業年度の申告書に控除額と計算の明細を記載する必要があります。

翌期の利益見込みから逆算する

1年しかないため、翌期に利益が出ないと使い切れません。投資の年度を選べるなら、利益の出方とあわせて考える論点になります。

1年という期間は、設備を入れる年度を選べる会社にとって意味を持ちます。翌期に大きな利益が見込めるなら、控除しきれない部分があっても回収できます。逆に、数年先まで利益が読めない状況であれば、税額控除ではなく特別償却を選ぶという判断もあります。

経営強化税制との使い分け

結論: 手続きの軽さでは投資促進税制、償却の大きさと対象の広さでは経営強化税制が有利で、対象資産の範囲が判断の分かれ目になります。

2つの制度の対比と、器具備品を入れる場合

似た名前の制度が2つあるため、どちらを使うかで迷う場面が多くあります。違いは大きく5点あり、手続きの重さと対象資産の広さがちょうど逆の関係になっています。手軽さを取れば対象が狭まり、対象を広げれば準備の期間が要る、という組み立てです。表で並べると、どちらから当たるべきかがはっきりします。

項目 中小企業投資促進税制 中小企業経営強化税制
計画の認定 不要 必要
償却の措置 特別償却30パーセント 即時償却
税額控除 7パーセント(資本金3,000万円以下) 7パーセント(3,000万円以下は10パーセント)
器具備品・建物 対象外 対象
準備の期間 不要 証明書と認定で3〜4か月

40万円以上の器具備品や、1,000万円以上の建物を対象にしたいなら、経営強化税制を使うことになります。計画の認定という手間と引き換えです。

納期が迫っている場合と、少額の資産

証明書や確認書を取る時間がない場合、機械装置なら投資促進税制で特別償却30パーセントを使う道が残ります。

金額が小さい設備には、どちらの制度も使わずに済ませる道があります。

40万円未満の資産は、少額減価償却資産の特例(年300万円が上限)で全額を損金にする道があります。令和8年4月1日以後の取得から基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。

申告で必要になる手続き

結論: 特別償却は償却限度額の計算に関する明細書、税額控除は控除額とその計算の明細書を、確定申告書等に添付する必要があります。

添付書類と、特別償却準備金という方法

計画の認定が不要な制度なので、事前手続きはありません。そのぶん、申告書の添付書類が唯一の手続きになります。ここが抜けると制度そのものが使えません。

特別償却には、費用として計上する以外のやり方も用意されています。

特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てる方法、あるいは決算確定日までに剰余金の処分により積み立てる方法も認められています。

決算書の見え方を保ちたい場合に使われる方法です。

圧縮記帳との重複はできない

この制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産について、租税特別措置法上の圧縮記帳や他の特別償却・税額控除を重ねて適用することはできません。補助金で設備を入れる場合は、この点が論点になります。

補助金の交付と設備の取得が同じ年度になる場合、圧縮記帳を使うか特別償却を使うかで、初年度の課税所得は大きく変わります。どちらが有利かは補助率と利益の見通しで決まりますので、交付決定の通知が届いた段階で試算しておくことです。

特別償却が決算書に与える影響

結論: 特別償却を使うと初年度の利益が下がるため、融資の審査で決算書を見られる会社は、税負担と決算書の見え方の両方で判断することになります。

特別償却が決算書に与える影響
特別償却を使ったとき
決算書での見え方
その年度の利益が下がって見える
金融機関への説明
制度による償却であることを示せば説明はできる
準備金方式
剰余金の処分で積み立てる。利益を落とさずに済む
翌年度以降
償却できる額が減る。総額は変わらない

利益は下がって見えるが、説明はできる

30パーセントの上乗せ償却は、その年度の費用を増やします。税負担は下がりますが、同時に営業利益も自己資本も薄く見えます。

見え方の問題は、伝え方によって扱いが変わります。

税制上の特別償却であることは、決算書の注記や別表から読み取れます。実質の収益力を説明する資料を添えれば、評価が下がる話ではありません。事前に伝えておくほうが、あとから聞かれるより印象は良くなります。

準備金方式という選択肢

損金経理ではなく特別償却準備金として積み立てる方法なら、費用としての計上を避けつつ税務上の効果を受けられます。決算書の見え方を保ちたい会社が使う方法です。

準備金方式は、積み立てた金額を一定の期間で取り崩し、益金に算入していく仕組みです。手間は増えますが、営業利益や自己資本を保ったまま税務上の効果を受けられます。融資の申込みを控えている年度であれば、検討する価値があります。

期末までに間に合わせる段取り

結論: この制度は事業の用に供した日で判定するため、発注ではなく稼働の日を基準に逆算する必要があります。

期末までに間に合わせる段取り
1

発注する
納期を確かめる。期末に寄せると間に合わない
2

納品を受ける
設置と据付けまでの日数を見込む
3

検収する
記録を残す
4

事業に使い始める
ここまでが決算日までに終わっていること
  1. 見積りの取得と対象設備かどうかの確認
  2. 発注(納期の確認。半導体や特殊機械は数か月かかることがある)
  3. 納品と据付け
  4. 試運転と検収
  5. 事業の用に供する

この工程のなかで止まりやすいのは、後半です。

据付けが終わっても、試運転が翌期にずれ込めば、その年度では使えません。年度末の設備は、検収日を押さえておくことです。

代金の支払いが翌期でも、事業の用に供していれば適用の対象になります。逆に、前払いしていても稼働していなければ対象外です。判定はあくまで供用日です。

つまずきやすいところ

結論: 実務で多いのは、器具備品を対象と思い込むこと、資本金で税額控除が使えないこと、そして事業供用が期末に間に合わないことの3つです。

つまずきやすいところ
01
対象資産の思い込み
器具備品や建物は対象にならない
02
資本金の壁
税額控除には資本金の要件がある
03
納品と稼働のずれ
買っただけでは足りない。使い始めるまで
04
複数台の判定
区分によっては、合計で金額を判定する

対象資産の思い込みと、資本金の壁

パソコンやレジは対象外です。「設備投資の制度だから何でも入る」と受け取られやすい部分で、見積書の単位で確認する必要があります。

対象になる資産を取り違えるのと同じくらい多いのが、自社の区分を取り違える例です。

資本金5,000万円の会社が税額控除を前提に資金計画を立てていた、という行き違いがあります。制度の名前が同じでも、選べる措置は資本金で変わります。

納品と稼働のずれ、リースの扱い

適用を受けるのは、指定事業の用に供した日を含む事業年度です。期末に納品されただけで稼働していない設備は、その年度では使えません。

取得の形が通常の売買でない場合は、使える措置そのものが変わります。

所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされる資産については、特別償却は適用できませんが、税額控除は適用できるとされています。

リースで導入する予定なら、契約の形式を先に確認しておくことです。所有権が移転する契約かどうかで、使える措置が変わります。契約書を交わしたあとでは動かせません。

複数台をまとめて判定する区分がある

測定工具・検査工具とソフトウエアには、1台では要件に届かなくても、その事業年度の合計額で判定できる取扱いがあります。単価だけを見て諦めてしまう例があるので、年度単位で並べてみることをお勧めします。

測定工具・検査工具は1台40万円以上のものを合計して120万円以上、ソフトウエアは合計70万円以上という組み立てです。年度の途中で個別に判断していると、あと1台で届いたはずの計画を見送ってしまいます。期首に1年分の購入予定を並べておくことをお勧めします。

よくある相談事例|投資促進税制の3つの場面

加工機を入れた製造業と、特別償却を選んだ卸売業

1台280万円の機械装置です。資本金1,000万円の会社だったため税額控除を選び、19万6千円を法人税額から控除しました。手続きは申告書への明細書の添付だけで完結しています。

税額控除は使えない資本金だったため、特別償却30パーセントを選択。翌期以降の償却費が減ることを見込んだうえで、投資の年度の資金繰りを優先しています。

貨物自動車の重量で分かれた運送業と、工具の要件変更にかかった建設業

2トン車と4トン車を同時に導入した会社です。車両総重量3.5トン以上という要件で、対象になるのは4トン車のみでした。見積りの段階で確認しておけば、投資の順番を変えられた事例です。

1台35万円の測定工具を4台導入する計画でした。令和8年4月以後の取得では1台40万円以上が要件になるため、合計120万円以上でも対象外です。少額減価償却資産の特例へ切り替えています。

よくある質問

計画の認定は必要ですか?
必要ありません。確定申告書等に明細書を添付するだけで適用を受けられます。事前の申請や証明書は要らない制度です。
パソコンは対象になりますか?
なりません。器具備品は対象外です。40万円以上の器具備品を対象にしたい場合は、経営力向上計画の認定が必要な中小企業経営強化税制を検討することになります。
税額控除と特別償却、どちらが得ですか?
長い目で見れば税額控除のほうが有利になる場面が多くなります。ただし資本金3,000万円超の法人は税額控除を選べません。利益の見通しと資金繰りもあわせて判断します。
中古の機械でも使えますか?
使えません。対象は新品の資産に限られます。
ソフトウエアは1本70万円未満でも対象になりますか?
その事業年度に事業の用に供したソフトウエアの取得価額の合計額が70万円以上であれば対象になります。
補助金をもらって買った設備でも使えますか?
圧縮記帳を適用した資産については、この制度との重複適用ができません。どちらを選ぶかを比較して決めることになります。

まとめ:まずこの制度で足りるかを見る

中小企業投資促進税制は、計画の認定が要らない設備投資の制度です。取得価額の30パーセントの特別償却か、7パーセントの税額控除。適用期間は令和9年3月31日までとされています。

対象は、機械装置160万円以上、測定工具・検査工具、ソフトウエア70万円以上、車両総重量3.5トン以上の貨物自動車、内航海運業の船舶の5区分。器具備品と建物は入りません。

令和8年度改正で、工具の要件が1台30万円以上から40万円以上に上がりました。施行日をまたぐ事業年度には経過措置があるため、取得日ごとに判定します。

判断の順番はこうです。まずこの制度で足りるかを見る。器具備品や建物を対象にしたい、あるいは即時償却を使いたいときに、はじめて経営強化税制の手続きを検討する。手間の少ない制度から当たるほうが、結果として使い切れます。

設備投資の予定がある方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。見積書と資本金、導入時期をお持ちいただければ、どの制度でいくら見込めるかを整理します。

節税のご相談は初回無料です。実際の数字を見ながら、自社の場合はどうなるかをそのままお話しできます。

出典

  • 国税庁「中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」(タックスアンサー・令和7年4月1日現在法令等)
  • 国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」(主な中小企業税制の見直し)
  • e-Gov法令検索「租税特別措置法」第42条の6・第42条の12の4・第67条の5

【メタディスクリプション】
中小企業投資促進税制の仕組みを、対象設備の5区分と金額の要件から整理しました。特別償却30パーセントと税額控除7パーセントの選び方、資本金による制限、令和8年度改正での工具40万円への引き上げ、経営強化税制との使い分けまで解説します。

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