パソコンの耐用年数は何年?減価償却のやり方を金額別に解説
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
パソコンの法定耐用年数は4年です。ただし、4年かけて償却するのは取得価額が一定以上のときだけで、10万円未満なら買った期に全額を経費にできます。この記事では、4年の根拠、金額ごとの処理、1台の金額の数え方、償却費の計算、中古パソコンと周辺機器の年数を、国税庁の公表資料(令和8年4月1日現在の法令等)に沿って整理します。
パソコンの耐用年数は何年?
結論: サーバー用を除くパーソナルコンピュータの法定耐用年数は4年です。サーバー用などその他の電子計算機は5年です。
電子計算機の区分と年数
法定耐用年数は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一にあります。パソコンは「器具及び備品」の「事務機器及び通信機器」にある電子計算機の区分です。
| 区分 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く) | 4年 |
| その他の電子計算機(サーバー用など) | 5年 |
ノートパソコンもデスクトップも区分は同じで、形で年数は変わりません。平成13年度の税制改正より前は、電子計算機の耐用年数は一律6年でした(国税庁「LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答」)。
サーバー用との違い
社員が日常の業務で使うパソコンは4年です。他の端末にファイルやシステムを提供するための専用機は、サーバー用として5年の区分になります。
耐用年数は寿命と別のもの
耐用年数は、税金の計算で購入代金を費用に変えていく年数です。パソコンの寿命や買い替えの目安とは関係がありません。4年を過ぎても使い続けてかまいません。
パソコンの処理でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、4年かけて償却する前提で処理すること、金額の数え方、使い始めの日の3つです。どれも、経費にできる額と時期がずれます。
決算の直前にまとめ買いしたパソコンを、4年かけて償却する形で台帳に載せていたと気づいて相談に来られる方が少なくありません。
4年かけるとは限らない
4年かけて償却するのは、取得価額が40万円以上のものが中心です。10万円未満なら、使い始めた期に全額を経費にできます。20万円未満の一括償却資産や、40万円未満の少額の特例を使える場合もあります。全部を4年に分けると、その期の利益が実際より大きく見え、納める税金が増えます。
請求書の合計額で判定してしまう
10万円未満かどうかは、請求書の合計ではなく、1台ごとなど取引の単位で判定します。合計で見て資産に回すと、本来その期に落とせた費用が4年に分かれます。数え方は、後の節で整理します。
税込の金額で判定してしまう
判定する金額は、会社の消費税の経理方式で決まります。税込のまま見て10万円以上と判断すると、全額を経費にできたものまで資産にしてしまいます。
納品日を使い始めの日と取り違える
償却は、事業に使い始めた日から始まります。決算日の前に納品されても、設定が終わって使い始めたのが翌期なら、その期の費用にはなりません。
直近の購入の請求書と固定資産台帳をお持ちいただければ、1台ごとの金額の判定と、使い始めた日による計上の期を一緒に確かめます。
購入金額ごとの処理は?
結論: 判定する金額は1台などの単位ごとです。10万円未満は全額を費用にし、10万円以上は一括償却資産・少額の特例・通常の償却のいずれかになります。
金額ごとの処理の早見表
法人の場合、令和8年4月1日以後に取得したパソコンは、次のとおり処理します。
| 取得価額(1単位) | 処理 | 償却資産税 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 使い始めた期に全額を費用にする | 対象外 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産(3年で均等)、少額の特例、通常の償却から選ぶ | 一括償却資産は対象外。ほかは対象 |
| 20万円以上40万円未満 | 少額の特例を適用するか、通常の償却にする | 対象 |
| 40万円以上 | 通常の償却(パソコンは4年) | 対象 |
少額の特例(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)は、青色申告書を出す中小企業者のうち、常時使用する従業員が400人以下の法人が使えます。年間の合計は300万円までです。令和8年3月31日までに取得したものは、30万円未満が基準でした(国税庁タックスアンサーNo.5408)。
経理方式で判定額が変わる
判定する金額は、税抜経理の会社なら税抜、税込経理の会社なら税込です。免税事業者は税込経理しか選べないため、税込で判定します。
国税庁の質疑応答では、税込107,800円のパソコンは、税抜経理なら税抜98,000円で10万円未満になり、全額を費用にできるとしています。
1台の金額はどう数える?
結論: 取得価額は、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。パソコンは1台ずつ、本体とプリンターは別々に判定します。
単位を決める通達の考え方
法人税基本通達7-1-11は、工具、器具及び備品を1個、1組、1そろいごとに判定するとしています。最高裁平成20年9月16日の判決は、単独で機能し収益の獲得に寄与するものを単位とする考え方を示しています。
まとめ買いは1台ごと
1台8万円のノートパソコンを5台買い、請求書が40万円でも、判定は1台8万円です。5台とも10万円未満として、全額を費用にできます。
本体とモニターの数え方
本体とプリンターは、それぞれ単独で機能するので別々に判定します。本体とモニターは、購入の形で分けます。
セット商品として売られているものは1組、別売のものは別々です。判断に迷う組み合わせは、購入のときに理由を残します。
耐用年数4年の償却の計算は?
結論: 40万円以上のパソコンは、耐用年数4年で償却します。定額法は取得価額×0.250、200%定率法は期首の未償却残高×0.500が基本の計算です。
定額法と定率法の選び方
法人の器具備品は、償却方法の届出がなければ定率法になります。定額法を選ぶなら、届出が必要です。個人事業主は定額法が原則です。
60万円のパソコンの例
取得価額60万円(説明用の金額です)を、買った期から1年分ずつ償却した場合の例です。
| 年 | 定額法 | 200%定率法 |
|---|---|---|
| 1年目 | 150,000円 | 300,000円 |
| 2年目 | 150,000円 | 150,000円 |
| 3年目 | 150,000円 | 75,000円 |
| 4年目 | 149,999円 | 74,999円 |
定額法は、償却率0.250を毎年同じ取得価額に掛けます。定率法は、償却率0.500を前の期末の残高に掛け、3年目までに償却額が償却保証額(取得価額×保証率0.12499=74,994円)に近づくため、4年目に切り替えます。どちらも最後の年に1円を残し、合計は599,999円です。
償却の始まりと終わりは?
結論: 償却は、事業に使い始めた日の属する月から始まります。廃棄したときは、その期に除却の処理をします。
使い始めた月から月割りにする
購入した日でも代金を払った日でもなく、事業の用に供した日からです。1年分の償却費に、使い始めた月から期末までの月数を掛けて12で割ります。1か月に満たない端数は1か月として数えます。3月決算の会社が10月に使い始めた60万円のパソコンなら、10月から3月までの6か月分です。定額法なら150,000円の6か月分で、75,000円になります。
少額の特例や10万円未満で全額を費用にする場合も、使い始めた期でなければ適用できません。箱に入ったまま決算日を迎えたパソコンは、その期の費用になりません。
廃棄したときは除却の処理をする
使わなくなったパソコンを廃棄したら、帳簿に残る金額を除却損として費用にします。倉庫に置いたままでは除却になりません。廃棄した日がわかる業者の領収書や明細を残しておきます。
物理的に処分していなくても、今後使う可能性がないことが明らかなときは、有姿除却ができます(法人税基本通達7-7-2)。
中古パソコンの耐用年数は?
結論: 中古パソコンは、簡便法で耐用年数を短くできます。法定耐用年数を全部経過したものは、4年×20%の0.8年ですが、下限の2年になります。
簡便法の計算
簡便法は、一部を経過したものなら、法定耐用年数から経過年数を引いた年数に、経過年数の20%を加えます。端数の1年未満は切り捨て、2年に満たなければ2年です(国税庁タックスアンサーNo.5404)。
| 経過年数 | 計算 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 1年 | (4−1)+1×0.2=3.2年 | 3年 |
| 2年 | (4−2)+2×0.2=2.4年 | 2年 |
| 3年 | (4−3)+3×0.2=1.6年 | 2年 |
| 4年以上 | 4×0.2=0.8年 | 2年 |
簡便法が使えない場合
増設や改造に使った資本的支出が、同じ新品を買う価額(再取得価額)の50%を超えると、簡便法は使えません(耐用年数通達1-5-2)。中古の1台が10万円未満なら全額を費用にできるので、計算が要るのは高額な場合です。
周辺機器の耐用年数は?
結論: プリンターは5年、ルーターやハブは10年、別に買うソフトウエアは5年です。パソコンと一緒に買っても、機器ごとに年数が分かれます。
機器ごとの区分と年数
国税庁の質疑応答に、LAN設備を構成する資産の区分があります。
| 機器 | 区分 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| プリンター | 器具及び備品の「その他の事務機器」 | 5年 |
| ハブ・ルーター・LANボード | 器具及び備品の「電話設備その他の通信機器」の「その他のもの」 | 10年 |
| 別に買うソフトウエア | 無形減価償却資産の「その他のもの」 | 5年 |
ケーブルとモニターの扱い
機器をつなぐだけのケーブルは、つなぐ機器の附属品として、その機器の耐用年数を適用できます。建物の中に敷設されて建物と一体のものは、建物附属設備です。
モニターは、本体と1組として判定したものを、本体とあわせて4年で償却します。別に資産とするモニターは、別表に名前がないため、事務機器として5年にする例が一般的です。
よくある質問
4年を過ぎたパソコンは経費にできなくなりますか?
個人事業主のパソコンも耐用年数は同じですか?
リースやレンタルのパソコンも、耐用年数で償却しますか?
パソコンの修理や増設の費用は、どう処理しますか?
まとめ:金額で処理を選ぼう
- パソコンの法定耐用年数は4年。サーバー用は5年
- 判定は1台などの単位ごとに、会社の経理方式の金額で行う
- 10万円未満は全額を費用にでき、40万円以上は4年で償却する
- 償却は使い始めた月から。期末の購入は使い始めの日を確かめる
- 中古は簡便法で最短2年。プリンターは5年、ルーターは10年
直近に購入したパソコンの処理に不安がある方、台帳にある資産の単位や年数を見直したい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。請求書と固定資産台帳をお持ちいただき、金額の判定と償却方法を確認して整理します。
出典
- e-Gov 法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(第3条・別表第一)
- 国税庁 タックスアンサー No.5403「少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示」
- 国税庁 タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」
- 国税庁 タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
- 国税庁 質疑応答事例「消費税等の経理処理方式の違いによる少額の減価償却資産の判定」
- 国税庁「LAN設備の耐用年数の取扱いに関する質疑応答」
- 国税庁 法人税基本通達 7-1-11・7-7-2・7-8-3
- 国税庁 耐用年数の適用等に関する取扱通達 1-5-2





