役員報酬の手取りはいくら?令和8年の月額別シミュレーション

監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉

役員報酬が月額150万円なら、手取りは約99万円です。月額50万円なら約39万円、月額30万円なら約24万円になります(独身で扶養する家族がおらず、東京都の協会けんぽに加入する40歳未満の役員の場合。説明用の金額です)。早見表のあと、手取りの境目、増額の時期、家族の扶養を、令和8年度の制度(2026年10月時点)で整理します。

役員報酬の月額別の手取りは?

結論: 独身で扶養する家族がいない場合、手取りは月額30万円で約24万円、50万円で約39万円、100万円で約72万円、150万円で約99万円です。額が上がるほど、手取りの割合は80%から66%へ下がります。

月額別の手取りの早見表

毎月同じ額で払い、賞与がない場合の1か月分です(説明用の金額です)。

月額の役員報酬 社会保険料(本人負担) 所得税 住民税 手取り 手取りの割合
300,000円 42,570円 3,800円 12,500円 241,130円 80.4%
500,000円 70,950円 12,700円 25,700円 390,650円 78.1%
700,000円 95,258円 42,700円 40,700円 521,342円 74.5%
1,000,000円 108,867円 104,800円 69,300円 717,033円 71.7%
1,500,000円 129,530円 258,900円 117,200円 994,370円 66.3%

社会保険料は、健康保険料、子ども・子育て支援金、厚生年金保険料の本人負担の合計です。所得税と住民税は、年間の税額を12で割り、100円未満を四捨五入しています。

計算の前提

  • 社会保険料:協会けんぽ東京支部の令和8年3月分からの保険料額表。健康保険9.85%、子ども・子育て支援金0.23%(令和8年4月分から)、厚生年金保険18.3%を、会社と本人が半分ずつ負担します。40歳未満なので介護保険料はありません
  • 所得税:令和8年分。給与所得控除は国税庁のタックスアンサーNo.1410、基礎控除は合計所得金額が489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超で62万円です。税率は同No.2260の速算表で、復興特別所得税2.1%を加えています
  • 住民税:令和8年度分の所得割10%と基礎控除43万円。前年も同額の報酬だったとして、均等割と調整控除は含めずに計算しています
  • 家族と所得:独身、扶養する家族なし、他の所得なし

給与明細の所得税は、12月の年末調整で年間の税額に精算されます。令和8年分の基礎控除の引き上げも年末調整で反映されるため、明細の金額と表の月額換算は一致しません。

手取りを求める順番
1

社会保険料を出す
標準報酬月額の等級に保険料率を掛け、本人負担の半分を求める
2

給与所得を出す
年間の役員報酬から給与所得控除を引く
3

課税所得を出す
給与所得から、社会保険料と基礎控除を引く
4

所得税と住民税を出す
所得税は速算表、住民税の所得割は課税所得に10%を掛ける
5

手取りを出す
報酬から、社会保険料と税金の月額を引く

手取りの計算でよくある間違いは?

結論: 間違えやすいのは、社会保険料を報酬額で見積もる、住民税の始まりを読み違える、会社の負担を入れ忘れる、の3つです。どれも、手取りか会社の資金を多く見積もる原因になります。

役員報酬を上げたあとの月に、想定より手取りが少ないと気づいて相談に来られる方が少なくありません。

社会保険料を報酬額で見積もる

社会保険料は、報酬額ではなく、標準報酬月額という等級の金額に保険料率を掛けて決まります。同じ等級のあいだは保険料が変わらず、等級が上がる境目でまとまって増えます。40歳から64歳は、標準報酬月額の1.62%の介護保険料が加わり、40歳になると手取りが減ります。

住民税の始まりを読み違える

住民税は前年の所得に対して課税され、給与から差し引くのは6月から翌年5月までです(東京都主税局)。報酬を上げた年の住民税は変わらず、翌年6月から増えます。報酬を下げた年は逆に、前年の高い所得への住民税が残ります。

会社の負担を入れ忘れる

手取りだけで報酬を決めると、会社が払う分が抜けます。会社は、本人と同額の社会保険料に加えて、子ども・子育て拠出金(厚生年金保険の標準報酬月額の0.36%)を払います。月額50万円なら、会社の負担は72,750円で、報酬と合わせた毎月の支出は約57万円です。

直近の給与明細と標準報酬月額の決定通知書、前期の決算書をお持ちいただければ、いまの等級と増額後の保険料、翌年6月からの住民税、会社の毎月の支出を並べて、決める額を一緒に確かめます。

役員報酬の手続きはまるごとお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

手取りの増え方が変わる境目は?

結論: 境目は4つです。社会保険料の等級、厚生年金保険の上限(月65万円)、給与所得控除の上限(年収850万円超)、令和8年分・令和9年分の基礎控除の段差です。

社会保険料の等級の段差

標準報酬月額は、報酬月額を区切った等級です。健康保険は第1級の58,000円から第50級の1,390,000円まで、厚生年金保険は第1級の88,000円から第32級の650,000円までで、報酬が区切りを超えると保険料は次の等級の額に切り替わります(協会けんぽ東京支部の保険料額表)。

報酬が514,000円なら標準報酬月額は500,000円で本人負担は70,950円、515,000円なら530,000円で75,206円です。報酬が1,000円増えただけで、本人の保険料は4,256円増え、会社の負担も子ども・子育て拠出金を含めて約4,400円増えます。報酬が41万円を超える帯の等級の幅は3万円から6万円で、増額が等級をまたぐかどうかで増える保険料が変わります。

厚生年金保険と健康保険の上限

報酬月額が635,000円以上になると、厚生年金保険料は第32級の59,475円(本人負担)で止まります。健康保険は、報酬月額が1,355,000円以上の第50級まで増えます。月額100万円や150万円の表で社会保険料の増え方が小さいのは、このためです。賞与の上限は、健康保険が年度の累計573万円、厚生年金保険が1か月150万円です。

厚生年金保険の上限は、令和9年9月に68万円、令和10年9月に71万円、令和11年9月に75万円へ上がります(厚生労働省)。

給与所得控除の上限

令和8年分の給与所得控除は、給与収入が220万円まで74万円で、850万円を超えると上限の195万円です(国税庁のタックスアンサーNo.1410)。月70.9万円前後を超えた報酬は、控除が増えず、そのまま課税所得になります。

基礎控除の特例による段差

所得税の税率は、区分をまたいでも超えた部分にだけ高い税率がかかり、段差になりません。一方、令和8年分と令和9年分の基礎控除は、合計所得金額が489万円を超えると104万円から67万円へ、655万円を超えると62万円へ下がります。

扶養する家族がいない独身の場合、合計所得金額が489万円を超えるのは、月額が約55.5万円(年収約666万円)を超えたときです。月55.4万円なら年間の所得税は約195,400円、月55.5万円なら約234,300円で、1,000円の増額で約3.9万円増えます(復興特別所得税を含む説明用の金額です)。655万円を超える段差は約1.1万円で、令和10年分以後は特例の中身が変わります(国税庁)。

社会保険料と税金の増え方の違い
社会保険料
標準報酬月額の等級で決まる
等級が上がる報酬の水準で段差が出る
厚生年金保険は月65万円で増えなくなる
健康保険は月139万円で増えなくなる
所得税と住民税
課税所得に応じて増える
税率が上がるのは超えた部分だけ
住民税の所得割は一律10%
令和8年分と令和9年分は基礎控除に段差がある

5万円増額で手取りはいくら増える?

結論: 月額を5万円上げたときの手取りの増加は、30万円からなら約3.7万円、100万円からなら約3.1万円、145万円からなら約2.8万円です。

増額分の手取りの増え方

増額 社会保険料の増加 所得税の増加 住民税の増加 手取りの増加 増額に対する割合
30万円から35万円 8,514円 1,600円 3,100円 36,786円 73.6%
70万円から75万円 2,016円 10,500円 4,700円 32,784円 65.6%
100万円から105万円 2,519円 11,200円 4,800円 31,481円 63.0%
145万円から150万円 0円 16,800円 5,000円 28,200円 56.4%

前提は早見表と同じで、説明用の金額です。

増額分が手取りに残りにくくなる理由

月額70万円から75万円では、厚生年金保険が上限に達しているため、増えるのは健康保険料だけです。月額145万円から150万円では社会保険料が増えず、増えた報酬に所得税33%(復興特別所得税を含めて約33.7%)と住民税10%がかかるため、手取りは増額の56.4%です。

役員報酬の増額はいつ手取りに出る?

結論: 所得税は増額した月から、社会保険料は4か月目か9月から、住民税は翌年6月から変わります。増額後の数か月は、手取りが一定になりません。

源泉所得税は、支払のたびに、その月の報酬額に応じた額が引かれ、増額した月から増えます。12月の年末調整で年間の税額との差が精算されます。

社会保険料の反映時期

役員報酬の月額の改定は、固定的賃金の変動に当たります。増額後の報酬を初めて受けた月から3か月の平均で標準報酬月額を出し、従前と2等級以上の差があれば、4か月目から保険料が変わります。4月から増額した場合は7月からです(随時改定。日本年金機構)。

差が1等級にとどまる場合は対象外で、毎年9月に4月から6月の報酬の平均で標準報酬月額を改める定時決定を待ちます。報酬が41万円を超える帯は等級の幅が3万円から6万円あるため、5万円の増額は1等級の差にとどまることが多く、その場合は9月まで保険料が変わりません。

住民税の反映時期

期首の4月に増額すると、所得税は4月、社会保険料は7月か9月、住民税は翌年6月と、3つの負担が別々の月に増えます。

扶養する家族がいるときの手取りは?

結論: 家族の扶養は、社会保険の被扶養者(年間収入130万円未満。19歳以上23歳未満は150万円未満)と、所得税の配偶者控除・配偶者特別控除の2つで手取りに影響します。

社会保険の被扶養者の収入基準

被扶養者になれる家族は、年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)で、同居なら役員本人の収入の半分未満、別居なら本人からの仕送り額未満であることが条件です。令和7年10月1日以後に扶養の認定を受ける19歳以上23歳未満の親族(役員の配偶者を除く)は、年間収入の基準が150万円未満です。年齢は、認定日が属する年の12月31日時点で判定します(日本年金機構)。

配偶者控除と配偶者特別控除の違い

配偶者の所得に応じて控除額が段階的に減るのは、配偶者特別控除だけです。配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が62万円以下なら一定の額で、62万円を超えると使えなくなり、62万円超133万円以下の配偶者特別控除に切り替わります(国税庁のタックスアンサーNo.1191、No.1195。令和8年分)。最高額は38万円です。

役員本人の合計所得金額が1,000万円を超えると、どちらの控除も受けられません。給与所得控除が上限の195万円のとき、役員報酬が年1,195万円(月99.6万円)を超えると、どちらも受けられなくなります。

よくある質問

役員報酬150万円の手取りはいくらですか?
独身で扶養する家族がおらず、東京都の協会けんぽに加入する40歳未満なら、約99万円(994,370円)です。内訳は早見表のとおりです(令和8年度の説明用の金額です)。
賞与で受け取ると、手取りは変わりますか?
賞与にも社会保険料がかかります。賞与額から1,000円未満を切り捨てた標準賞与額に保険料率を掛けて決まります。役員賞与を損金の額に算入するには、事前確定届出給与の要件と届出の期限を先に確かめます。
シミュレーションの手取りが、給与明細と合わないのはなぜですか?
毎月の所得税は年末調整で精算され、住民税は前年の所得で決まるためです。表は、均等割と調整控除を含めず、前年も同額の報酬だった前提で計算しています。実際の額は、給与明細と住民税の通知書で確かめてください。

まとめ:境目と前提を先に確かめよう

  • 独身で扶養する家族がいない場合、手取りは月額30万円で約24万円、50万円で約39万円、100万円で約72万円、150万円で約99万円です
  • 社会保険料は等級で決まり、境目で段差が出ます。厚生年金保険は月65万円で増えなくなります
  • 令和8年分と令和9年分は、合計所得金額489万円を超えると基礎控除が下がり、所得税に段差が出ます
  • 増額の影響は、所得税が増額月、社会保険料が4か月目か9月、住民税が翌年6月に出ます

増額を考えていて、手取りと会社の資金繰りが合うか確かめたい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。給与明細と決算書をもとに、等級の境目と翌年の住民税まで入れた手取りの表を作ります。

役員報酬の手続きはまるごとお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

出典

  • 全国健康保険協会「令和8年3月分からの保険料額表(東京支部)」
  • 日本年金機構「随時改定(月額変更届)」「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定の年間収入要件」
  • 厚生労働省「社会保障審議会年金部会 提出資料」(令和7年6月30日)
  • 国税庁 タックスアンサー No.1410・No.1199・No.2260・No.1191・No.1195、「令和8年分 年末調整のしかた」
  • 東京都主税局「個人住民税」、総務省「個人住民税について」(令和7年5月15日)

この記事の監修者

中村 清誉

中村 清誉

税理士法人Light UP 代表社員(税理士)

近畿税理士会 尼崎支部 登録番号 5957(税理士法人Light UP)

2013年に税理士事務所を創設。2019年からは会計・コンサルティング・M&Aの支援へ業務を広げ、現在は職員70名の体制で中小企業の税務と経営を支えています。

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