法人税の中間納付とは?必要か不要かの判定と納め方を解説
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
法人税の中間納付は、前期の法人税額を6か月ぶんに換算した額が10万円を超える会社だけが、事業年度の途中で納める仕組みです。12か月決算なら、前期の法人税額が20万円を超えるかどうかが目安になります。納め方は、前期の実績で計算する予定申告と、上半期を決算し直す仮決算の2つです。この記事では、要否の判定、納め方の選び方、申告書を出さなかったときの扱い、損金の扱いを、国税庁の資料と法人税法(2026年10月時点)に沿って整理します。
法人税の中間申告は必要?
結論: 事業年度が6か月を超える普通法人は、前期の法人税額を月数で割って6か月ぶんに直した額が10万円を超えると、中間申告が必要です。12か月決算なら、前期の法人税額が20万円を超える会社が対象です。
判定の式と10万円の線
法人税法71条1項は、前期の法人税額を前期の月数で割り、中間期間の月数(事業年度の開始から6か月ぶん)を掛けた金額が10万円以下か、その金額がないときは、中間申告書を出さなくてよいと定めています。
前期の法人税額 ÷ 前期の月数 × 6 = 10万円を超えるか
判定に使う前期の法人税額は、所得税額控除などを差し引く前の額です(法人税法74条1項2号)。判定に使えるのは、6か月を経過した日の前日までに確定した税額です。
| 前期の月数 | 前期の法人税額 | 6か月ぶんに換算 | 中間申告 |
|---|---|---|---|
| 12か月 | 200,000円 | 100,000円 | 不要 |
| 12か月 | 210,000円 | 105,000円 | 必要 |
| 6か月 | 120,000円 | 120,000円 | 必要 |
| 12か月 | 0円(赤字) | なし | 不要 |
金額は説明用です。20万円ちょうどは、換算するとちょうど10万円で、10万円以下に当たるため不要です。
前期が12か月でない会社
決算月を変えた翌期や設立2期目の会社は、前期が12か月ではありません。20万円という目安は使えず、月数で割り直して判定します。表の3行目のとおり、前期が6か月で法人税額が12万円なら、換算しても12万円で、10万円を超えるため対象です。
期限は6か月経過日から2か月以内
期限は、事業年度の開始から6か月を経過した日から2か月以内です(法人税法71条1項)。期限が土日祝日にあたるときは、次の開庁日になります(国税通則法10条2項)。
| 決算月 | 事業年度の開始 | 6か月を経過した日 | 申告と納付の期限 |
|---|---|---|---|
| 3月 | 4月1日 | 10月1日 | 11月30日 |
| 9月 | 10月1日 | 4月1日 | 5月31日 |
| 12月 | 1月1日 | 7月1日 | 8月31日 |
法人税の中間納付でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、20万円の目安だけで要否を決めること、納付書が届かないまま納め忘れること、仮決算の税額を年の枠のまま計算することの3つです。どれも、延滞税や納めすぎにつながります。
11月末の期限の直前になって、納付書が届いていないと相談に来られる3月決算の会社は少なくありません。
20万円の目安だけで要否を決める
決算月を変えた会社や設立2期目の会社が、20万円以下だからと判断すると、対象なのに納めないことになります。申告書は出さなくても済みますが、納めていない税額が残り、延滞税の対象になります。
納付書が届かず納め忘れる
e-Taxで申告書を出している会社には、法人税の予定申告分の納付書は送られません(国税庁「納付書の事前送付に関するお知らせ」)。前期の確定申告をe-Taxで行っていれば、期限の月の上旬に、必要な情報がe-Taxのメッセージボックスに入ります。
一方で、消費税の中間申告の納付書は引き続き届くため、消費税の書類は届くのに法人税の納付書だけ届かないことが起こります。
仮決算の税額を年の枠のまま計算する
仮決算は、上半期の6か月を1つの事業年度とみなして税額を計算します。1年に満たない事業年度では、中小法人の軽減税率が掛かる年800万円の枠が、月数に応じて縮みます。6か月なら400万円です(法人税法66条4項)。800万円の枠のまま計算すると、税額を実際より低く見積もり、仮決算が予定申告より有利と取り違えます。
前期の申告書と上半期の試算表をお持ちいただければ、中間申告の要否と、予定申告・仮決算それぞれの納付額を一緒に確かめます。
予定申告と仮決算はどちらを選ぶ?
結論: 前期並みの業績なら予定申告、上半期の業績が前期より大きく落ちているなら仮決算で納付額を抑えられます。ただし、仮決算の税額が予定申告の額を超える場合は、仮決算を選べません。
予定申告の計算
予定申告の税額は、先ほどの式で出した金額そのものです。
前期の法人税額 ÷ 前期の月数 × 6 = 中間納付の税額
前期が12か月で法人税額が240万円なら、240万円÷12×6で120万円です(説明用の金額です)。今期の業績は計算に入れないため、上半期の決算作業は要りません。3月決算なら、前期の確定申告が終わる5月末に、11月末に納める額が決まります。
業績が落ちていても額は変わらないのが、予定申告の弱点です。
仮決算の計算
仮決算では、事業年度の開始から6か月の期間を1つの事業年度とみなし、所得と税額を計算します(法人税法72条1項)。棚卸や減価償却費などを6か月ぶんで行うため、決算とほぼ同じ作業です。期間の末日の貸借対照表と、その期間の損益計算書も添えて出します(同条2項)。
税率は、年800万円の枠が400万円に縮みます。予定申告の額が120万円の会社の例です(説明用の金額で、所得税額控除などは考えません)。
| 上半期の所得 | 仮決算の法人税 | 予定申告(120万円)との比較 | 仮決算 |
|---|---|---|---|
| 赤字 | 0円 | 120万円少ない | 選べる |
| 500万円 | 83万2,000円 | 36万8,000円少ない | 選べる |
| 1,000万円 | 199万2,000円 | 79万2,000円多い | 選べない |
1,000万円の行は、400万円×15%(60万円)と、600万円×23.2%(139万2,000円)の合計で、予定申告の額を超えます。
仮決算を選べない場合
仮決算による中間申告は、次の2つの場合は提出できません(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」、法人税法72条1項ただし書)。
- 前期の法人税額を換算して10万円以下、または前期の法人税額がなく、中間申告そのものが不要な場合(災害による損失がある場合を除く)
- 仮決算で計算した法人税の額が、予定申告の額を超える場合
予定申告の額が上限になるため、仮決算は納付額を下げる方向にしか使えません。予定申告との差が、上半期を決算する手間に見合うかで選びます。
中間申告書を出さなかったらどうなる?
結論: 提出期限までに中間申告書を出さなくても、前期の実績で計算した予定申告があったものとみなされます(法人税法73条)。申告書は出さなくても、納付の義務は残り、遅れれば延滞税がかかります。
みなし申告の仕組み
中間申告書を出すべき会社が期限までに出さなかったときは、その期限に予定申告の中間申告書が出たものとして扱われます。
納付が遅れたとき
申告はみなされても、納付まではみなされません。期限までに納めなければ、期限の翌日から納めた日まで延滞税がかかります。
仮決算で出すなら期限内に
仮決算で納める年は、期限までに中間申告書と添付書類を出します。出さなければ予定申告の額を納めることになります。
地方税や消費税の中間申告は?
結論: 地方法人税と、事業税・法人住民税は、法人税の中間申告に連動します。消費税と防衛特別法人税は、別の基準と時期で中間申告が決まります。
地方法人税と地方税
法人税の中間申告書を出す会社は、地方法人税の中間申告書も同じ期限で出します(国税庁「法人税のあらましと申告の手引」)。
事業税は、法人税の中間申告が不要な会社(前期の法人税額を換算して10万円以下、または前期の法人税額がない会社)は、中間申告も不要です(地方税法72条の26第8項)。ただし、外形標準課税の対象法人などは例外です。
法人住民税は、法人税の中間申告書を出す義務がある会社が、都道府県と市町村に申告します(地方税法321条の8)。提出先は税務署でなく自治体です。均等割のように所得に関係なく決まる税は、法人税が0円になる仮決算でも別に発生します。
消費税
消費税の中間申告は、法人税とは別の基準で決まります。前の課税期間の確定消費税額(国税)で、回数が分かれます(国税庁タックスアンサーNo.6609)。
48万円以下は原則として不要(任意の中間申告制度あり)、48万円超400万円以下は年1回、400万円超4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回です。法人税が不要でも消費税の中間申告が必要なことがあるため、別々に確かめます。
防衛特別法人税
防衛特別法人税は令和8年4月1日以後に開始する事業年度から納めますが、中間申告書は令和9年4月1日以後に開始する事業年度から出します(国税庁「防衛特別法人税の創設に関するご案内・留意事項について」)。3月決算の会社なら令和9年4月に始まる期からです。
中間納付の会計処理と税金の計算は?
結論: 会計では、納付時に仮払法人税等として資産に入れ、決算で年税額から差し引いて精算します。税金の計算では、中間納付でも確定納付でも、事業税以外は損金に算入できません。
納付時の仕訳
中間納付は年税額の前払いなので、納めた時点では費用にしません。借方は仮払法人税等、貸方は現金預金です。租税公課などの費用で処理すると、納めた月の利益が実際より小さく見えます。
決算での精算と還付
確定申告で年税額が決まったら、年税額から中間納付額を引いた額が、未払法人税等になります。年税額が200万円で中間納付が120万円なら、未払法人税等は80万円です(説明用の金額です)。
中間納付が年税額を上回ったときは、上回った額が確定申告で還付され、決算で未収還付法人税等として資産に入れます。
損金に入る税金と入らない税金
損益計算書には、年税額が費用として出ます。しかし税金の計算では、費用にした額のうち損金に算入できないものがあり、法人税の申告書の別表四で加算します。中間納付か確定納付かは関係ありません。
| 税金 | 中間納付の分 | 確定納付の分 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 損金に算入できない | 損金に算入できない |
| 法人住民税 | 損金に算入できない | 損金に算入できない |
| 事業税・特別法人事業税 | 申告書を出した事業年度の損金に算入できる | 申告書を出した事業年度の損金に算入できる |
根拠は、法人税と地方法人税が法人税法38条1項、法人住民税が同条2項、事業税が国税庁タックスアンサーNo.5300(令和8年4月1日現在法令等)です。事業税は納税申告書を出した事業年度の損金なので、中間申告で納めた分は、中間申告書を出した事業年度の損金に算入できます。
よくある質問
中間納付した税金は、経費になりますか?
納付書が届かないときは、どうしたらよいですか?
上半期が赤字なら、中間納付は0円になりますか?
まとめ:判定と額を先に決めよう
- 中間申告が必要なのは、前期の法人税額を6か月ぶんに換算して10万円を超える会社。12か月決算なら前期の法人税額が20万円を超える会社
- 期限は6か月を経過した日から2か月以内。3月決算なら11月30日
- 予定申告は前期の実績で計算し、仮決算は上半期の実績で計算する。仮決算の税額が予定申告を超えるときは選べない
- 申告書を出さなくても予定申告があったものとみなされる。納付は必要で、納付書は届かないことがある
- 税金の計算で損金に算入できるのは、事業税だけ
前期の法人税額が10万円の境目にある方、上半期の業績が前期から落ちている方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。前期の申告書と上半期の試算表を確認し、予定申告と仮決算それぞれの納付額と必要な作業を整理します。
出典
- e-Gov法令検索「法人税法」(第38条・第66条・第71条・第72条・第73条・第74条)
- e-Gov法令検索「地方税法」(第72条の26・第321条の8)
- 国税庁「法人税のあらましと申告の手引」(令和7年10月)
- 国税庁「納付書の事前送付に関するお知らせ」
- 国税庁 タックスアンサー No.5300「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
- 国税庁 タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」
- 国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」
- e-Tax「防衛特別法人税の創設に関するご案内・留意事項について」





