消費税の中間申告・中間納付は年何回?回数の決まり方と計算方法
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
消費税の中間納付の回数は、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を除く)で決まります。48万円超から400万円以下は年1回、400万円超から4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回です。1回の納付額は前年の確定消費税額の12分の6・12分の3・12分の1で、1年に前払いする合計は12分の6・12分の9・12分の11になります。この記事では、回数ごとの金額と期限、仮決算、書類を出さなかったときの扱いを、国税庁の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。
消費税の中間納付は年何回?
結論: 中間納付の回数は年1回・年3回・年11回の3段階です。直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を除く)が48万円超なら年1回、400万円超なら年3回、4,800万円超なら年11回になります。
回数と1回の金額の早見表
国税庁のタックスアンサーNo.6609(令和8年4月1日現在法令等)が示す区分は、次のとおりです。1回の納付額は、消費税の分に、その78分の22の地方消費税を併せて納めます。
| 直前の課税期間の確定消費税額 | 中間申告の回数 | 1回の中間納付税額(消費税分) | 1年に前払いする合計(消費税分) |
|---|---|---|---|
| 48万円以下 | 原則として不要(任意の制度あり) | ― | ― |
| 48万円超から400万円以下 | 年1回 | 前年の12分の6 | 12分の6 |
| 400万円超から4,800万円以下 | 年3回 | 前年の12分の3 | 12分の9 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 前年の12分の1 | 12分の11 |
1年の合計は回数で変わる
年11回は、1回が小さくても11回分が積み上がります。1年に前払いする合計は、年1回で前年の12分の6(半分)、年3回で12分の3の3回分にあたる12分の9(4分の3)、年11回で12分の1の11回分にあたる12分の11です。回数が増えるほど、確定申告の前に払う割合が増えます。
中間納付は前払いなので、確定申告で精算されます。回数が違っても、1年を通して負担する税額は変わらず、変わるのは資金が出ていく時期です。
48万円の判定は消費税だけで行う
判定に使う48万円は消費税の年税額で、地方消費税を含みません(No.6609注1)。納付書や申告書の合計額ではなく、消費税の金額で見ます。個人事業者は前年、法人は前事業年度が直前の課税期間です。
使う確定消費税額は、中間申告対象期間(1回の中間申告の対象になる期間)の末日までに確定した年税額です。
課税期間の特例で3か月ごと・1か月ごとに申告している事業者は、中間申告書が不要です。
分割払いとは別の制度
分納や分割払いと混同する方がいますが、中間納付は、払えない税額を分けて払う猶予の制度ではありません。当期の税額を先に納める前払いです。払えない分を分けて納めたいときは、換価の猶予や納税の猶予という別の制度を使います。
中間納付の判定でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、48万円の判定に地方消費税を含める、書類が来ないので対象外と考える、確定申告書の欄に払った額を書く、年間の合計を取り違える、の4つです。納め忘れや延滞税につながります。
判定に地方消費税を含める誤り
消費税と地方消費税の合計額で見ると、48万円の線を取り違えます。地方消費税を含めると78分の100なので、合計が約61万5,000円を超えたあたりが、消費税48万円超の目安です。合計で60万円と見て対象外と決めると、期限を過ぎてから気づくことになります。
書類が来ないことを対象外と考える誤り
税務署から書類が送られてこなくても、対象外の理由にはなりません。対象の事業者が期限までに中間申告書を出さないと、前年の実績による中間申告書の提出があったものとみなされ、税額が確定します(No.6609注3)。書類の有無ではなく、前期の確定消費税額が48万円を超えているかで、自分で判定します。
確定申告書の欄に払った額を書く誤り
確定申告書の中間納付税額の欄には、実際に納付した額ではなく、中間申告の際に納付すべき消費税額を書きます(No.6609)。仮決算で減らした年は、その申告書の税額です。払い忘れた回があっても納付すべきだった額を書き、未払いの本税と延滞税は別に残ります。
年間の合計を取り違える誤り
回数に関係なく合計は前年と同じ、と覚えると、資金計画が狂います。年1回から年3回に増えた年は、同じ前年の税額でも、確定申告までに出ていく金額が1.5倍になります。
前期の消費税の確定申告書と、今期の中間申告の納付書をお持ちいただければ、回数・1回の金額・期限を一緒に確かめ、仮決算で金額が変わるかも試算します。
中間納付の金額はどう計算する?
結論: 原則の金額は、前年の確定消費税額に12分の6・12分の3・12分の1のいずれかを掛けた額に、その78分の22の地方消費税を足した額です。当期の売上は反映されません。
計算式と説明用の金額
回数ごとの計算は次のとおりです(説明用の金額です)。
| 回数 | 前年の確定消費税額 | 1回の消費税分 | 1回の地方消費税分 | 1回の納付額 |
|---|---|---|---|---|
| 年1回 | 312万円 | 156万円 | 44万円 | 200万円 |
| 年3回 | 624万円 | 156万円 | 44万円 | 200万円(3回で600万円) |
| 年11回 | 5,616万円 | 468万円 | 132万円 | 600万円(11回で6,600万円) |
年3回の例の1年の消費税分は468万円(前年の12分の9)、年11回の例は5,148万円(12分の11)です。
当期の売上が落ちても金額は変わらない
原則の中間納付は、前年の実績を機械的に分けた金額です。前年より売上が大きく減った年でも、納める金額は前年の実績で決まります。
直前の期が12か月に満たない会社
直前の課税期間が12か月に満たない場合は、計算方法が異なります(No.6609注4)。設立の翌期など、前の期が短い会社は、所轄の税務署や税理士に確かめてから納付します。
中間申告の期限はいつ?
結論: 期限は、各中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内です。申告書の提出と納付は同じ期限で、年11回だけ最初の期間の数え方が違います。
年1回・年3回の期限
個人事業者と、3月決算の法人の期限は次のとおりです。期限の日が土曜日・日曜日・祝日に当たるときは、休日明けの日が期限になります(国税通則法10条)。
| 回数 | 個人事業者(12月まで) | 3月決算の法人 |
|---|---|---|
| 年1回 | 1月から6月分を8月31日 | 4月から9月分を11月30日 |
| 年3回 | 1月から3月分を5月31日、4月から6月分を8月31日、7月から9月分を11月30日 | 4月から6月分を8月31日、7月から9月分を11月30日、10月から12月分を翌年2月末日 |
法人税の中間申告は、基準も金額も別の制度です。
年11回の期限
年11回の期限は、No.6609で次のとおりです。
| 個人事業者 | 法人 | |
|---|---|---|
| 最初の期間 | 1月から3月分は5月末日 | 課税期間開始後の1か月分は、課税期間開始日から2か月を経過した日から2か月以内 |
| 以後の期間 | 4月から11月分は、各期間の末日の翌日から2か月以内 | 最初の1か月分以後の10か月分は、各期間の末日の翌日から2か月以内 |
消費税の確定申告の期限を延長する特例を受けている法人は、最初の期間の数え方がさらに変わります(No.6609注5)。
仮決算なら金額を変えられる?
結論: 中間申告対象期間を1つの課税期間とみなして実額で計算する仮決算で、前年の実績による金額に代えて申告・納付できます。ただしマイナスでも還付はなく、期限を過ぎると使えません。
仮決算の進め方
仮決算は、中間申告対象期間の売上と仕入れから、消費税額と地方消費税額を計算し直す方法です(消費税法43条)。
簡易課税を選んでいる事業者は、仮決算でも簡易課税で計算します。申告書には、課税売上と課税仕入れ等の税額の明細などを付けます。
仮決算を選ぶ場面と選ばない場面
仮決算で金額が小さくなるのは、前年より課税売上が減った年や、設備投資などで課税仕入れが増えた年です。前年と同程度の年は、差が小さく、帳簿を締める手間に見合わないことがあります。
どちらを選んでも、1年の税額は確定申告で精算されます。変わるのは、中間の段階で手元から出ていく金額です。
仮決算の制約
仮決算で計算した税額がマイナスになっても、中間申告では還付を受けられません(No.6609)。還付は確定申告で受けます。
提出期限を過ぎた場合は、前年の実績による申告書の提出があったものとみなされるため、仮決算による申告書は期限後に出せません。
中間申告書を出さないとどうなる?
結論: 中間申告の義務がある事業者が期限までに申告書を出さないと、前年の実績による申告書の提出があったものとみなされ、税額が確定します。納めなければ延滞税がかかります。
みなし提出で税額が確定する
国税庁のタックスアンサーNo.6609は、期限までに出さない場合を「中間申告書の提出があったものとみなされ、直前の課税期間の実績により計算した消費税額が直ちに確定する」と示しています。出さなくても、納税は先に延びません。
納付が遅れたときの延滞税
納付が遅れると、法定納期限の翌日から納付の日までの延滞税を、本税と併せて納めます。
48万円以下でも中間申告できる?
結論: 直前の課税期間の確定消費税額が48万円以下の事業者は、届出書を出せば、年1回の中間申告・納付を自主的にできます。納付額は前年の確定消費税額の12分の6です。
任意の中間申告制度の届出
国税庁のタックスアンサーNo.6611によると、「任意の中間申告書を提出する旨」の届出書を税務署に出すと、提出日以後に末日が最初に来る6月中間申告対象期間から、中間申告・納付ができます。6月中間申告対象期間は、課税期間開始の日以後6か月の期間です。仮決算による申告も選べます。
出さないと制度の適用がやむ
任意の場合は、期限までに出さなくても、提出があったものとはみなされません。制度の適用をやめる届出書の提出があったものとみなされ、中間納付ができなくなります。義務のある事業者と結論が逆です。
使う価値がある場面
任意の中間申告で税額は減りません。納税が1回にまとまると資金がもたない会社が、半分を先に納めて負担を分けるための制度です。
確定申告ではどう精算する?
結論: 中間納付した税額は、確定申告のときに納付税額から差し引かれ、差し引ききれない分は還付されます。中間納付で、1年の税額が増えることはありません。
控除と還付
国税庁のタックスアンサーNo.6609によると、中間申告で納付した税額は確定申告の際に控除され、控除しきれない場合は還付されます。前年より売上が大きく落ちた年は、中間で納めた額が確定税額を上回り、差額が還付になることがあります。
中間納付の仕訳
中間納付を仮払消費税等で処理している会社は、決算の未払消費税等を、年の納付税額から中間納付の分を引いた額にします。二重に計上しないよう、納付書の控えと仮払消費税等の内訳を突き合わせます。
よくある質問
個人事業主にも中間納付はありますか?
中間納付の金額を、あとから減らせますか?
令和9年4月からの飲食料品の税率引下げで、中間納付は変わりますか?
まとめ:前期の税額から回数を決めよう
- 中間納付の回数は、前年の確定消費税額(地方消費税を除く)で、年1回・3回・11回に分かれます。
- 1年に前払いする合計は、年1回で12分の6、年3回で12分の9、年11回で12分の11です。
- 金額は前年の実績で決まり、当期の売上は反映されません。減らしたいときは、期限内の仮決算を使います。
- 申告書を期限までに出さなくても、前年の実績による提出があったものとみなされ、納付は残ります。
- 48万円以下でも、届出書を出せば年1回の中間申告ができます。
前年の消費税額が48万円を超えて中間申告の対象になった方、仮決算で金額が変わるかを確かめたい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。前期の消費税の申告書と今期の納付書を確認し、回数・金額・期限を整理したうえで、仮決算を組む場合の見通しを一緒に確認します。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 タックスアンサー No.6611「任意の中間申告制度」(令和8年4月1日現在法令等)
- 消費税法 第42条・第43条
- 国税通則法 第10条





