自動車税の勘定科目は租税公課|重量税・自賠責の仕訳の方法も解説
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
自動車税の勘定科目は租税公課です。毎年4月1日現在の車の所有者に課される税金で、事業で使う車なら全額が経費になり、消費税は対象外(不課税)として処理します。車検で払う自動車重量税も租税公課ですが、同じ請求書にある自賠責保険料は保険料、整備費用は車両費と、科目が分かれます。この記事では、車の支払いごとの科目と仕訳、車検の内訳、買うとき・売るときの扱い、個人事業主の按分を、国税庁と各都道府県の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。
自動車税の勘定科目は?
結論: 自動車税の勘定科目は租税公課です。自動車重量税と検査登録の印紙代も租税公課で、自賠責保険料は保険料に入れます。
車の支払いごとの早見表
車の支払いは、払う相手と性格で科目と消費税の区分が決まります。
| 支払うもの | 科目 | 消費税の区分 |
|---|---|---|
| 自動車税・軽自動車税 | 租税公課 | 不課税 |
| 自動車重量税 | 租税公課 | 不課税 |
| 環境性能割(令和8年3月31日に廃止) | 租税公課 | 不課税 |
| 検査登録・車庫証明の手数料(印紙・証紙) | 租税公課 | 非課税 |
| 自賠責保険料・任意保険料 | 保険料 | 非課税 |
| 車検の整備費用・部品代 | 車両費または修繕費 | 課税 |
| 車検や登録の代行手数料 | 支払手数料 | 課税 |
不課税は、そもそも消費税の対象にならない取引です。対象は事業者が対価を得て行う資産の譲渡等で、税金の納付はこれに当たりません(国税庁タックスアンサーNo.6105)。非課税は、対象ではあるものの政策的に課税しない取引で、国や地方公共団体が法令に基づいて行う検査・登録・証明などの手数料と、保険料が当たります(同No.6201)。
租税公課と車両費のどちらに入れるか
自動車税を車両費という科目に集めて、車1台あたりのコストを見やすくしている会社もあります。租税公課に入れても、車両費に集めても構いません。どちらかに決めて毎期そろえます。ガソリン代や駐車場代は税金ではないため、租税公課には入りません。
令和8年4月から変わった名前と税
令和8年4月1日から、自動車税種別割は自動車税、軽自動車税種別割は軽自動車税と名前が変わりました。税率は変わりません(兵庫県の案内)。環境性能割は令和8年3月31日で廃止され、4月1日以後に取得した車には課されません。
自動車税の処理でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、車検の請求書を一括で車両費にする、自賠責保険料を税金として扱う、中古車の未経過分を税金として処理する、の3つです。どれも、消費税の計算かその期の利益がずれます。
車検の請求書の総額をそのまま車両費で処理し、決算で内訳が気になって相談に来られる方が少なくありません。
車検の請求書を一括で車両費にする
車検の請求書には、課税、非課税、不課税の3つが並びます。総額を車両費で入れると、重量税、自賠責保険料、印紙代まで消費税を払ったものとして扱い、仕入れの消費税として差し引く額が実際より多くなります。原則課税の事業者なら、納める消費税が少なく出てしまい、後から指摘されれば追加で納めます。簡易課税の事業者は、仕入れの区分が納める額に影響しません。
自賠責保険料を税金として扱う
自賠責保険は加入が法律で義務づけられていますが、払う相手は保険会社で、科目は保険料です。義務だから税金と考えて租税公課に混ぜると、保険料の総額が決算書から分からなくなります。それより大きいのは期間です。車検のたびに1年を超える期間をまとめて払うため、翌期以降の分は前払費用に回すのが原則で、全額をその期の費用にすると利益が実際より小さく出ます。
中古車の未経過分を租税公課にする
中古車を買うと、請求書に自動車税相当額の行が付くことがあります。名前に税が付いていても、払う相手は販売店です。国税庁の質疑応答事例は、買主が払う未経過期間に対応する金額を中古車の購入代金の一部とし、区分して表示しても資産の譲渡等の対価に含まれるとしています。租税公課の不課税で処理すると、差し引けるはずの消費税を取りこぼします。
税理士が確認する順番
税理士は、車の支払いを次の順に確かめます。
車検や購入のときの請求書をお送りいただければ、税金・保険料・車の代金に分けて、科目と消費税の区分を確かめます。
自動車税の仕訳はどうする?
結論: 自動車税を納付したときは、借方に租税公課、貸方に現金預金を置きます。クレジットカードで納めたときは、貸方が未払金です。
納付したときの仕訳
自動車税は、5月ごろに届く納税通知書で納めます(埼玉県の案内では、納期限は通常5月31日)。税額が40,000円の場合の仕訳は次のとおりです(説明用の金額です)。
| 納付の方法 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 現金・口座から納付 | 租税公課 40,000円 | 現金預金 40,000円 |
| クレジットカードで納付 | 租税公課 40,000円 | 未払金 40,000円 |
損金に算入する3つの時期
自動車税は、納税通知書で税額が決まる賦課課税方式の税金です。法人税基本通達9-5-1は、賦課決定のあった日の属する事業年度を原則とし、納期の開始の日か実際に納付した日の属する事業年度に損金経理をしたときは、その事業年度とすると定めています。3月決算の会社は、通知書が届く5月から納付までが同じ事業年度なので、どの時点でも結果は変わりません。3つの時点が決算日をまたぐ会社は、選ぶ時点で損金に算入される期が変わります。選んだ時点は毎期そろえます。
廃車や売却のあとの税金
普通車は、年税額を納めたあとで抹消登録(廃車の手続き)をすると、抹消登録をした月の翌月以降の分が月割で還付されます(埼玉県の案内)。売却して名義変更をしただけでは還付されません。軽自動車税には月割の制度がなく、4月2日以降に廃車や譲渡をしても、その年度分は全額納めます(さいたま市の案内)。
還付された自動車税は、租税公課のマイナスにするか雑収入にするか、どちらかに決めて毎期そろえます。
車検費用の仕訳はどうする?
結論: 車検費用は、自動車重量税が租税公課、印紙代が租税公課、自賠責保険料が保険料、整備費用が車両費か修繕費、代行手数料が支払手数料と、内訳ごとに分けます。
自動車重量税は租税公課
自動車重量税は、車検などの際に車の重量等に応じて課される国税で、自動車検査証の交付を受ける人が、交付を受けるまでに自動車重量税印紙を納付書に貼って納めます(国税庁タックスアンサーNo.7192)。自動車税と違い、車検のたびに納めます。科目は租税公課で、消費税は不課税です。
自賠責保険料は前払費用に分ける
自賠責保険料は、保険料として処理し、消費税は非課税です。車検のときは1年を超える期間をまとめて払います。
国税庁のタックスアンサーNo.5380は、支払った日から1年以内に提供を受ける役務の費用なら、継続して支払った期の損金にしている限り、その期の損金にできるとしています。1年を超える期間の保険料は、この特例の対象外です。決算日の時点で保険期間が残っている分は、前払費用として資産に計上し、翌期に費用へ振り替えるのが原則です。
車検の請求書の仕訳例
次の請求書で、仕訳を考えます(説明用の金額です。整備費用と代行手数料は税込)。
| 請求書の内訳 | 金額 | 科目 | 消費税の区分 |
|---|---|---|---|
| 自動車重量税 | 30,000円 | 租税公課 | 不課税 |
| 検査登録の印紙代 | 1,800円 | 租税公課 | 非課税 |
| 自賠責保険料 | 17,000円 | 保険料 | 非課税 |
| 整備費用・部品代 | 55,000円 | 車両費 | 課税10% |
| 車検の代行手数料 | 11,000円 | 支払手数料 | 課税10% |
借方に上の5行、貸方に現金預金114,800円を置きます。重量税と印紙代は消費税の区分が違うため、同じ租税公課でも行を分けます。
車を買う・売るときの税金は?
結論: 車を買うときの環境性能割は、令和8年3月31日で廃止されました。中古車を買うときに払う未経過分の自動車税相当額は、税金ではなく購入代金の一部です。
環境性能割の廃止
自動車税環境性能割と軽自動車税環境性能割は、令和8年3月31日をもって廃止されました(東京都主税局)。3月31日までに取得した車の環境性能割は、過去の期の見直しでまだ出てきます。法人税基本通達7-3-3の2は、自動車取得税と、登録のために要する費用を、取得価額に算入しないことができる費用としています。環境性能割は自動車取得税に代わって導入された税のため、取得価額に入れず、租税公課でその期の費用にする処理が行われてきました。通達は「できる」と書いているので、取得価額に含めても誤りではありません。
中古車の未経過分は購入代金の一部
国税庁の質疑応答事例「中古車販売における未経過自動車税等の取扱い」は、買主が払う自動車税の未経過期間に対応する金額を、「当該未経過の期間内に継続して乗用できる中古車の購入代金の一部として支払うもの」とし、車両本体価格と区分して表示しても資産の譲渡等の対価に含まれるとしています。未経過分の自賠責保険料相当額も同じです。
買う側は、租税公課ではなく、車の購入代金の一部として課税仕入れで処理します。保険会社へ払う自賠責保険料は非課税ですが、中古車の代金に含まれる未経過分は課税仕入れで、同じ名前でも扱いが逆になります。
車を売るときの消費税
事業用の車を売った側は、売却代金が課税売上です。同じ質疑応答事例は、リサイクル預託金相当額を金銭債権の譲渡として非課税としているため、請求書に預託金相当額の行があれば、その部分は非課税売上に分けます。
個人事業主は家事按分が必要?
結論: 生活にも使う車の自動車税は、事業で使った割合の分だけが必要経費です。事業の部分が50%を超えるか、事業の部分を明らかに区分できるかで判断します。
事業の割合の決め方
国税庁の所得税基本通達45-2は、事業と生活の両方に関わる支出(家事関連費)のうち、業務の遂行上必要な部分が50%を超えるときに、その部分を必要経費にできるとしています。50%以下でも、必要な部分を明らかに区分できる場合は、その部分を必要経費にして差し支えありません。
割合は、走行距離や使用日数のような、あとから説明できる基準で決めます。同じ車の自動車税、保険料、ガソリン代、減価償却費は、同じ割合で処理します。
生活分の仕訳
税額が40,000円で、事業で使う割合が70%の場合の仕訳です(説明用の金額です)。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 租税公課 28,000円 | 現金預金 40,000円 |
| 事業主貸 12,000円 |
事業主貸は、生活のために使った分を入れる科目で、経費になりません。
よくある質問
自動車税の納付が遅れて延滞金が付いたら、どう処理しますか?
軽自動車の税金も、勘定科目は租税公課ですか?
車を廃車にすると、自動車重量税も戻りますか?
まとめ:請求書は払う相手ごとに分けよう
- 自動車税と自動車重量税は租税公課で、消費税は不課税。自賠責保険料は保険料で非課税
- 車検の請求書は、重量税、印紙代、自賠責保険料、整備費用、代行手数料に分け、消費税の区分も行ごとに決める
- 自賠責保険料のうち、決算日以後の期間の分は前払費用に回す
- 中古車の未経過分の自動車税相当額は、税金ではなく購入代金の一部で、課税仕入れ
- 環境性能割は令和8年3月31日で廃止。個人事業主は事業で使う割合の分だけが必要経費
車検や買い替えのたびに請求書の内訳を分けきれていない方、これまでの車の処理で消費税の区分に不安のある方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の決算書と車に関する請求書を確認し、科目と消費税の区分、前払費用に回す分を整理します。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5300「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
- 国税庁 タックスアンサー No.5380「短期前払費用として損金算入ができる場合」
- 国税庁 タックスアンサー No.6105「課税の対象」
- 国税庁 タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」
- 国税庁 タックスアンサー No.7192「自動車重量税のあらまし」
- 国税庁 タックスアンサー No.7193「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」
- 国税庁 法人税基本通達 9-5-1「租税の損金算入の時期」
- 国税庁 法人税基本通達 7-3-3の2「固定資産の取得価額に算入しないことができる費用の例示」
- 国税庁 所得税基本通達 45-2「家事関連費の必要経費算入」
- 国税庁 質疑応答事例(消費税)「中古車販売における未経過自動車税等の取扱い」
- 東京都主税局「自動車税環境性能割及び軽自動車税環境性能割は廃止されました」
- 兵庫県「令和8(2026)年4月1日、自動車の税が大きく変わりました」
- 埼玉県「自動車税(種別割)」
- さいたま市「軽自動車税(種別割)」





