収入印紙の勘定科目は?租税公課と貯蔵品の仕訳の方法

監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉

収入印紙の勘定科目は、使ったときは租税公課、買って手元に置いてある分は貯蔵品です。印紙を課税文書に貼って消印した時点で印紙税を納めたことになるため、買っただけの印紙は、使うまで費用にしません。この記事では、場面ごとの科目、購入場所による消費税の区分、期末の未使用分の仕訳、貼り忘れたときの過怠税の科目までを、国税庁の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。

収入印紙の勘定科目は?

結論: 収入印紙は、印紙税を納めるために貼ったときは租税公課、買って未使用のまま置いてあるときは貯蔵品で処理します。雑費や消耗品費には入れません。

場面ごとの早見表

収入印紙は、印紙税という国税を納めるための証票です。買った時点ではまだ費用にならず、科目は次のように決まります。

場面 借方 貸方
買ってすぐ文書に貼った 租税公課 現金預金
買い置きした 貯蔵品 現金預金
買い置きした分を文書に貼った 租税公課 貯蔵品
決算で未使用分が残っている(購入時に租税公課で処理した場合) 貯蔵品 租税公課

租税公課は、固定資産税や自動車税のように、事業を続けるうえでかかる税金の科目です。法人税や住民税は別の科目で、線引きは法人税等の記事で確かめられます。

購入時と使用時の仕訳

買い置きをしない会社は、買った日に租税公課で処理して終わりです。買い置きをする会社は、いったん貯蔵品に入れ、貼った分だけ租税公課へ振り替えます(説明用の金額です)。

場面 借方 貸方
4,000円分を買って、その日に契約書へ貼った 租税公課 4,000円 現金預金 4,000円
10,000円分を買い置きした 貯蔵品 10,000円 現金預金 10,000円
買い置きから4,000円分を契約書へ貼った 租税公課 4,000円 貯蔵品 4,000円

どちらの方法でも構いません。毎期同じ方法を続けます。

収入印紙の処理でよくある間違いは?

結論: 収入印紙の処理で間違えやすいのは、雑費への入れ間違い、購入場所に合わない消費税の区分、期末の未使用分の数え漏れの3つです。どれも利益や消費税の額がずれます。

決算の直前に、金庫に収入印紙が残っていると気づいて相談に来られる方が少なくありません。

雑費や消耗品費への入れ間違い

収入印紙を雑費や消耗品費に入れると、印紙税をいくら納めたかが帳簿から追えなくなります。契約書や領収書の件数と印紙の使用額を突き合わせられず、貼り忘れを見つける手がかりも失われます。

購入場所に合わない税区分

郵便局で買った印紙を課税仕入れで入れると、控除する消費税が多すぎて、納める消費税が実際より少なく出ます。逆に、金券ショップで買った印紙を非課税で入れると、控除できた消費税を取り損ないます。

期末の未使用分の数え漏れ

期中に租税公課で処理した印紙が決算日に残っていても、そのまま費用にしておくと、その期の利益が未使用分だけ少なく出ます。

印紙を買ったときのレシートと、期末に残っている印紙の枚数を伺えれば、科目と税区分、貯蔵品に回す額を確かめます。

勘定科目・仕訳は私たちにお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

消費税は購入場所で変わる?

結論: 郵便局や法律が定める売渡し場所で買った収入印紙は非課税、金券ショップなどそれ以外で買った分は課税仕入れです。使ったときの租税公課は、消費税の課税対象外です。

買う場所で消費税の区分が変わる
非課税仕入れ
郵便局・簡易郵便局
郵便切手類販売所
法律が定める印紙の売渡し場所
課税仕入れ
金券ショップ
上記以外の場所での購入
控除には原則として適格請求書の保存が要る

郵便局や売渡し場所は非課税

消費税法の別表第二第4号イは、日本郵便が行う印紙の譲渡と、郵便局・簡易郵便局・郵便切手類販売所、そして印紙をもってする歳入金納付に関する法律が定める印紙の売渡し場所(承認を受けた販売所を含みます)での譲渡を、非課税としています。

金券ショップは課税仕入れ

消費税法基本通達6-4-1は、それ以外の場所での印紙の譲渡には非課税の規定が適用されないと定めています。金券ショップは売渡し場所ではないため、そこで買った収入印紙の代金は課税仕入れで処理します。

控除を受けるには、原則として購入先の適格請求書の保存が要ります。購入先が適格請求書発行事業者でない場合に控除できるのは、令和8年10月1日から令和10年9月30日までは、課税仕入れに含まれる消費税額の70%です。

使ったときの税区分

印紙税は税金なので、収入印紙を租税公課に振り替えるときは、消費税の課税対象外です。課税か非課税かは購入時に決まっているため、使用時の振替には税区分を付けません。買ってすぐ使う場合は、租税公課の行に購入場所に合う税区分を付けます。

購入場所 買い置きの購入時 使ったとき
郵便局など 貯蔵品(非課税仕入れ) 租税公課(対象外)
金券ショップ 貯蔵品(課税仕入れ) 租税公課(対象外)

期末に残った収入印紙の仕訳は?

結論: 決算日に使っていない収入印紙は、貯蔵品として資産に計上します。期中に租税公課で処理していた分は、未使用の額面を貯蔵品へ振り替えます。

決算で数える手順

額面と枚数を掛けた合計が、貯蔵品に計上する金額です。

決算での数え方
1

保管場所を1か所にまとめる
複数の引き出しに分かれていると、数え漏れが出る
2

決算日の額面を数える
金額ごとに枚数を書き出す
3

貯蔵品へ振り替える
期中に租税公課で処理した分から、未使用の額面を移す
4

数えた記録を残す
日付・金額・枚数を書いた紙1枚が、金額の根拠になる

租税公課から貯蔵品への振替

期中に10,000円分を買って租税公課で処理し、決算日に6,000円分が残っていた場合は、次のとおりです(説明用の金額です)。

場面 借方 貸方
期中に買ったとき 租税公課 10,000円 現金預金 10,000円
決算で未使用分を振り替える 貯蔵品 6,000円 租税公課 6,000円
翌期首に戻す 租税公課 6,000円 貯蔵品 6,000円

翌期首に戻す方法のほか、貼る都度、貯蔵品から租税公課へ振り替える方法もあります。毎期同じ方法を続けます。

少額の残高の扱い

法人税基本通達2-2-15は、事務用消耗品などで、おおむね一定数量を取得して経常的に消費するものについて、継続して取得時に損金の額に算入する処理を認めています。収入印紙はこの通達に挙がっていませんが、毎期ほぼ同じ量を買って使い切る会社の少額の残高は、同じ考え方で振替を省く運用があります。

期末にまとめ買いして残った分や、高額の印紙の残りは、貯蔵品に振り替えます。省く金額の基準は社内で決め、毎期同じに運用します。文房具など、ほかの消耗品の期末処理は消耗品費の記事にあります。

収入印紙を使う場面ごとの科目は?

結論: 印紙税と登録免許税は租税公課、国や自治体に払う手数料は支払手数料で処理します。収入証紙は、何を払うために使ったかで科目が決まります。

使う場面 科目 補足
契約書・領収書に貼る 租税公課 印紙税の納付
登記の申請に使う 租税公課 登録免許税の納付
許認可などの申請手数料を印紙で納める 支払手数料 国や自治体に払う手数料
収入証紙で自動車税を納める 租税公課 税金の納付
収入証紙で手数料を払う 支払手数料 自治体に払う手数料

登録免許税の科目

登録免許税は、登記や登録を受けるときに納める国税で、収入印紙で納めることがあります。科目は租税公課です。不動産や車両を取得したときの登録免許税は、法人税基本通達7-3-3の2により、固定資産の取得価額に算入せず、費用にすることもできます。

行政手数料の科目

国や自治体に払う手数料は、税金ではないため、支払手数料で処理します。登記、許可、証明などの事務に係る手数料で法令に基づくものは、原則として消費税が非課税です(消費税法別表第二第5号イ)。

収入証紙との違い

収入印紙は国が発行し、収入証紙は地方公共団体が発行して、使用料や手数料、自動車税などの徴収に使います。証紙の譲渡は、地方公共団体や指定された売りさばき人が行うものが非課税です(消費税法別表第二第4号ロ)。科目は、納めるものが税なら租税公課、手数料なら支払手数料です。

収入印紙が必要な文書と電子契約は?

結論: 印紙税がかかるのは、印紙税法の別表第一に挙がる課税文書だけです。紙で作る契約書や領収書が対象で、電子データでやり取りした契約書には印紙が要りません。

契約書と領収書の課税文書

印紙税を納める義務があるのは、課税文書の作成者です(印紙税法3条)。領収書の印紙は、領収書を出す側、つまりお金を受け取る側が貼ります。契約書は種類ごとに号が分かれ、領収書(売上代金の受取書)は第17号です。

領収書は、受取金額が5万円未満なら非課税です。5万円以上100万円以下は200円、100万円を超え200万円以下は400円です(国税庁 印紙税額の一覧表その2)。

消費税を区分した領収書の判定

領収書に消費税額を区分して記載していれば、印紙税の判定は消費税を除いた金額で行います(国税庁の質疑応答事例)。税込52,800円とだけ書けば5万円以上で課税、本体48,000円と消費税4,800円を分けて書けば48,000円で判定されて非課税です。

電子契約と紙の契約書

印紙税の対象は、別表第一に挙がる文書です。電子データは文書に含まれないため、電子契約サービスやメールで交わした契約書や領収書に、印紙税はかかりません(国税庁の質疑応答事例)。

ただし、電子で送ったあとに同じ内容の紙を渡すと、その紙は課税文書の作成に当たります(福岡国税局の文書回答)。

貼り忘れたときの過怠税と科目は?

結論: 印紙を貼り忘れると過怠税がかかり、税額は本来の印紙税の3倍で、不納付事実申出書を出すと1.1倍です。過怠税は租税公課で処理し、損金の額に算入できません。

貼り忘れの過怠税

印紙税法20条は、印紙を貼らなかった場合の過怠税を、納付しなかった印紙税の額とその2倍の額の合計、つまり本来の印紙税の3倍と定めています。課税文書の作成者が所轄税務署長に不納付事実申出書を出し、その申出が調査で過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは、1.1倍に軽減されます。

税務調査で貼り忘れが見つかった場合も、不納付事実申出書を出して1.1倍で済むのが通常です。3倍になるのは、故意に貼らなかったなど悪質と認められる場合です。

消印忘れの過怠税

印紙は貼っただけでは足りず、文書と印紙の彩紋にかけて消す必要があります(印紙税法8条2項)。消すのは、作成者本人またはその代理人、使用人などの印章か署名です(同法施行令5条)。会社の角印でも、担当者の署名でも構いません。消印をしなかった場合は、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されます。

過怠税の科目と申告

過怠税は、租税公課に補助科目「過怠税」を作って入れておくのが一般的です。印紙税の本来の納付と分けておくと、申告のときに損金の額に算入できない金額をすぐに拾えます。

法人は、過怠税の全額が損金の額に算入できません(法人税法55条4項1号)。個人事業主も、必要経費に算入できません(所得税法45条1項3号)。法人の申告書では、別表四で加算します。

本来の印紙税が2,000円の文書を貼り忘れ、申出書を出して1.1倍になった場合は、次のとおりです(説明用の金額です)。

場面 借方 貸方
過怠税を納めた 租税公課(過怠税) 2,200円 現金預金 2,200円

よくある質問

収入印紙は、買ったときに費用にしてよいですか?
原則は貯蔵品として資産に計上し、貼ったときに租税公課へ振り替えます。買ってすぐ使う印紙や、毎期ほぼ同じ量を使い切る少額の印紙は、買ったときに租税公課で処理し、決算で未使用分だけ貯蔵品へ振り替える方法でも構いません。
個人事業主の収入印紙も、租税公課ですか?
租税公課です。印紙税を納めるための印紙は、事業に使った分が必要経費に入ります。未使用の買い置きは、法人と同じく貯蔵品です。過怠税は必要経費に算入できません。
領収書に印紙が要るのは、いくらからですか?
売上代金の受取金額が5万円以上のときです。5万円未満は非課税です。消費税額を区分して記載していれば、消費税を除いた金額で判定します。

まとめ:科目と購入場所を確かめよう

  • 収入印紙は、貼って使ったときは租税公課、買って未使用のときは貯蔵品で処理します
  • 郵便局や売渡し場所で買った印紙は非課税、金券ショップで買った印紙は課税仕入れです
  • 期末に残った印紙は、額面ごとに数えて貯蔵品へ振り替えます
  • 登録免許税は租税公課、国や自治体に払う手数料は支払手数料です
  • 貼り忘れは本来の印紙税の3倍、申出書を出すと1.1倍の過怠税で、損金の額に算入できません

収入印紙の税区分に不安がある方、期末の貯蔵品の扱いを決めたい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の決算書と租税公課の総勘定元帳、印紙を買ったときのレシートを確認し、科目と税区分、期末の振替を整理します。

勘定科目・仕訳は私たちにお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

出典

  • 国税庁 タックスアンサー No.7131「印紙税を納めなかったとき」
  • 国税庁 タックスアンサー No.7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」
  • 国税庁 質疑応答事例「消費税額等が区分記載された受取書」
  • 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」
  • 国税庁 消費税法基本通達6-4-1(郵便切手類又は印紙の譲渡の範囲)
  • 国税庁 法人税基本通達2-2-15(消耗品費等)、7-3-3の2(固定資産の取得価額に算入しないことができる費用)
  • 国税庁 インボイス制度に関するお知らせ 令和8年度税制改正特集(令和8年9月)
  • e-Gov 法令検索「消費税法」別表第二、「印紙税法」「印紙税法施行令」「法人税法」「所得税法」

この記事の監修者

中村 清誉

中村 清誉

税理士法人Light UP 代表社員(税理士)

近畿税理士会 尼崎支部 登録番号 5957(税理士法人Light UP)

2013年に税理士事務所を創設。2019年からは会計・コンサルティング・M&Aの支援へ業務を広げ、現在は職員70名の体制で中小企業の税務と経営を支えています。

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