法人税等の勘定科目は4つ|租税公課と間違えない仕訳の方法
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
法人税や法人住民税は租税公課に入れず、損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」と、貸借対照表の「仮払法人税等」「未払法人税等」「未収還付法人税等」の合わせて4つの科目で処理します。租税公課に入るのは、固定資産税や印紙税のように事業を続けるうえでかかる税と、加算税や延滞税などの附帯税です。この記事では、場面ごとの科目、租税公課との線引き、各仕訳、延滞税などの科目を、国税庁の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。
法人税を払ったときの勘定科目は?
結論: 法人税を払う場面ごとに使う科目が決まっています。中間納付は仮払法人税等、決算は法人税、住民税及び事業税と未払法人税等、還付は未収還付法人税等です。
場面ごとの早見表
場面ごとに、帳簿に入れる科目は次のとおりです。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 中間納付をした | 仮払法人税等 | 現金預金 |
| 決算で1年分の税額を計上する | 法人税、住民税及び事業税 | 仮払法人税等 未払法人税等 |
| 確定申告で納付した | 未払法人税等 | 現金預金 |
| 払いすぎが決算で分かった | 未収還付法人税等 | 仮払法人税等 |
| 還付金が入金された | 現金預金 | 未収還付法人税等 |
| 延滞税・加算税・延滞金を払った | 租税公課(補助科目で区別) | 現金預金 |
中小企業が使う4つの科目
損益計算書に1つ、貸借対照表に3つあります。
- 法人税、住民税及び事業税:損益計算書で「税引前当期純利益」の下に表示する費用
- 仮払法人税等:中間申告で先に払った税額と、法人税額から控除する所得税額(資産)
- 未払法人税等:決算日にまだ払っていない税額(負債)
- 未収還付法人税等:払いすぎで戻ることが決まった税額(資産)
「仮払金」「未払金」で代用すると、決算書の税金の残高が追えなくなります。
法人税等の処理でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、事業税の扱い、決算で計上する税額、租税公課への入れ間違いの3つです。どれも、間違えると利益や納める税金の額がずれます。
決算の直前に、法人税の納付を租税公課で処理していたと気づいて相談に来られる方が少なくありません。科目を付け替えるだけで済む場合もあれば、決算で計上する税額まで見直す場合もあります。
事業税は翌期の経費になる
事業税は、会計では当期の費用にします。ところが税金の計算で経費として認められるのは、申告書を出した期、つまり翌期です(国税庁のタックスアンサーNo.5300)。
そのため、当期と翌期の2期にまたがって調整が要ります。翌期の調整を忘れると、事業税の分だけ多く税金を納めることになります。
決算で計上する税額
決算で計上する法人税等の額は、会計ソフトが出す概算のままでは合いません。会計の利益を税金の計算用に直してから決まるためです。
ずれた分は翌期の損益に出るので、当期と翌期の利益がどちらも正しくなくなります。銀行に出す決算書の数字が、実際の儲けとずれることになります。
租税公課に入れてしまう誤り
法人税等を租税公課に混ぜると、本業の儲けを示す営業利益が税金の分だけ小さくなり、決算書を見た銀行や経営者が本業の収益力を取り違えます。入れ間違いが多いのは、法人税の納付、赤字でも払う均等割、預金利息の源泉所得税です。
前期の申告書と今期の帳簿をお持ちいただければ、事業税の期ずれと決算で計上する税額を、租税公課への入れ間違いとあわせて一緒に確かめます。
法人税等に含まれる税金は?
結論: 法人税等には、法人税・地方法人税・法人住民税・事業税の4つの税金が含まれます。いずれも会社の利益や所得をもとに計算する税金です。
法人税と地方法人税
法人税と地方法人税は、どちらも国に納める税金です。地方法人税は法人税の額をもとに計算し、同じ時期に申告して納めます。納付書の税目は別々ですが、会計ではどちらも「法人税、住民税及び事業税」です。
法人住民税
法人住民税は、都道府県と市町村に納めます。法人税額に連動する法人税割と、赤字でも定額で払う均等割があり、どちらも「法人税、住民税及び事業税」です。
事業税と特別法人事業税
法人事業税は都道府県に、特別法人事業税は国に納め、所得割の部分は「法人税、住民税及び事業税」に計上します。事業税だけは損金の額に算入できます。
租税公課との違いは?
結論: 利益に対して課される税金は「法人税等」、事業を続けるうえでかかる税金は「租税公課」です。納付書の税目で分けます。
利益に係る税と事業に伴う税
法人税・地方法人税・法人住民税・事業税は、利益(または所得)をもとに計算するため、「法人税、住民税及び事業税」に入れます。固定資産税・自動車税・印紙税などは、事業を続けるうえでかかる費用で、販売費及び一般管理費の「租税公課」に計上します。
支払いごとの科目の早見
国税庁のタックスアンサーNo.5300「租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」(令和8年4月1日現在法令等)をもとに整理すると次のとおりです。
| 支払うもの | 科目の目安 | 損金の額への算入 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税・防衛特別法人税・法人住民税 | 法人税、住民税及び事業税 | できない |
| 事業税(所得割)・特別法人事業税 | 法人税、住民税及び事業税 | できる |
| 事業税の付加価値割・資本割(外形標準課税の法人) | 租税公課(一般管理費) | できる |
| 法人税額から控除する所得税 | 仮払法人税等 | できない |
| 固定資産税・自動車税・印紙税 | 租税公課 | できる |
外形標準課税は原則として資本金1億円超の法人が対象で、事業税が3つに分かれます。利益に連動しない付加価値割と資本割は、企業会計基準第27号に沿って原則として販売費及び一般管理費に表示し、所得割だけが「法人税、住民税及び事業税」です。
法人税等に似て間違えやすい支払い
赤字の年の均等割:赤字でも払う均等割は、「法人税、住民税及び事業税」に計上し、損金の額には算入できません。赤字だから法人税等の科目は使わない、という思い込みで租税公課に入れる例があります。
預金利息の源泉所得税:預金の利息から源泉徴収された所得税及び復興特別所得税は、法人税の額から控除できます(国税庁のタックスアンサーNo.5760「所得税額控除」)。会計では「仮払法人税等」に計上します。
消費税の納付:税抜経理の会社は「未払消費税等」を消し込み、税込経理の会社は納付額を「租税公課」に計上します。
中間納付の仕訳はどうする?
結論: 中間申告で払った法人税等は「仮払法人税等」の資産で処理し、決算で費用の「法人税、住民税及び事業税」に振り替えます。
仮払法人税等で処理する
事業年度が6か月を超える会社は、原則として事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に中間申告書を出し、税額を納めます。国税庁の「法人税のあらましと申告の手引」によると、前年度の税額をもとにする方法(予定申告)と、半年分の仮決算で計算する方法があります。
納付時の仕訳は、借方が仮払法人税等、貸方が現金預金です。1年分の税額が決算まで確定しないため、費用にはしません。
法人税等で直接処理する方法
小さな会社では、中間納付を仮払法人税等ではなく、払ったときに「法人税、住民税及び事業税」で処理し、決算で1年分との差を調整するやり方も多く使われています。処理が1回で済み、決算の結果は仮払法人税等で受けた場合と同じです。
違いは月次の利益です。払った月に費用が立つので、その月の利益が下がって見えます。どちらのやり方でも構いませんが、毎期同じやり方にしておかないと、前の期と比べられなくなります。会計ソフトの初期設定でどちらかになっていることが多いため、担当者が替わったときにやり方が変わってしまう例もあります。
中間申告が不要な会社
前年度の税額をもとに計算した中間納付の額が10万円以下なら、中間申告書の提出は不要です(同手引)。この場合は仮払法人税等が出ません。
決算の仕訳はどうする?
結論: 決算では1年分の法人税等を「法人税、住民税及び事業税」に計上し、中間納付した仮払法人税等を差し引いた残りを「未払法人税等」にします。
未払法人税等の計算と仕訳
未払法人税等 = 当期の法人税等の税額 − 中間納付額(仮払法人税等)
各税の合計が300万円、中間納付が100万円のケースでは次のとおりです(説明用の金額です)。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 決算 | 法人税、住民税及び事業税 300万円 | 仮払法人税等 100万円 未払法人税等 200万円 |
貸方が2本になるのは、資産の振替と負債の計上があるからです。費用にした法人税・住民税の本税は損金の額に算入できないため、申告書の別表四で加算します。
確定申告で納付するときの仕訳は?
結論: 確定申告で納めるときは、借方に未払法人税等、貸方に現金預金を置きます。決算で未払計上していれば、納付で損益は動きません。
納付時の仕訳と期限
決算の例なら、借方に未払法人税等200万円、貸方に現金預金200万円の1本です。決算で未払計上していないと、費用が翌期にずれ、2期分の利益が正しくなくなります。
確定申告書は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に出し、同じ日までに納めます。
還付されたときの仕訳は?
結論: 中間納付が税額を上回って戻るときは、決算で「未収還付法人税等」に計上し、入金時に消し込みます。還付金は雑収入にしません。
未収還付法人税等の計上
中間納付が100万円、当期の税額が80万円なら、差額20万円が還付です(説明用の金額です)。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 決算 | 法人税、住民税及び事業税 80万円 未収還付法人税等 20万円 |
仮払法人税等 100万円 |
| 還付金の入金 | 現金預金 20万円 | 未収還付法人税等 20万円 |
未払法人税等をマイナス残高にせず、資産の「未収還付法人税等」を使います。
還付金と還付加算金
還付された法人税や住民税は、益金(税務上の収益)に算入しません。会計では「法人税、住民税及び事業税」の減額として利益に含まれるため、別表四で減算します。
一方、還付とあわせて支払われる還付加算金(利息に当たるもの)は益金です。会計では「受取利息」または「雑収入」に計上するため、入金額は未収還付法人税等の残高より多くなります。
赤字の年は、青色申告の中小企業者等なら欠損金の繰戻し還付も請求できます。条件は国税庁のタックスアンサーNo.5763で確かめてください。
延滞税・加算税・延滞金の科目は?
結論: 延滞税・加算税・延滞金は「租税公課」に計上し、補助科目で他の税と分けます。損金の額に算入できないため、法人税の申告書の別表四で加算します。
附帯税の科目と損金算入
加算税と延滞税は、申告漏れや納付の遅れに対するペナルティで、損金の額に算入できません。補助科目で分けておくと、別表四で加算する金額をすぐ拾えます。法人住民税や事業税の延滞金も、原則は同じ扱いです。
例外は、国税の申告期限の延長に係る利子税と地方税の納期限の延長に係る延滞金です。延長の承認を受けた期間の利息でペナルティではないため、損金の額に算入できます。納付書の名称が延滞税か利子税かで、可否が逆になります。
修正申告で払うときの分け方
修正申告で払う税額は、本税の追加分は「法人税、住民税及び事業税」、加算税・延滞税は「租税公課」の補助科目です。納付書の内訳を見て分けます。
よくある質問
防衛特別法人税は、どの科目で処理する?
法人税の納付を租税公課で処理してしまったら、直せる?
税効果会計を使う会社は、科目が増える?
まとめ:4つの科目で追おう
- 損益計算書は「法人税、住民税及び事業税」、貸借対照表は「仮払法人税等」「未払法人税等」「未収還付法人税等」で追います
- 法人税等は利益に係る税金、租税公課は事業に伴う税金と附帯税です
- 決算では、1年分の法人税等から中間納付額を引いた残りが未払法人税等です
- 事業税は、別表四で当期に加算し、翌期に減算します
決算で法人税等をいくら計上するか迷っている方、事業税の期ずれや修正申告の科目を整理したい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の決算書と前期の申告書を確認し、未払法人税等の見積もりと別表四の流れを整理します。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5300「租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」
- 国税庁 タックスアンサー No.5760「所得税額控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.5763「欠損金の繰戻しによる還付」
- 国税庁「法人税のあらましと申告の手引」
- 国税庁「防衛特別法人税が創設されました」
- 財務省「令和7年度税制改正の解説」
- 総務省「法人事業税における外形標準課税」
- 企業会計基準委員会 企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」





