消耗品費とは?10万円未満の仕訳の方法と雑費との違い

監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉

消耗品費とは、事務用品や日用品のように使えばなくなる物と、取得価額(買った代金に送料や設置費を足した額)が10万円未満の備品を買った費用を入れる勘定科目です。取得価額が10万円未満、または使える期間が1年未満なら、使い始めた期の損金(法人の経費)にできます。10万円以上でも、20万円未満なら3年で均等に、中小企業者等は40万円未満(令和8年4月1日以後の取得)まで全額を損金に入れる方法があります。この記事では、金額ごとの処理、間違えやすい点、雑費など似た科目との違い、期末に残った消耗品の仕訳を、国税庁の公表資料(2026年10月時点)で整理します。

消耗品費はいくらまで処理できる?

結論: 消耗品費にできるのは、取得価額が10万円未満の物、または使える期間が1年未満の物です。取得価額は、買った代金に送料や設置費を足した額で数えます。

消耗品費に入れる物

国税庁の確定申告書作成コーナーは、消耗品費を「帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費」と、「使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費」と説明しています。机・棚・パソコンのような備品も、10万円未満なら入れられます。

金額ごとの処理の早見表

取得価額の線は、10万円、20万円、40万円の3つです。

取得価額 使える処理 条件
10万円未満 使い始めた期に全額を損金に入れる(消耗品費) なし
10万円以上20万円未満 一括償却資産、少額減価償却資産の特例、通常の減価償却から選ぶ 一括償却資産は条件なし。特例は下の行の条件
20万円以上40万円未満 少額減価償却資産の特例で全額を損金に入れる。使わなければ通常の減価償却 青色申告書を出す中小企業者等で、年300万円まで
40万円以上 通常の減価償却 なし

令和8年3月31日までに取得した資産は、特例の線が40万円未満でなく30万円未満のままです。10万円と20万円の線は変わっていません。

買ったときの仕訳

消耗品費は、買ったときに借方へ入れます(説明用の金額です)。

場面 借方 貸方
現金で5万円の備品を買った 消耗品費 50,000 現金 50,000

税抜経理の会社は、消費税を仮払消費税に分けます。

使える期間が1年未満の物

使用可能期間が1年未満かどうかは、法定耐用年数ではなく、その会社の業種での一般的な認識や、使用・補充の状況から判断します(国税庁タックスアンサーNo.5403)。物差しは、自社の買い替えの予定ではなく、同じ業種で一般にどれだけ使われるかです。

なお、貸付けの用に供する物は、10万円未満でもこの扱いから外れます(令和4年4月1日以後の取得。貸付けを主要な事業として行う場合を除きます)。

消耗品費の処理でよくある間違いは?

結論: 間違えやすいのは、送料などの足し忘れ、税込と税抜の取り違え、セット品の判定、使い始める前に期末を迎えた買い物の4つです。間違えると、損金にできない額が出て、納める税金が動きます。

決算の直前に、備品をまとめて消耗品費に入れていたと気づいて相談に来られる方が少なくありません。東京法人会連合会の解説によると、税務調査では消耗品費のうち一定額以上の物の請求書が確かめられ、資産に計上すべき物が紛れていないかが見られます。

送料や設置費の足し忘れ

取得価額は、購入代価に引取運賃・購入手数料などを加え、さらに据付費のように事業に使える状態にするまでに直接かかった費用を加えた額です(国税庁タックスアンサーNo.5400)。本体が98,000円でも、送料が3,000円かかれば101,000円になり、10万円未満に収まりません(説明用の金額です)。

資産に計上すべき物を消耗品費に入れると、その期の損金が多すぎることになり、見つかれば修正申告で追加の税金を納めます。

税込と税抜の取り違え

10万円未満かどうかは、会社が採用している消費税の経理方式で決まります。税抜経理は消費税を除いた金額で、税込経理は消費税を含めた金額で判定します(国税庁タックスアンサーNo.5403の質疑応答事例)。同じ税込107,800円のパソコンでも、税抜経理なら本体価額98,000円で10万円未満、税込経理なら107,800円で10万円以上です。

免税事業者は税込経理しか採用できないため、税込の金額で判定します。

セット品や一体で使う物の判定

取得価額は、通常1単位として取引される単位ごとに判定します。応接セットならテーブルと椅子の1組、カーテンなら部屋ごとの合計額です(国税庁タックスアンサーNo.5403)。パソコン本体と画面を別々に買っても、一体で1台として使うなら合算して判定します。

使い始める前に期末を迎えた買い物

10万円未満の備品を損金に入れられるのは、事業の用に供した日、つまり実際に使い始めた日の属する事業年度です(国税庁タックスアンサーNo.5403)。決算月にまとめて買い、使い始めたのが翌期なら、買った期の損金にはなりません。

税理士が確認する順番

税理士は、消耗品費の総勘定元帳(科目ごとの取引の一覧)を、金額の大きい順に開いて次の順で確かめます。

消耗品費の判定の流れ
1

取得価額を出す
本体の代金に、送料や据付費を足す
2

経理方式で金額を決める
税抜経理は税抜、税込経理と免税事業者は税込で判定する
3

1つの単位に直す
組で使う物や一体で使う物は、まとめた金額で見る
4

使い始めた日を確かめる
期末までに使い始めた物と、使っていない物に分ける
5

処理を選ぶ
10万円未満は消耗品費、以上は一括償却資産・特例・減価償却から選ぶ

期中に買った物の請求書をご用意いただければ、取得価額・経理方式・使い始めた日から、消耗品費にできるかを1件ずつ確かめます。

勘定科目・仕訳は私たちにお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

10万円以上の買い物はどう処理する?

結論: 10万円以上20万円未満は、一括償却資産として3年に分けて損金に入れられます。中小企業者等は、40万円未満まで特例で全額を損金に入れられます。どちらも使わなければ減価償却です。

20万円未満は一括償却資産で3年に分ける

取得価額が20万円未満の減価償却資産は、事業年度ごとに一括して、3年間で償却する方法を選べます(国税庁タックスアンサーNo.5403、法人税法施行令133条の2)。中小企業者等でなくても使えます。

40万円未満は特例で全額を損金に入れる

中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、取得価額が40万円未満の資産を、事業の用に供した事業年度に全額、損金に入れられる制度です(国税庁タックスアンサーNo.5408)。対象になる条件は次のとおりです。

  • 中小企業者等で、青色申告書を提出する法人
  • 常時使用する従業員が400人以下(令和8年4月1日以後の取得。改正前は500人以下)
  • 取得価額が40万円未満(令和8年4月1日以後の取得。改正前は30万円未満)。10万円未満の物と、一括償却資産を選んだ物は対象外
  • 事業年度の合計が300万円まで(事業年度が1年未満なら月数で按分)
  • 令和11年3月31日までに取得して事業の用に供した物

特例は、決算で損金経理をし、申告書に明細を付けて適用します。東京法人会連合会の解説によると、明細の記載を漏らすと、損金にできたはずの物が認められなくなることがあります。

15万円の備品を一括償却と特例で処理した場合(説明用の金額です)
一括償却資産
3年に分けて毎期5万円ずつ損金に入る
中小企業者等でなくても使える
年300万円の枠を使わない
償却資産税の申告の対象外
少額減価償却資産の特例
取得した事業年度に15万円が全額、損金に入る
青色申告書を出す中小企業者等だけが使える
事業年度の合計300万円の枠を使う
償却資産税の申告の対象に残る

償却資産税まで含めて選ぶ

償却資産税は、事業に使う機械や備品などの償却資産に毎年かかる固定資産税です。取得価額10万円未満で全額を損金に入れた物と、一括償却資産は、申告の対象から除かれます。特例を使った物は、全額を損金に入れても申告の対象に残ります(地方税法341条4号、同法施行令49条)。

どちらを選ぶかは、その期の利益の大きさと、償却資産税の負担を並べて決めます。

消耗品費と似た科目はどう違う?

結論: 消耗品費と迷いやすいのは、事務用品費、雑費、工具器具備品です。物を買ったか、金額が10万円未満か、どの科目にも当たらないかで分けます。

科目ごとの違いの早見表

科目 入れる物 消耗品費との分かれ目
事務用品費 文房具・用紙・伝票など事務に使う物 会計のルールで決まった線はない。会社が決めた区分を毎期同じに使う
雑費 どの科目にも当たらない少額の費用 物を買ったなら消耗品費。当てはまる科目がないときだけ雑費
工具器具備品 10万円以上で資産に計上した備品 10万円未満なら消耗品費にできる

雑費との違い

物を買った費用は、まず消耗品費に当たるかを見ます。雑費の対象は、ごみの処理費やクリーニング代のように物が残らないサービスの費用で、ほかの科目にも当たらないものです。迷ったときに雑費へ逃がすと、増減の理由が追えなくなります。

備品との違い

備品は、長く使う物を指す言葉です。取得価額が10万円未満なら消耗品費に、10万円以上なら工具器具備品などの資産の科目に入れます。

期末に残った消耗品の仕訳は?

結論: 期末に使っていない消耗品は、原則として貯蔵品(資産)に振り替えます。毎期おおむね一定の数量を買って経常的に使う物は、買った期に消耗品費のままにできます。

原則は貯蔵品に振り替える

期末に使い切っていない分は、まだ費用になっていない資産です。決算で消耗品費から貯蔵品に振り替えると、その期の損益には使った分だけが残ります。

買った期に消耗品費でよい物

法人税基本通達2-2-15は、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品などで、各事業年度でおおむね一定の数量を取得し、経常的に消費する物の取得費用を、継続して取得した日の属する事業年度の損金に入れている場合は、これを認めています。文房具や梱包材のように、いつも一定量を持っている物が当たります。決算の直前に例年より多く買った分は当たりません。

貯蔵品の仕訳

期末に12,000円分が未使用だったときの仕訳は次のとおりです(説明用の金額です)。

場面 借方 貸方
買ったとき 消耗品費 50,000 現金預金 50,000
期末に未使用分を振り替える 貯蔵品 12,000 消耗品費 12,000
翌期首に戻す 消耗品費 12,000 貯蔵品 12,000

期末に数える対象は、金額の大きい物とまとめ買いした物に絞ります。絞る基準は社内で決め、毎期同じに運用します。

個人事業主の消耗品費はどう処理する?

結論: 個人事業主も、10万円未満は全額を必要経費に入れられ、10万円以上20万円未満は3年で均等に入れられます。少額減価償却資産の特例は、青色申告者の制度です。

金額ごとの処理は法人と同じ線

国税庁タックスアンサーNo.2100(令和8年4月1日現在法令等)によると、取得価額10万円未満の物は、業務に使い始めた年の必要経費に全額入れられます。10万円以上20万円未満の物は、取得価額の合計額の3分の1ずつを、使い始めた年以後3年間の必要経費に入れられます。

特例を使えるのは青色申告者

青色申告者は、少額減価償却資産の特例を使えます。対象は取得価額が10万円以上40万円未満の資産で、年300万円までを取得した年の必要経費に入れられます。令和8年3月31日までに取得した資産は、30万円未満が対象です。令和11年3月31日までに取得した物が対象で、一括償却資産を選んだ物は除かれます。

よくある質問

消耗品費はいくらまで処理できますか?
取得価額が10万円未満なら、消耗品費として使い始めた期の損金に入れられます。使用可能期間が1年未満の物は、金額にかかわらず入れられます。10万円以上の物は、一括償却資産、少額減価償却資産の特例、通常の減価償却のどれかで処理します。
ちょうど10万円の物は消耗品費にできますか?
できません。線は10万円未満で、10万円ちょうどは含まれません。10万円以上20万円未満の物として、一括償却資産などを選びます。
15万円のパソコンはどう処理しますか?
一括償却資産として3年に分ける方法と、中小企業者等が少額減価償却資産の特例で全額を損金に入れる方法があります。特例を使った物は償却資産税の申告の対象に残り、一括償却資産は対象から除かれます。
令和8年に基準は変わりましたか?
変わったのは少額減価償却資産の特例で、令和8年4月1日以後の取得から、対象の取得価額が30万円未満から40万円未満になり、常時使用する従業員が400人を超える法人は対象外になりました。年300万円の枠は変わっていません。10万円と20万円の線も変わっていません。

まとめ:金額と使い始めた日で処理を選ぼう

  • 消耗品費にできるのは、取得価額が10万円未満の物、または使用可能期間が1年未満の物
  • 取得価額は送料や設置費を足した額。税抜経理は税抜、税込経理と免税事業者は税込で判定する
  • 10万円以上20万円未満は一括償却資産、中小企業者等は40万円未満まで特例で全額を損金に入れられる
  • 損金に入れられるのは使い始めた期。期末に使っていない分は貯蔵品に振り替える

取得価額が10万円に近い備品が多い方、決算前にまとめ買いをした方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の決算書と固定資産台帳、消耗品費の総勘定元帳を確認し、金額ごとの処理と期末の貯蔵品を整理します。

勘定科目・仕訳は私たちにお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

出典

  • 国税庁 確定申告書作成コーナー「消耗品費」
  • 国税庁 タックスアンサー No.5403「少額の減価償却資産になるかどうかの判定」と同質疑応答事例
  • 国税庁 タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
  • 国税庁 タックスアンサー No.5400「減価償却資産の取得価額」
  • 国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」
  • 国税庁 法人税基本通達2-2-15(消耗品等の取得価額)
  • 国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」
  • 地方税法341条4号、同法施行令49条(償却資産の申告から除かれる資産)
  • 東京法人会連合会「税務調査で確認される消耗品費」

この記事の監修者

中村 清誉

中村 清誉

税理士法人Light UP 代表社員(税理士)

近畿税理士会 尼崎支部 登録番号 5957(税理士法人Light UP)

2013年に税理士事務所を創設。2019年からは会計・コンサルティング・M&Aの支援へ業務を広げ、現在は職員70名の体制で中小企業の税務と経営を支えています。

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