送料の勘定科目と仕訳をわかりやすく解説|発送・仕入・受取の分け方
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
送料の勘定科目は、何のために払ったかで決まります。商品をお客様へ発送した送料は荷造運賃、商品を仕入れたときの送料は仕入、備品などを買ったときの送料は、その資産の取得価額(買った物の金額)に含めます。お客様から受け取った送料は、原則として売上です。この記事では、場面ごとの科目と仕訳、間違えやすい点、消費税とインボイスの扱いを、国税庁の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。
送料を払ったときの勘定科目は?
結論: 送料は、払った相手でなく、何のための運送かで科目が決まります。発送は荷造運賃、仕入は仕入、備品などの購入はその資産の取得価額に含めます。
場面ごとの早見表
| 送料を払った場面 | 科目 | 損益への出方 |
|---|---|---|
| 商品をお客様へ発送した | 荷造運賃 | 払った期の費用 |
| 商品を仕入れた(引取運賃) | 仕入(補助科目で仕入諸掛) | 売れた期の売上原価。売れ残りは在庫に入る |
| 機械やパソコンなどを買った | その資産の取得価額 | 減価償却を通じて費用になる |
| 文房具や書籍などを買った | 買った物と同じ科目 | 消耗品費、新聞図書費など |
| 請求書や案内状を郵送した | 通信費 | 払った期の費用 |
| お客様から送料を受け取った | 売上(補助科目で送料を分ける) | 売上 |
送料と運賃の呼び方
送料という決まった名前の勘定科目はありません。送料、運賃、発送費、支払運賃は、どれも運送の費用を指す呼び方で、税の扱いも同じです。
個人事業主の青色申告決算書には荷造運賃の欄があり、国税庁は荷造運賃を、販売商品の包装材料費、荷造りのための賃金、運賃などと説明しています(確定申告書等作成コーナー、令和6年分のよくある質問)。会社でも荷造運賃に合わせると分かりやすく、名前は期をまたいで変えないことが大切です。
送料の処理でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、仕入の送料を荷造運賃に入れる、備品の送料を切り離す、受け取った送料を売上から外す、決算月の送料を入れ忘れる、の4つです。どれも利益と税金がずれます。
決算の直前に、仕入にかかった送料がすべて荷造運賃に入っていたと気づいて相談に来られる方が少なくありません。科目の付け替えでは済まず、期末の在庫や消費税まで見直します。
仕入の送料を荷造運賃に入れる誤り
仕入れた商品の引取運賃は、商品の取得価額に含めるのが原則です。荷造運賃に入れると、期末に売れ残った商品の金額に送料が入らず、在庫が小さく出ます。その分、当期の利益が小さくなって翌期にずれ、決算書と税金に影響します。
備品の送料を切り離す誤り
パソコンや機械の送料は、その資産の取得価額に含めます。消耗品費で処理する基本の線は、取得価額が10万円未満かどうかです。送料を除いて判定すると、別の扱いになる資産まで消耗品費にしてしまいます。
受け取った送料を売上から外す誤り
お客様から受け取った送料を、売上に入れず仮受金などで処理すると、売上が小さくなり、消費税も少なく計算されます。売上から外せるのは、要件を2つとも満たす場合だけです。
決算月の送料の入れ忘れ
運送会社の請求が翌月になると、決算月に発送した分の送料が翌期の費用になり、当期の利益が大きく出ます。決算月の運賃は、未払金などで当期の費用にします。
税理士が確認する順番
運送会社の請求書と、何を運んだかが分かる納品書をお持ちいただければ、仕入・発送・備品の送料に分けて科目を確かめます。
商品を発送した送料の科目は?
結論: 商品をお客様へ届けるために払った運賃と梱包資材費は、荷造運賃で処理します。請求書や案内状の郵送は通信費です。
荷造運賃に入れるもの
宅配便、路線便、チャーター便の運賃のほか、段ボールや緩衝材などの梱包資材、荷造りを頼んだ人への賃金が荷造運賃です。梱包資材を消耗品費に入れる会社もありますが、発送の件数に合わせて増減する費用なので、荷造運賃にまとめると発送費の割合を追いやすくなります。
通信費との分け方
国税庁は通信費を、事業用の電話料、切手代、電報料などと説明しています(確定申告書等作成コーナー、令和5年分のよくある質問)。分かれ目は、運んだ中身が売り物かどうかです。
代金引換の手数料と着払い
代金引換の手数料は、代金を回収してもらった対価なので、支払手数料に分けます。請求書に運賃と代引き手数料が並んでいても、全額を荷造運賃に入れず分けます。
着払いで送った場合、運送会社に払うのはお客様なので、自社の帳簿に送料は出ません。
仕入れの送料の仕訳は?
結論: 仕入れた商品の引取運賃は、商品の購入代価に加えて取得価額とするため、仕入に含めて処理します。荷造運賃にはしません。
取得価額に加える費用
法人税法施行令32条は、購入した棚卸資産(商売で売る商品や材料)の取得価額を、購入の代価に引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などを加えた金額と定めています。引取運賃が名指しされているので、仕入の送料に選択の余地はありません。個人事業主も、所得税法施行令103条で同じ扱いです。
送料が別に請求されるときは、仕入に含めたうえで補助科目の仕入諸掛で分けておくと、送料の合計を後から追えます。
仕訳の例
仕入れた商品100,000円に、運送会社へ払う引取運賃3,000円がかかった場合です(説明用の金額です。消費税は考えていません)。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 仕入れて、運賃も払った | 仕入 100,000円 仕入(仕入諸掛)3,000円 |
買掛金 100,000円 現金預金 3,000円 |
期末に在庫が残るときは、在庫の金額を出す単価にも引取運賃を含めます。
3%以内なら費用にできるという誤解
法人税基本通達5-1-1は、次の3つの費用の合計が購入代価のおおむね3%以内なら、取得価額に算入しないことができるとしています。
- 買入事務、検収、整理、選別、手入れなどの費用
- 販売所などから別の販売所などへ移す運賃や荷造費
- 特別の時期に売るための長期間の保管費用
仕入先から自社へ運ぶ引取運賃は、この3つに入りません。金額が小さくても、取得価額に含めるのが原則です。
差が出るのは、期末に在庫が残るときです。その期に全部売れていれば、荷造運賃でも仕入でも営業利益は同じです。
お客様から受け取る送料の仕訳は?
結論: お客様から受け取る送料は、原則として売上に含めます。配送を他社に委託し、代金と区分して預り金などで処理しているときだけ、売上から除けます。
売上に含める原則
商品代金10,000円と送料1,000円を掛けで販売した場合です(説明用の金額です。消費税は考えていません)。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 発送して、代金と送料を請求した | 売掛金 11,000円 | 売上 11,000円(補助科目で商品10,000円・送料1,000円) |
| 運送会社に送料を払う | 荷造運賃 1,000円 | 現金預金 1,000円 |
売上と荷造運賃が両方立つので、受け取った送料と払った運賃が同額なら、利益は動きません。補助科目で分けると、送料で運賃をまかなえているかを見られます。
預り金で処理できる要件
消費税法基本通達10-1-16は、他の者に委託する配送などの料金を、商品代金と明確に区分して受け取り、預り金や仮受金などで処理している場合は、売上の対価に含めなくてよいとしています。要件は次の2つで、片方だけでは足りません。
- 代金と明確に区分して受け取っていること
- 預り金や仮受金などで処理していること
送料を請求せず自社で負担する送料無料のときは、荷造運賃が増えるだけで、売上は立ちません。
備品や消耗品を買った送料は?
結論: 機械やパソコンなどを買ったときの送料は、その資産の取得価額に含めます。文房具などは、買った物と同じ科目に送料を含めます。
備品の取得価額に含める送料
法人税法施行令54条は、購入した減価償却資産(長く使う設備や備品)の取得価額に、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料のほか、事業に使える状態にするために直接かかった費用を加えると定めています。個人事業主は所得税法施行令126条が同じ定めです。
10万円と40万円の判定
説明用に、本体98,000円のパソコンに送料3,000円がかかった場合です。取得価額は101,000円で、10万円未満ではありません。
取得価額が10万円未満なら、使った期に全額を経費(損金)にできます。20万円未満なら、3年で均等に経費にする一括償却資産を選べます。青色申告書を出す中小企業者等は、令和8年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を、年300万円まで全額経費にできる特例もあります(国税庁タックスアンサー No.5403・No.5408)。どの制度を使えるかは、送料を含めた金額で決まります。
文房具や書籍の送料
文房具や書籍は、送料を含めた金額を消耗品費や新聞図書費に入れると、何を買ったときの送料か後から追えます。送料を荷造運賃に入れると、発送費の数字に仕入側の送料が混ざります。
送料の消費税とインボイスは?
結論: 国内の運送は課税仕入れで、仕入税額控除には適格請求書などが要ります。国内と国外をまたぐ運送や郵便は輸出免税で、切手だけを対価とするポスト投函の郵便は帳簿だけで控除できます。
送料の種類別の早見表
| 送料の種類 | 消費税 | 仕入税額控除のために保存するもの |
|---|---|---|
| 国内の宅配便・路線便・チャーター便 | 課税(10%) | 適格請求書などの請求書等 |
| 切手だけを対価とするポスト投函の郵便 | 課税 | 一定の事項を記載した帳簿のみ |
| 郵便局の窓口など、ポスト投函以外 | 課税 | 適格請求書などの請求書等 |
| 税込1万円未満の運賃 | 課税 | 一定の事項を記載した帳簿のみ(少額特例) |
| 国内と国外をまたぐ運送・郵便 | 輸出免税 | 消費税はかからない |
国内の運送は課税10%
国税庁は、課税仕入れに運送などのサービスの購入が含まれると説明しています(タックスアンサー No.6355)。運送は軽減税率の対象外で、10%です。食品を運ぶ送料も、飲食料品の譲渡の対価ではないため同じです(軽減税率制度に関するQ&A個別事例編 問39)。ただし、送料込みの商品を売るときは、その商品が飲食料品なら全体が軽減税率の対象です。
切手とポスト投函
郵便切手類のみを対価とするポスト投函の郵便サービスは、適格請求書の交付義務が免除されています。買う側は、一定の事項を記載した帳簿を保存すれば、仕入税額控除を受けられます(インボイスQ&A 問100)。ポスト投函以外は適格請求書などが要ります。
切手の販売は非課税で(タックスアンサー No.6201)、課税仕入れになるのは、原則として郵便サービスに使った時です。
税込1万円未満の少額特例
基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5千万円以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの課税仕入れで、税込1万円未満なら帳簿だけで仕入税額控除ができます。1万円は1回の取引で判定し、一度に頼んだ2つの荷物の運賃が5,000円と7,000円なら、合計12,000円で対象外です。月まとめの請求書でも取引ごとに判定しますが、月単位の契約で1か月分をまとめて払うものは、月の金額で判定します。
国内と国外をまたぐ送料
国内と国外にわたる貨物の輸送と、国内と国外の間の郵便は、輸出免税の対象です(消費税法基本通達7-2-1、タックスアンサー No.6551)。
よくある質問
送料と運賃の違いは何ですか?
梱包資材は消耗品費ですか、荷造運賃ですか?
切手代は何の科目ですか?
まとめ:送料は目的を決めてから科目を選ぼう
- 送料の科目は、払った相手ではなく、何のための運送かで決まる
- 発送は荷造運賃、仕入の引取運賃は仕入、備品の送料はその資産の取得価額
- 3%以内なら取得価額に算入しなくてよい費用に、引取運賃は入らない
- お客様から受け取る送料は原則として売上。預り金で除けるのは、区分して受け取り、預り金で処理したときだけ
- 国内の運送は課税10%。ポスト投函の切手と税込1万円未満は帳簿だけで控除できる
荷造運賃に仕入や備品の送料が混ざっている方、通販の送料と消費税の扱いに迷っている方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の決算書と運送会社の請求書を確認し、科目の付け替えと消費税の区分を整理します。
出典
- e-Gov 法令検索「法人税法施行令」第32条・第54条、「所得税法施行令」第103条・第126条
- 国税庁「法人税基本通達」5-1-1、「消費税法基本通達」10-1-16・7-2-1
- 国税庁 タックスアンサー No.5403・No.5408・No.6201・No.6355・No.6551
- 国税庁「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」問39
- 国税庁「適格請求書等保存方式に関するQ&A」問100、「少額特例の概要」
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問「荷造運賃」(令和6年分)・「通信費」(令和5年分)





