個人事業主の税金はいつ払う?種類と納付時期を月別に解説
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
個人事業主が納める税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4つです。いつ払うかは税金ごとに違い、3月に所得税と消費税、6月から住民税、7月と11月に予定納税(対象の人のみ)、8月と11月に個人事業税が来ます。7月や9月に何を払うのかも、下の月別の早見表で確かめられます。この記事では、4つの税金の納付時期、独立2年目に負担が増える理由、納税資金の用意の仕方、払えないときの手段を、国税庁や東京都主税局の公表資料(2026年10月時点)で整理します。
個人事業主の税金は月ごとにいつ払う?
結論: 国の税金は3月(所得税と消費税)、7月と11月(予定納税)、8月(消費税の中間納付)に納めます。地方の税金は、住民税が6月ごろから翌年1月まで、個人事業税が8月と11月です。
月ごとの早見表
納める税金を月別に並べると、次のとおりです。
| 月 | 納めるもの | 補足 |
|---|---|---|
| 1月 | 住民税(第4期。1月を納期とする自治体) | 償却資産の申告は1月31日まで |
| 2月 | 納める税金はなし | 確定申告の受付は2月16日から |
| 3月 | 所得税の申告と納付(3月15日)、消費税の申告と納付(3月31日) | 期限が土日にあたる年は翌開庁日 |
| 4月 | 振替納税の引落し | 令和7年分は所得税が4/23、消費税が4/30 |
| 5月 | 所得税の延納分(5月31日) | 延納を選んだ人だけ |
| 6月 | 住民税(第1期) | 予定納税の通知は6月15日までに届く |
| 7月 | 予定納税(第1期。7月1日から31日) | 予定納税基準額が15万円以上の人だけ |
| 8月 | 個人事業税(第1期)、住民税(第2期)、消費税の中間納付 | 中間納付は前年の消費税額が48万円を超える人だけ。年1回の人は8月31日 |
| 9月 | 国の税金の納期はなし | 消費税の中間納付を振替納税にしている人の引落しは例年9月下旬 |
| 10月 | 住民税(第3期) | 納期は市区町村の条例で決まる |
| 11月 | 予定納税(第2期。11月1日から30日)、個人事業税(第2期) | 東京都の個人事業税の第2期は11月30日 |
| 12月 | 国の税金の納期はなし | 住民税の納期を12月とする自治体がある |
所得税と消費税は国、住民税は市区町村、個人事業税は都道府県の税金です。住民税と個人事業税は前年の所得に課され、自治体から届く納税通知書で納めます。表の月は原則で、納期は自治体で違うため、通知書の日付が正しい日付です。
税金と同じ月に出ていく保険料
国民健康保険料と国民年金保険料は税金ではありませんが、資金繰りでは税金と同じ扱いで見ます。国民年金保険料の納期限は対象月の翌月末日で(日本年金機構)、国民健康保険料は前年の所得で決まり、月と回数が自治体で違います。
納税資金の準備でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、独立2年目の負担増の見込み漏れ、個人事業税の所得の数え方、預かった消費税の使い込み、予定納税の通知の見落としの4つです。間違えると、納期に資金が足りず、延滞税を払うことになります。
独立2年目の夏に、個人事業税の納付書を見て、資金を取り分けていなかったと気づいて相談に来られる方が少なくありません。
2年目に加わる住民税と個人事業税
独立した年の所得に対する住民税は翌年の6月から、個人事業税は翌年の8月から納めます。独立1年目は、会社員だったころの所得に係る住民税が続く一方で、事業の所得に係る住民税と個人事業税はまだ来ません。1年目の余裕を基準に使うと、2年目に足りなくなります。
個人事業税の所得は青色申告特別控除を引かない
個人事業税は、事業主控除(年290万円。事業を行った期間が1年未満なら月割)を超える部分に課されます。間違えやすいのは、所得税の申告書の所得をそのまま当てはめる点です。個人事業税には青色申告特別控除の適用がなく、所得税で引いた額を足し戻して数えます(東京都主税局)。
所得税の事業所得が250万円(青色申告特別控除65万円を引いた後)なら、個人事業税の所得は65万円を足し戻した315万円です。事業主控除290万円を引いた25万円に、第1種事業の税率5%を掛けると1万2,500円です(説明用の金額です)。所得税の所得が290万円を下回っていても、個人事業税が課される場合があります。
預かった消費税の使い込み
課税事業者の売上に含まれる消費税は、あとで国に納めるお金です。売上と混ぜて使うと、翌年3月31日の納付で足りなくなります。納付額は、売上に含まれる消費税から、仕入や経費に含まれる消費税を引いた残りです。申告で確定するまで金額は分からないため、見込みの額を先に取り分けます。
予定納税の通知の見落とし
予定納税の対象になると、6月15日までに税務署から通知が届きます。通知に気づかず7月31日を過ぎると、延滞税が加わります。
税理士が確認する順番
税理士は、納税資金の見込みを次の順で確かめます。
- 前年の確定申告書で、所得税の額と予定納税基準額を見る
- 前年に届いた住民税と個人事業税の納税通知書で、納めた額を確かめる
- 今年の所得が前年と比べて増えたか減ったかを見て、翌年の住民税と個人事業税を見込む
- 消費税の課税事業者かを判定し、中間納付の対象かを見る
- 月ごとの納付額を合計して、資金が足りなくなる月を探す
前年の確定申告書と住民税・個人事業税の納税通知書をお持ちいただければ、翌年の納付額の見込みと個人事業税の所得の数え方を一緒に確かめます。
所得税はいつ、どう納める?
結論: 所得税は翌年3月15日までに申告して納めます。予定納税基準額が15万円以上の人は、その年の7月と11月にも前払いします。
確定申告の納付は翌年3月15日
確定申告の期間は、翌年の2月16日から3月15日までです(国税庁タックスアンサーNo.2020)。令和8年分の期限は、令和9年3月15日(月)です。納付書は届かないため、納付の方法は自分で選びます。
資金が足りないときは延納が使えます。税額の2分の1以上を3月15日までに納めれば、残りを5月31日まで延ばせ、延ばした期間は利子税がかかります。
予定納税は7月と11月
予定納税は、その年の所得税を前払いする制度です。5月15日時点の前年分の税額などから計算した予定納税基準額が15万円以上なら、基準額の3分の1ずつを、7月1日から31日までと、11月1日から30日までの2回に分けて納めます(国税庁タックスアンサーNo.2040)。通知は6月15日までに届きます。
前払いした分は、翌年3月の確定申告で年の税額から差し引き、多ければ還付されます。
業績が落ちたときの減額申請
予定納税の額は前年の実績で決まり、業績が落ちてもそのままでは変わりません。廃業、休業、業績の悪化などで、6月30日の現況で見積もった税額が予定納税基準額に満たないと見込まれるときは、減額を申請できます。
第1期と第2期の両方を減らすなら7月15日まで、第2期だけなら11月15日までが申請の期限です(令和8年は休日にあたるため11月16日)。見込みが甘いと確定申告で追加の納付が出るため、根拠のある見積りで判断します。
住民税と個人事業税はいつ納める?
結論: 住民税は年4回で、6月・8月・10月・翌年1月とする自治体が多くあります。個人事業税は8月と11月の年2回です。どちらも自治体から届く納税通知書で納めます。
住民税は年4回に分けて納める
住民税は、前年の所得に対して市区町村と都道府県が課す税金です。所得税の確定申告をしていれば、住民税の申告は別に要らず、確定申告の内容が計算に使われます。
納税通知書は6月ごろに届き、納期は年4回で市区町村が条例で決めます。6月・8月・10月・翌年1月に分ける自治体が多く、東京都の手引きは、6月・8月・10月と、12月または1月に分ける形を案内しています。
所得割の税率は、標準税率で一律10%(市町村民税6%、道府県民税4%)で、所得に関係なく課される均等割が加わります。
個人事業税は8月と11月
個人事業税は、地方税法で定められた法定業種の事業に課される都道府県の税金です。東京都の納期は第1期が8月31日、第2期が11月30日です(休日にあたる場合は翌日)。納期の日付は都道府県で違います。法定業種に当たらない事業には課されません。
消費税はいつ納める?
結論: 消費税は、課税事業者が翌年3月31日までに申告して納めます。前年の消費税額が48万円を超えると、8月にも中間納付があります。
消費税を納める人
消費税を納めるのは課税事業者です。前々年の課税売上高が1,000万円を超える人と、インボイスの適格請求書発行事業者として登録した人が当たります。登録した人は、売上の金額にかかわらず納めます。
申告と納付は翌年3月31日
個人事業者の消費税の申告と納付の期限は、翌年3月31日です。令和7年分は令和8年3月31日(火)でした。所得税の期限より2週間遅く、3月は所得税と消費税が続けて出ていきます。
インボイスの登録をきっかけに課税事業者になった個人事業者は、2割特例を令和8年分の申告まで使えます。令和9年分と令和10年分は、納付税額を3割にする3割特例です(令和8年度税制改正)。
8月の中間納付
前年の確定消費税額(地方消費税を除く)が48万円を超える個人事業者は、その年の途中にも中間申告と納付をします(国税庁)。回数は次のとおりです。
- 48万円超400万円以下:年1回。前年の確定消費税額の12分の6を、8月31日までに納める
- 400万円超:年3回(4,800万円超は年11回)
納税資金はどう用意する?
結論: 売上が入った日に、納税用の口座へ一定額を移す方法が確実です。手元に残した資金は使ってしまうためです。
前年の納付額から毎月の額を出す
前年に納めた所得税、住民税、個人事業税、消費税、国民健康保険料、国民年金保険料の合計を集計し、12で割ります。この額を、毎月、事業用とは別の口座へ移します。
年間のカレンダーを作る
上の月別の早見表に、自分の金額を書き込み、月ごとの合計を出すと、資金が足りなくなる月が見えます。
税金を払えないときはどうする?
結論: 納期限に遅れると延滞税がかかります。払えない見込みが分かった時点で、納められる分を納め、猶予や延納を税務署に相談します。
納期限に遅れると延滞税がかかる
納期限までに納めないと、納期限の翌日から納付の日までの延滞税を加えて納めます(国税庁)。振替納税の口座に残高がなく、引落しができなかった場合も同じです。納められる分を先に納めれば、延滞税の計算に使う額が減ります。
納付の方法を選ぶ
国税の納付の方法は、振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード、スマートフォンアプリ、コンビニ(QRコード)、窓口です(国税庁)。クレジットカードは決済手数料がかかり、スマートフォンアプリは30万円以下に限られます。
振替納税なら、現金が出ていくのは申告期限の約1か月後です。令和7年分の引落日は、所得税が令和8年4月23日、消費税が4月30日でした。
猶予を相談する
一時に納付できない事情があるときは、猶予の制度があります。承認されると延滞税が軽くなります。要件があるため、早い時点で税務署に相談します。
よくある質問
個人事業主の税金は何種類ありますか?
7月に払う税金は何ですか?
9月に払う税金はありますか?
まとめ:月別のカレンダーで納付時期を先に押さえよう
- 納める税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4つ
- 国の税金は3月(所得税と消費税)、7月と11月(予定納税)、8月(消費税の中間納付)
- 住民税は6月ごろから翌年1月まで、個人事業税は8月と11月に、自治体の納税通知書で納める
- 独立2年目に住民税と個人事業税が加わる。個人事業税の所得は、青色申告特別控除を足し戻して数える
- 売上が入った日に納税用の口座へ移し、月別のカレンダーを作る
独立2年目に入る方、予定納税の通知が初めて届いた方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。前年の確定申告書と納税通知書を確認し、月ごとの納付額と毎月取り分ける額を整理します。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2020「確定申告」
- 国税庁 タックスアンサー No.2040「予定納税」
- 国税庁「予定納税額の減額申請手続」と「所得税及び復興特別所得税の予定納税(第1期分・第2期分)の納税をお忘れなく」
- 国税庁「税金の納付」と「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」
- 国税庁「個人事業者の消費税の中間申告」
- 国税庁リーフレット「インボイス制度に関するお知らせ 令和8年度税制改正特集」
- 東京都主税局「個人事業税」と「固定資産税(償却資産)」
- 東京都主税局「個人住民税の特別徴収の事務手引き」
- 日本年金機構「国民年金保険料の納付」
- 地方税法





