消費税の中間納付|回数と計算方法
「税務署から消費税の中間申告書が届きました。まだ決算前なのに、なぜ払うのでしょうか」。「去年より売上がかなり落ちているのに、去年と同じ金額を納めることになるのですか」――中間申告の通知が届いた会社から、この2つはよくいただくご相談です。
消費税の中間納付は、前の課税期間の消費税額が48万円を超えたときに必要になります。回数は前年の税額に応じて年1回・年3回・年11回の3段階です。国税庁のタックスアンサーNo.6609によれば、この48万円に地方消費税額は含みません。
税理士法人Light UPでは、中間納付でつまずくのは金額そのものより仮決算という選択肢を知らないことだと考えています。売上が大きく落ちた年でも、届いた納付書の金額をそのまま納めている会社は少なくありません。実額で計算し直して納める道が用意されています。
この記事では、中間納付が必要になる基準と回数、納付額の計算、期限、仮決算による方法とその注意点、任意の中間申告、そして資金繰りと会計処理までを、記帳と申告を代行している立場から整理します。
中間納付が必要になるのは前年の消費税が48万円を超えたとき
結論: 消費税の中間申告が必要になるのは、直前の課税期間の消費税の年税額が48万円を超える場合です。個人事業者は前年、法人は前事業年度の年税額で判定します。
判定に地方消費税は含まない。売上の規模でいうとどのくらいか
国税庁のタックスアンサーNo.6609は、中間申告書の提出が必要な事業者について、「個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度(以下「直前の課税期間」といいます。)の消費税の年税額が48万円を超える者です」としたうえで、この年税額に地方消費税額は含まないと注記しています。
納付書に印字された合計額ではなく、消費税だけの金額で判定します。地方消費税を含めると78分の100になるため、合計で60万円を超えるあたりが目安です。
一般課税で、売上に対して差し引ける仕入れが7割ほどの会社を考えます。消費税の年税額が48万円になるのは、課税売上高が概ね2,000万円を超えたあたりです。
業種や仕入率で大きく動くため目安にすぎませんが、免税事業者を抜けて数年で届く水準ではあります。
課税期間の特例を使っていると対象外。通知が届かないこともある
同じ資料には、課税期間の特例制度を適用している事業者は中間申告書を提出する必要がないと示されています。3か月ごと、1か月ごとに申告している場合は、そもそも中間という考え方が入りません。
多くの場合、税務署から中間申告書と納付書が送られてきます。ただし届かないこともあるため、書類が来ないから対象外だと判断するのは危険です。
前期の申告書の税額を見れば、自分で判定できます。
回数は前年の税額で3段階に分かれる
結論: 中間申告の回数は、直前の課税期間の確定消費税額に応じて年1回・年3回・年11回に分かれます。48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回です。
3段階の区分、合計額は変わらない、段階をまたぐ年
国税庁のタックスアンサーNo.6609が示す区分は、次のとおりです。
| 直前の課税期間の確定消費税額 | 中間申告の回数 | 1回あたりの中間納付税額 | 1年の申告回数 |
|---|---|---|---|
| 48万円以下 | 原則として不要(任意の中間申告制度あり) | ― | 確定申告1回 |
| 48万円超〜400万円以下 | 年1回 | 確定消費税額の12分の6 | 確定申告1回+中間1回 |
| 400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 | 確定消費税額の12分の3 | 確定申告1回+中間3回 |
| 4,800万円超 | 年11回 | 確定消費税額の12分の1 | 確定申告1回+中間11回 |
1年間で納める中間納付の合計は、回数によって変わります。年1回なら前年の税額の12分の6、年3回なら12分の3が3回で12分の9、年11回なら12分の1が11回で12分の11です。回数が多いほど、前年の税額に近い金額を先に納めることになります。
ただし、中間で納めた分は確定申告で控除され、納めすぎていれば還付されます。1年を通して負担する税額そのものは、回数によって変わりません。変わるのは、いつ・いくら手元から出ていくかです。
前期に大きな売上があって年税額が400万円を超えると、翌期から回数が年1回から年3回に増えます。事務負担も納付の管理も変わります。
前期の申告が終わった時点で、翌期の回数は決まっています。決算後すぐに確認しておくと、1年の資金計画に組み込めます。
地方消費税も一緒に納める
中間納付税額と併せて、地方消費税の中間納付税額も納めます。同じ資料では、地方消費税の中間納付税額は消費税の中間納付税額の78分の22とされています。
納付書には合計額が印字されるため、実務では意識せずに納めている場面が多いところです。
納付書は1枚で、国税と地方税の内訳が分かれています。合計額で資金を用意しておくことです。
納付する金額は前年の税額を分割したもの
結論: 中間納付税額は、直前の課税期間の確定消費税額を回数に応じて分割した金額です。年1回なら12分の6、年3回なら12分の3、年11回なら12分の1になります。
前年の実績がそのまま基準になる。確定消費税額とは何か
中間納付は、当期の業績を見て決まるものではありません。前年の実績を機械的に分割した金額です。
だから、売上が落ちた年でも前年と同じ水準の納付書が届きます。ここが不満につながりやすいところです。
国税庁の同じ資料は、確定消費税額について「中間申告対象期間の末日までに確定した消費税の年税額をいいます(地方消費税は含みません。)」としています。
修正申告や更正で税額が動いた場合は、その時点で確定している金額を使います。
直前の課税期間が12か月に満たない場合と、端数の扱い
同じ資料には、直前の課税期間が12か月に満たない場合は計算方法が異なるという注記があります。設立第1期が数か月だった法人などが該当します。
年換算して判定する形になるため、設立2期目の会社は自分で計算しない判断が安全です。
中間納付税額に100円未満の端数がある場合は切り捨てます。納付書に印字された金額をそのまま納めれば足ります。
申告と納付の期限は対象期間の末日の翌日から2か月以内
結論: 中間申告書の提出期限と納付期限は、いずれも各中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内です。年1回の場合、個人事業者は8月31日、法人は事業年度開始から8か月目の末日が期限になります。
期限の数え方と、回数別の期限
期限は対象になる期間の末日から数えます。回数が増えるほど、期限も細かく分かれます。まず数え方を押さえたうえで、回数別の一覧を見ます。
中間申告対象期間が終わった翌日から2か月を数えます。個人事業者の年1回なら、対象期間は1月1日から6月30日までなので、期限は8月31日です。
3月決算の法人なら、対象期間は4月1日から9月30日まで、期限は11月30日になります。
| 回数 | 中間申告対象期間 | 提出・納付期限 |
|---|---|---|
| 年1回 | 課税期間開始の日以後6か月 | その期間の末日の翌日から2か月以内 |
| 年3回 | 課税期間開始の日以後3か月ごと | 各期間の末日の翌日から2か月以内 |
| 年11回(個人・1月から3月分) | 1月から3月 | 5月31日 |
| 年11回(個人・4月から11月分) | 各1か月 | 各期間の末日の翌日から2か月以内 |
個人の年11回は最初だけまとめて出す
国税庁のタックスアンサーNo.6609によれば、個人事業者の年11回の中間申告では、1月から3月分の期限が5月末日、4月から11月分は中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内とされています。
年が明けてすぐの3か月分は、まとめて5月末に納める形です。確定申告の直後に中間の納付が続くため、この時期は資金の出方が重くなります。
法人の年11回にも同じ調整がある
法人の年11回では、課税期間開始後の1か月分について、課税期間開始日から2か月を経過した日から2か月以内が期限とされています。以後の10か月分は各期間の末日の翌日から2か月以内です。
決算期をまたいだ直後の期間だけ、期限の数え方が違います。
最初の1回だけ提出の期限が後ろにずれる形です。回数が多い年は、期限の一覧を作っておくと抜けません。
申告書を出さなくても納付義務は残る
結論: 中間申告書を期限までに提出しなかった場合、提出があったものとみなされます。前年の実績による税額がそのまま確定するため、出さなければ納めなくてよい、という扱いにはなりません。
みなし申告の規定と、納付が遅れれば延滞税がかかること
国税庁のタックスアンサーNo.6609には、「中間申告書を提出すべき事業者が、その中間申告書をその提出期限までに提出しない場合には、中間申告書の提出があったものとみなされ、直前の課税期間の実績により計算した消費税額が直ちに確定することになります」と示されています。
書類を出さないことで納税を先送りできるわけではありません。
税額は確定しているので、納付が遅れれば法定納期限の翌日から延滞税の対象になります。国税庁の同じ資料でも、納付が遅れた場合には延滞税を本税と併せて納付する必要があると注意が促されています。
出さなくてよいのは実績どおりに納めるとき。任意の中間申告は別扱い
前年の実績で納めるつもりなら、送られてきた納付書で納めるだけで足ります。申告書を別に出す手間は実質的にありません。
申告書を出す意味があるのは、次に説明する仮決算で税額を減らすときです。
48万円以下の事業者が任意で中間申告をしている場合、期限までに出さなかったときはみなし申告になりません。制度の適用をやめる届出があったものとみなされます。
義務の場合と任意の場合で結論が逆になる点は、押さえておく価値があります。
売上が落ちた年は仮決算で減らせる
結論: 中間申告対象期間について仮決算を行えば、実額で計算した税額で中間申告・納付ができます。前年より業績が落ちている年は、納付額を実態に近づけられます。
仮決算とは何をするか、簡易課税でも選べること、法人税の仮決算との関係
中間申告対象期間を1つの課税期間とみなして、その期間の売上と仕入れから消費税額を計算します。決算をもう一度組むイメージです。
年1回の会社なら、上半期6か月分の消費税を計算することになります。
国税庁のタックスアンサーNo.6609には、仮決算を行う場合にも簡易課税制度の適用があると示されています。簡易課税なら売上の集計だけで済むため、仮決算の負担は軽くなります。
法人税にも仮決算による中間申告があり、こちらは事業年度開始の日から6か月を1事業年度とみなして所得を計算します。上半期の業績が落ちている会社では、消費税と法人税の両方で仮決算を選べる場合があります。ただし判定の基準も回数も別の制度なので、片方だけ該当することもあります。
手間と効果を比べて決める。資金繰りが厳しい年ほど意味がある
仮決算は、半年分の帳簿を締める作業です。月次で記帳が回っている会社なら追加の負担は小さく済みますが、年に一度まとめて処理している会社では相応の手間になります。
前年から売上が2割ほど落ちた程度なら、手間に見合わないことも多いものです。半分以下になっているような年は、検討する価値が出てきます。
納付額を減らせても、確定申告で精算されるので税額の総額は変わりません。変わるのは資金が出ていくタイミングです。
手元の現金が薄い年に、前年並みの納付を避けられる。それが仮決算を選ぶ理由になります。
仮決算には注意点が3つある
結論: 仮決算による中間申告には、還付が受けられないこと、期限後には提出できないこと、そして計算の手間がかかることの3つの制約があります。使う前に確認しておく必要があります。
マイナスでも還付されない。期限後には提出できない
国税庁のタックスアンサーNo.6609は、「仮決算により計算した税額がマイナスとなった場合でも還付を受けることはできません」としています。
大きな設備投資をした期でも、中間の段階では取り戻せません。還付は確定申告で受けることになります。
同じ資料には、「中間申告をすべき事業者が、その中間申告書をその提出期限までに提出しない場合には、直前の課税期間の確定消費税額に基づいて算出した消費税額等を記載した中間申告書の提出があったものとみなされるため、仮決算による中間申告書を期限後に提出することはできません」と示されています。
期限を1日でも過ぎれば、実績による税額で確定します。あとから減らすことはできません。
明細の作成が要る。判断の期限は思ったより早い
同じ資料は、仮決算による中間申告書について、その中間対象期間中の資産の譲渡等の対価の額および課税仕入れ等の税額の明細その他の事項を記載した書類の添付を求める旨に触れています。
数字だけを書いて出す、という形にはなりません。
年1回の会社なら、対象期間が終わってから2か月あります。ただし、その2か月で半年分の帳簿を締める必要があります。
対象期間が終わる前から準備を始めておくと、選択肢として使える状態になります。
48万円以下でも自分から中間申告できる
結論: 直前の課税期間の消費税額が48万円以下の事業者でも、届出を出せば年1回だけ自主的に中間申告・納付ができます。納税を1年分ためずに分けたい会社が使う制度です。
任意の中間申告制度と、納付額は12分の6
国税庁のタックスアンサーNo.6611は、「直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税額を含まない年税額)が48万円以下の事業者(中間申告義務のない事業者)が、任意に中間申告書(年1回)を提出する旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合には、当該届出書を提出した日以後にその末日が最初に到来する6月中間申告対象期間から、自主的に中間申告・納付することができます」としています。
同じ資料によれば、中間納付税額は直前の課税期間の確定消費税額の12分の6です。義務がある場合の年1回と同じ計算になります。
仮決算による方法も選べます。
出さなければ自動でやめたことになる。使う場面は資金繰りの平準化
同じ資料には、中間申告書を提出期限までに提出しなかった場合には、6月中間申告対象期間の末日に、任意の中間申告制度の適用をやめようとする旨を記載した届出書の提出があったものとみなされると示されています。
義務がある場合のようなみなし申告にはならず、納付できなくなるだけです。やめたいときの手続きが実質的に不要という設計になっています。
年に一度の納税でまとまった金額が出ていくより、半分ずつ2回に分けたい。そういう会社が使います。
税額が減るわけではありません。出ていくタイミングを自分で選ぶための制度です。
中間納付した分は確定申告で精算される
結論: 中間納付した税額は、確定申告のときに納付すべき税額から差し引かれます。控除しきれない場合は還付されるため、納めすぎになることはありません。
前払いにすぎない。業績が落ちた年は還付になる
国税庁のタックスアンサーNo.6611は、中間申告による納付税額がある場合について、「確定申告の際にその納付税額が控除され、控除しきれない場合には還付されます」としています。
中間納付は税額を増やすものではなく、納めるタイミングを前に持ってくるだけです。
前年より売上が大きく落ちた年は、中間で納めた額が確定税額を上回ることがあります。この場合は差額が還付されます。
還付までには時間がかかるため、その間は資金が拘束されます。仮決算を検討する理由がここにもあります。
確定申告書に中間納付額を書く。会計処理は仮払金で受ける
確定申告書には、中間納付税額を記載する欄があります。書き忘れると二重に納めることになるため、納付の記録は残しておきます。
中間納付した時点では、当期の税額が確定していません。仮払金や仮払消費税等として資産に計上し、確定申告のときに精算するのが一般的です。
税込経理を採用している場合は、租税公課で処理して決算で調整する方法もあります。
法人税の中間申告とは基準も回数も違う
結論: 法人税にも中間申告がありますが、基準となる金額も回数も消費税とは別です。消費税は48万円超で最大年11回、法人税は前期の確定税額20万円超で年1回です。
2つの制度の違い、同じ月に重なること、予定申告と仮決算の考え方
| 項目 | 消費税 | 法人税 |
|---|---|---|
| 中間申告が必要になる基準 | 直前の課税期間の消費税額が48万円超 | 前事業年度の確定法人税額が20万円超 |
| 回数 | 年1回・年3回・年11回の3段階 | 年1回 |
| 納付額 | 前年の税額の12分の6・12分の3・12分の1 | 前事業年度の確定法人税額の12分の6 |
| 実額で計算する方法 | 仮決算による中間申告 | 仮決算による中間申告 |
| 期限 | 対象期間の末日の翌日から2か月以内 | 事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内 |
3月決算の法人では、法人税の中間申告期限が11月末、消費税の年1回の中間申告期限も11月末です。同じ月に2つの納付が並びます。
年3回の会社では、さらに8月末と2月末にも消費税の中間納付が入ります。
どちらも、前期の実績で納める方法と仮決算で実額を出す方法があります。判断の考え方は同じです。
ただし、消費税だけ仮決算にして法人税は実績で、という組み合わせも可能です。片方だけ手を入れる選択もあります。
資金計画は税目をまたいで作る
法人税、消費税、住民税、事業税。中間納付があるものを一覧にすると、年間の納税カレンダーができます。
作っておくと、資金の谷がどこに来るかが先に見えます。
法人税、消費税、住民税、社会保険料。同じ月に重なるものを並べて、年間の支出の山を先に見ておきます。税目ごとに別々に管理していると、重なりに気づけません。1枚の表にまとめておくことです。
資金繰りは納税カレンダーで組む
結論: 中間納付は金額が読める支出です。前期の申告が終わった時点で、いつ・いくら納めるかが確定するため、年間の資金計画に組み込めます。
決算直後に1年分が決まる、別口座に取り分ける、早めに相談する
前期の確定消費税額が決まれば、当期の中間納付の回数と金額はその時点で確定します。当期の業績を待つ必要はありません。
預かった消費税を毎月別の口座へ移しておけば、中間納付も確定納付も手元から出す感覚がなくなります。単純な方法ですが、効果は大きいものです。
一時に納付することが困難な事情があるときは、換価の猶予や納税の猶予といった制度があります。無断で滞納するのとは扱いが違います。
中間納付があること自体を知らない年をなくす
免税事業者から課税事業者になった翌々年あたりに、初めて中間申告の通知が届きます。想定していなかった支出として現れるため、驚きにつながりやすい場面です。
前期の申告が終わったときに、翌期の納税予定を一緒に確認しておくだけで防げます。
前期の申告が終わった時点で、次の1年の納付予定は決まります。その場で予定表に書き込んでおけば、通知を待つ必要がありません。
会計処理は仮払金で受けて確定申告で精算する
結論: 中間納付した消費税は、確定申告のときに精算されるまでの間、仮払金や仮払消費税等として資産に計上します。税込経理の場合は租税公課で処理し、決算で未払計上と合わせて調整します。
税抜経理の場合と、税込経理の場合
中間納付した金額を仮払消費税等または仮払金で受けます。確定申告で年間の税額が固まったら、仮受消費税等・仮払消費税等と相殺して、差額を未払消費税等または未収消費税等にします。
中間納付した金額を租税公課で処理します。決算で年間の納付額が確定したら、未払分を租税公課と未払金で追加計上します。
税込経理では、消費税が損益に入る点が税抜経理と違います。
どちらでも税額は変わらない。中途半端に混ぜない
経理方式の違いで、納める消費税の額は変わりません。損益計算書の見え方と、決算整理の手順が変わるだけです。
どちらを選んでも税額は変わりませんが、途中で変えないことです。期の途中で方式が混ざると、精算のときに合わなくなります。
期の途中で経理方式を変えると、仮払と租税公課が混ざって精算できなくなります。方式は期首に決めて、1年を通して同じ扱いにします。
よくある相談事例
中間納付のご相談は、通知が届いた直後に集中します。中でも多いのが次の3つです。
売上が半分になったのに前年と同じ額の納付書が来た
飲食業の会社から、「客足が戻らず売上が前年の6割ほどなのに、中間の納付書が去年と同じ金額でした」というご相談でした。年3回の区分で、1回あたり百数十万円という規模です。
中間納付は前年の実績で決まるため、当期の業績は反映されません。上半期の帳簿を締めて仮決算による中間申告を行ったところ、実績による金額より相当に小さくなりました。整理したのは2点。1つは、期限までに帳簿を締められる体制があるか。もう1つは、確定申告での還付を待つ場合との資金の差です。結果として仮決算を選び、3回とも実額で申告する形にしています。
中間申告書を出し忘れて延滞税がついた
年1回の中間申告がある会社で、担当者の交代時期と期限が重なり、申告も納付も行われていませんでした。
申告書は出さなくても提出があったものとみなされるため、税額は確定していました。納付だけが遅れた状態です。延滞税がついたことをきっかけに、納税のスケジュールを年間カレンダーにまとめ、口座振替の申込みを行いました。担当の方からは「出さなければ始まらないと思っていました」という言葉がありました。
任意の中間申告を勧められて迷った
年税額が40万円ほどの小売業の方から、「中間納付をしたほうがよいと聞いたのですが、義務ではないですよね」というお話がありました。
任意の中間申告は、税額を減らす制度ではありません。納めるタイミングを分けるだけです。この方の場合、繁忙期と納税期がずれており、一度に納めるほうが資金の面では楽な形でした。届出は出さず、預かった消費税を毎月別口座へ移す運用に切り替えています。
よくある質問
中間申告の納付書が届きませんでした。納めなくてよいのでしょうか?
中間納付をしなかった場合、確定申告でまとめて納めればよいですか?
仮決算を選ぶかどうかは、いつまでに決めればよいですか?
中間納付が年11回になると、毎月の手続きが必要ですか?
個人事業主が中間納付を口座振替にすることはできますか?
まとめ:前期の申告が終われば、1年分の納税は読める
- 中間納付が必要になるのは、直前の課税期間の消費税額(地方消費税を除く)が48万円を超えたとき
- 回数は48万円超で年1回、400万円超で年3回、4,800万円超で年11回の3段階
- 中間納付税額は前年の実績を分割した金額。当期の業績は反映されない
- 申告書を出さなくても提出があったものとみなされ、税額は確定する。納付が遅れれば延滞税がかかる
- 売上が落ちた年は仮決算で実額に置き換えられる。ただしマイナスでも還付はなく、期限後には出せない
先に確認すべきは今期の売上ではありません。前期の申告書に載っている消費税額です。その1つの数字で、当期の回数も金額も期限も決まります。
やらなくてよいこともあります。前年と業績が大きく変わらない年に仮決算を組む作業は、手間のわりに得るものが少ないでしょう。半年分の帳簿を締める負担と、減らせる納付額を並べてから決める形で足ります。
税理士法人Light UPでは、記帳の代行から申告、資金繰りのご相談までをまとめてお受けしています。中間納付の通知が届いて資金の見通しに不安が出た段階でも、無料相談からお気軽にお寄せください。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」
- 国税庁 タックスアンサー No.6611「任意の中間申告制度」
- 国税庁 タックスアンサー No.6601「申告と納税」
- 国税庁 タックスアンサー No.6137「課税期間」
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。中間申告の回数や期限は課税期間の取り方によって変わります。個別の判定や仮決算の可否については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。




