自己資本比率とは?計算方法と銀行の比率との違い、業種別の平均
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
自己資本比率は、貸借対照表の純資産を総資産で割り、100を掛けて求めます。総資産のうち、返さなくてよいお金がどれだけあるかを示す割合です。総資産5,000万円で純資産が1,000万円の会社なら、1,000万円÷5,000万円×100で20%です。
検索結果に並ぶ「銀行の自己資本比率」は、これとは別の数字です。銀行自身が守る規制の比率で、分母は総資産ではなくリスク・アセット(貸出などの危険度を加味した資産額)、最低水準は国内基準で4%、国際統一基準で8%です。融資を受ける会社が銀行から見られるのは、この記事で計算する会社の自己資本比率のほうです。
中小企業(法人)の平均は44.93%でした(中小企業庁「令和7年中小企業実態基本調査」令和6年度決算実績)。ただし平均は合格ラインではなく、業種で大きく変わります。この記事では、計算の手順、間違えやすい点、銀行の比率との違い、業種別の平均、比率を上げる方法を、税理士が実務で見る順に整理します(2026年10月時点)。
自己資本比率の計算方法は?
結論: 自己資本比率は、貸借対照表の純資産の合計を総資産の合計で割り、100を掛けて求めます。どちらも決算書の合計欄にある数字で、加工は要りません。
計算式と手順
自己資本比率(%)= 純資産 ÷ 総資産 × 100
総資産は、貸借対照表の資産の部の合計です。負債の部の合計と純資産の部の合計を足した額とも一致します。中小企業庁の実態基本調査も、自己資本比率を「純資産÷総資本×100」で出しています。
説明用の金額で3期分を計算する
3期分を並べると、次のように動きが見えます。金額は説明用です。
| 1期前 | 2期前 | 直近期 | |
|---|---|---|---|
| 総資産 | 4,800万円 | 5,000万円 | 5,000万円 |
| 純資産 | 600万円 | 800万円 | 1,000万円 |
| 自己資本比率 | 12.5% | 16.0% | 20.0% |
比率は毎期上がっています。純資産が増えているのは、利益が出て利益剰余金(過去の利益の積み上げ)が増えているためです。銀行にはこの方向もあわせて説明できます。
自己資本と純資産の関係
純資産の部は、資本金・資本剰余金・利益剰余金などの株主資本を中心に、評価・換算差額等、新株予約権で構成されます(会社計算規則第76条)。会計では、自己資本は純資産とほぼ同じ意味で使われます。厳密には新株予約権のように将来株式に変わるものを除く考え方もありますが、中小企業にはほとんど無いため、純資産の合計をそのまま使えば足ります。
自己資本比率の計算で多い間違いは?
結論: 間違えやすいのは、資本金と純資産の取り違え、資産の中身が実態と違うこと、役員借入金の扱いの3つです。どれも、銀行に伝わる数字とずれます。
決算書を受け取ってすぐ自分で割ってみたら、銀行の担当者が示した数字と違っていた、という相談を受けることがあります。割り算は簡単ですが、割る数字の中身でずれが出ます。
資本金と純資産の取り違え
自己資本の中心は資本金ではなく、純資産の部の合計です。資本金が100万円でも、利益剰余金が積み上がっていれば純資産は大きくなります。逆に、赤字が続いて利益剰余金がマイナスになると、純資産は資本金より小さくなります。資本金だけを見て「うちは資本が厚い」と考えると、銀行が見る数字とは食い違います。
資産の中身が実態と違う
回収できない売掛金、売れる見込みのない在庫、使っていない設備が帳簿に残っていると、総資産は実態より大きく、純資産も実態より大きく見えます。金融機関によっては、こうした資産を除いて、実態に直した自己資本比率(実質の自己資本比率)で見ます。
そのため、自分で出した比率が20%でも、銀行が見る比率はもっと低いことがあります。回収できない売掛金を貸倒損失にできる要件は、別の記事で整理しています。
役員借入金の扱い
社長からの借入金は、帳簿では負債です。計算に入れる数字は、まず帳簿のままにします。返済の期日や返済の実績によっては、金融機関が資本に近いものとして見ることがありますが、扱いは金融機関ごとに違います。自分の判断で純資産に足して計算すると、銀行に出した資料と数字が合わなくなります。
役員借入金をいくら計上していて、返済の予定があるのかは、説明の材料として整理しておきます。
直近3期分の決算書と勘定科目内訳明細書をお持ちいただければ、帳簿の数字から実態に直す項目と、金融機関に伝わる実質の自己資本比率を一緒に確かめます。
銀行の自己資本比率との違いは?
結論: 銀行の自己資本比率は、銀行が守る規制の数字です。分母がリスク・アセットで、会社の自己資本比率とは計算も意味も別物です。
銀行自身の比率と最低水準
銀行の自己資本比率は、自己資本を、保有する資産のリスク量を表す数字(リスク・アセット)で割って出します。日本銀行の解説では、海外に営業拠点を持つ銀行は国際統一基準で8%以上、海外拠点を持たない銀行は国内基準で4%以上が最低水準です。両基準は算出の方法が異なり、数字を単純に比べることはできません。
銀行は預金を預かって貸し出す仕組みのため、事業会社とは分母の大きさも持つ資産の種類も違います。「銀行の自己資本比率が低い」と感じても、会社の比率と同じ物差しで良し悪しを決められません。
銀行が会社の比率を見る理由
銀行が会社の自己資本比率を見るのは、赤字が出たときにどこまで持ちこたえられるかを測るためです。純資産が厚い会社は、赤字が続いても債務超過(負債が資産を上回る状態)になるまでに時間があります。
ただし、この比率だけで融資が決まるわけではありません。収益力や返済の見込みとあわせて見られます。決算書のどこが見られるかは、次の記事にまとめています。
自己資本比率の業種別平均は?
結論: 令和6年度決算の中小企業(法人)の平均は44.93%です。業種で大きく開き、宿泊業,飲食サービス業の31.01%から、学術研究,専門・技術サービス業の66.86%まで幅があります。
業種別の平均
中小企業庁「令和7年中小企業実態基本調査」の令和6年度決算実績(第10-5表)では、産業大分類別の平均は次のとおりです。
| 産業 | 令和5年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| 法人企業全体 | 44.40% | 44.93% |
| 建設業 | 47.59% | 49.38% |
| 製造業 | 49.83% | 49.29% |
| 情報通信業 | 55.53% | 54.08% |
| 運輸業,郵便業 | 36.57% | 36.86% |
| 卸売業 | 43.54% | 43.70% |
| 小売業 | 36.02% | 39.43% |
| 不動産業,物品賃貸業 | 40.18% | 38.38% |
| 学術研究,専門・技術サービス業 | 65.59% | 66.86% |
| 宿泊業,飲食サービス業 | 16.00% | 31.01% |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 34.55% | 31.36% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 45.08% | 43.43% |
従業者の規模別の平均
令和6年度の全産業の平均を、常用雇用者の人数で分けると、5人以下が40.32%、6~20人が40.66%、21~50人が47.05%、51人以上が48.35%です。小さい会社ほど低い傾向があります。
平均の読み方
この平均は、黒字の会社も赤字の会社も合算して出した数字です。この数字に届いていないことが、直ちに問題を意味するわけではありません。設備を多く持つ運輸業や、店舗を構える宿泊・飲食業は、構造的に低く出やすくなります。
自社の数字は、同じ業種の平均、自社の過去3期、金融機関から示された水準の3つと並べて読みます。平均より低くても3期連続で上がっていれば、改善している会社として説明できます。
自己資本比率を上げる方法は?
結論: 自己資本比率を上げる方法は、純資産を増やすか、総資産を減らすかの2つです。利益を積み上げるのが本筋で、時間がかかります。
純資産を増やす
利益を出して利益剰余金を積み上げる方法と、増資で資本金を増やす方法があります。社長からの借入金を資本に振り替える方法(デット・エクイティ・スワップ)もありますが、手続きと税務の確認が先に要ります。
利益が現預金で残ると、純資産だけでなく総資産も同じ額だけ増えます。先の説明用の金額で、1年で300万円の利益が現預金として残ると、純資産は1,300万円、総資産は5,300万円になり、比率は24.5%です。利益の全額が比率を押し上げるわけではない点に注意してください。
総資産を減らす
使っていない資産を売る、在庫を減らす、回収した売掛金で借入を返す。いずれも総資産を減らし、比率を上げます。売掛金を回収しただけでは、売掛金が現預金に変わるだけで総資産は変わりません。借入の返済まですると、総資産が減ります。説明用の金額で、借入200万円を返すと総資産が4,800万円になり、比率は20.8%です。
返済で手元の現預金が減るため、資金繰りへの影響は先に確かめます。
決算期末だけ整える調整は避ける
決算の直前だけ借入を返して、期が明けたらまた借りる形は、翌期の資金繰りを苦しくします。3期分を並べれば不自然な動きとして見えるため、銀行への説明も難しくなります。
融資の見通しが立たないときの考え方は、次の記事にまとめています。
資金繰りと融資の全体像は、こちらです。
よくある質問
自己資本比率は何%あれば安全ですか?
自己資本比率がマイナスになることはありますか?
自己資本比率は高いほど良いのですか?
決算書のどこを見れば計算できますか?
まとめ:純資産÷総資産で出して同業と比べよう
- 自己資本比率は、貸借対照表の純資産を総資産で割り、100を掛けて求めます
- 「銀行の自己資本比率」は銀行が守る規制の数字で、会社の比率とは別物です
- 令和6年度の中小企業の平均は44.93%で、業種により31%台から66%台まで開きます
- 資本金と純資産の取り違え、資産の中身、役員借入金の扱いで、銀行が見る数字とずれます
- 上げる方法は、純資産を増やすか総資産を減らすかの2つです
決算書の自己資本比率を指摘された方、金融機関にどう説明するか迷っている方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近3期分の決算書と勘定科目内訳明細書を確認し、実態に合わせた比率の出し方と、説明に使う資料を整理します。
出典
- 中小企業庁「令和7年中小企業実態基本調査(令和6年度決算実績)」確報 調査の概況(第10-5表 自己資本比率〔産業大分類別・従業者規模別〕)
- 日本銀行「教えて!にちぎん」銀行の自己資本に関する国際統一基準(バーゼル合意に基づく基準)と国内基準の違いを教えてください。
- 日本銀行「教えて!にちぎん」バーゼル合意、バーゼルI、II、IIIとは何ですか? いわゆるBIS規制とは何ですか?
- e-Gov 法令検索「会社計算規則」(平成十八年法務省令第十三号)第76条





