協賛金の勘定科目は?寄附金との違いと仕訳の方法を解説

監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉

協賛金という勘定科目はなく、払った見返りによって広告宣伝費・交際費・寄附金のどれかに入れます。社名や広告が不特定多数の目に触れるなら広告宣伝費、取引先との付き合いなら交際費、見返りのない贈与なら寄附金です。区分が変わると、損金の額に算入できる範囲も消費税の扱いも変わります。この記事では、科目の決め方から消費税、仕訳の例までを、国税庁の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。

協賛金の勘定科目は何にする?

結論: 協賛金という勘定科目はありません。払った見返りで、広告宣伝費・交際費・寄附金のどれかに入れます。見返りがなければ寄附金です。

見返りで決まる3つの科目

協賛金は、イベントや活動に賛同して払うお金の呼び名にすぎず、法人税に協賛金という区分はありません。何の費用に当たるかで科目を決めます。

払った見返り 科目 法人税で損金の額に算入できる範囲 消費税
広告や社名の掲載など、不特定多数の人に見せる 広告宣伝費 全額 課税仕入れ
取引先など事業に関係のある人との付き合い 交際費等 中小法人は年800万円まで 見返りの役務があれば課税仕入れ。祝い金だけなら不課税
見返りのない贈与 寄附金 限度額まで 不課税

寄附金との違いは見返りの有無

寄附金は、金銭や物品などを贈与したり無償で与えたりしたときの、その金額や価額です(国税庁タックスアンサーNo.5262)。見返りを受け取っていれば無償ではなく、寄附金から除かれます。No.5262は、寄附金や拠出金などと呼ばれる支出でも、実態が交際費等・広告宣伝費・福利厚生費なら寄附金から除く、としています。

領収書に協賛金と書いてあっても区分は決まりません。逆に、広告料という名目で払っても、実態が特定の取引先との付き合いなら交際費等です。

協賛金の仕訳でよくある間違いは?

結論: 間違えやすいのは、祭りの協賛を広告宣伝費にする、寄附金を他の費用に混ぜる、消費税の扱いを取り違える、の3つです。間違えると、損金の額に算入できる額と納める消費税がずれます。

決算の直前に、数年分の協賛金が広告宣伝費や雑費に混ざっていたと気づいて、相談に来られる方が少なくありません。

祭りの協賛を広告宣伝費にする誤り

神社の祭礼等の寄贈金は、事業に直接関係のない者への金銭の贈与として、原則寄附金です(No.5262)。地域の祭りに毎年払う協賛金を、提灯に社名が載るからと広告宣伝費にしていると、寄附金として扱われたときに損金の額に算入できない部分が出て、法人税が増えます。見つかれば、修正申告で追加の税金を納めます。

寄附金を他の費用に混ぜる誤り

寄附金は、決算で限度額を計算します。他の費用に混ぜると、この計算に入らず、限度額を超えた部分まで経費にして、納める税金が足りなくなります。

消費税の課税仕入れの取り違え

見返りのない寄附金は、課税仕入れになりません。課税仕入れとして消費税を引くと、引きすぎた分を後から納めます。逆に、広告掲載の対価を課税仕入れにしていなければ、引けるはずの消費税を取りこぼします。

協賛の案内文書と前期までの処理をお持ちいただければ、広告宣伝費・寄附金・交際費のどれに当たるかと、消費税の扱いを確かめます。

勘定科目・仕訳は私たちにお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

広告宣伝費になる協賛金は?

結論: 不特定多数の人に向けた宣伝的な効果を意図した支出なら、広告宣伝費です。社名や商品が一般の来場者の目に触れる形かどうかが、判断の軸になります。

広告宣伝費の判断基準

租税特別措置法通達61の4(1)-9は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するものを広告宣伝費の性質を有するとして、交際費等に含めません。国税庁のタックスアンサーNo.5260も同じ整理で、一般消費者への景品の費用などを例に挙げています。協賛金は例に出てこないので、掲出物の中身で判断します。

市民マラソンの沿道の看板や、地域イベントのパンフレットへの広告など、一般の人の目に触れる掲出物が付く協賛が典型です。一方、措置法通達の注は、建築材料の製造業者にとっての建築業者などを一般消費者に当たらないとしています。建材メーカーが工務店向けの展示会に協賛する場合のように、買う相手が業者に限られる業種では、広告宣伝費として通しにくくなります。

広告宣伝費として処理できるかを順に見る
1

掲出物を確かめる
パンフレット、立て看板、横断幕、ウェブサイトなど、社名や商品が出る場所を案内文書で押さえる
2

見る人の範囲を確かめる
一般の来場者が見るのか、招待された関係者だけが見るのか。関係者だけなら不特定多数に当たりにくい
3

自社の客層と合わせる
自社の商品を買う相手が業者に限られるなら、その業者向けの掲出は一般消費者向けと認められにくい
4

資料を残す
掲出物の写真、当日のパンフレット、主催者の実施報告。支出額と掲出内容を結びつけておく

広告宣伝費と交際費等の枠

広告宣伝費は交際費等に含まれないため(措置法通達61の4(1)-1)、後で説明する年800万円の枠を使いません。掲載期間が事業年度をまたぐときは、広島国税局の文書回答事例(平成21年)が参考になります。国民体育大会の広告協賛について、総額を広告宣伝の期間で割り振って損金の額に算入して差し支えない、と回答しています。回答は照会された事実関係を前提にしたものです。

寄附金になる協賛金は?

結論: 見返りのない贈与は寄附金です。神社の祭礼等の寄贈金は原則寄附金で、損金の額に算入できる額には限度があります。

寄附金になる支出

事業に直接関係のない者に金銭を贈ったときは、原則寄附金です。国税庁のタックスアンサーNo.5262と措置法通達61の4(1)-2は、例として社会事業団体や政治団体への拠金と、神社の祭礼等の寄贈金を挙げています。町内会や自治会への協力金も、事業に直接関係のない者への金銭の贈与にあたるため、見返りの掲出物がなければ寄附金で考えます。

祭りの協賛は、渡す先と契約で区分が分かれます。神社への寄贈は寄附金が原則です。一方で、実行委員会や商工会と広告掲載の契約を結び、パンフレットや会場の看板に社名が出て、掲載の内容と金額が見合うなら、広告宣伝費として説明できる余地があります。

損金の額に算入できる限度額

一般の寄附金は、次の限度額までが損金の額に算入できます(国税庁タックスアンサーNo.5281)。

法人の区分 損金の額に算入できる限度額
普通法人など(資本金や出資金がある) (期末の資本金の額と資本準備金の額の合計額 × 当期の月数÷12 × 2.5/1,000 + 所得の金額 × 2.5/100)× 1/4
資本や出資を持たない法人など 所得の金額 × 1.25/100

資本金の額と資本準備金の額の合計が1,000万円、所得の金額が500万円、事業年度が12か月の会社なら、限度額は(1,000万円 × 12÷12 × 2.5/1,000 + 500万円 × 2.5/100)× 1/4 = 37,500円です(説明用の金額です)。限度額を超えた部分は、損金の額に算入できません。

別枠になる寄附先

特定公益増進法人への寄附金は、一般の寄附金とは別枠の限度額で損金の額に算入できます。公益社団法人・公益財団法人、社会福祉法人、一定の学校法人、日本赤十字社などが該当します(国税庁タックスアンサーNo.5283)。適用には、確定申告書に別表14(2)を添付し、相手が発行した証明の書類を保存します。神社への寄贈は、No.5283の一覧に宗教法人がないため一般の枠です。

交際費等になる協賛金は?

結論: 取引先など事業に関係のある人との付き合いのための協賛は、交際費等です。資本金1億円以下の法人は、年800万円までの枠か接待飲食費の50%のどちらかで損金の額に算入します。

交際費等にあたる協賛

交際費等は、得意先や仕入先など事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用です(国税庁タックスアンサーNo.5265)。協賛金という形でも、目的が特定の相手との関係を保つことなら、これにあたります。取引先が主催するゴルフコンペへの協賛や、周年パーティーへの祝い金が例です。参加者が取引先の関係者に限られていれば、社名が式次第に載っても、不特定多数への宣伝とは認められにくくなります。

損金の額に算入できる枠

期末の資本金の額が1億円以下の法人は、次の2つから有利なほうを選べます(租税特別措置法61条の4)。

  • 接待飲食費の50%を超える部分が、損金の額に算入できません
  • 年800万円(事業年度が12か月の場合)を超える部分が、損金の額に算入できません

多くの中小企業は、800万円の枠を使います。協賛金が交際費等に入るとこの枠を使うため、枠を使い切りそうな会社では、協賛金の区分が決算の数字を動かします。資本金が1億円を超える法人は、50%の計算だけです。800万円の枠は、令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象です。

協賛金の消費税はどう扱う?

結論: 消費税は、見返りの有無で決まります。法人税で交際費等になっても、見返りの役務を受けていれば課税仕入れです。控除には、適格請求書(インボイス)などが要ります。

見返りの有無による判定

消費税の課税の対象は、事業者が事業として対価を得て行う取引です。寄附金や補助金は、一般には対価と認められず、原則として課税の対象になりません(国税庁タックスアンサーNo.6105)。払う側も同じ線で考えます。社名の掲載や広告枠の提供といった役務を受けるための支払いは課税仕入れで、見返りのない贈与は課税仕入れになりません。

法人税の区分と結果が重なることは多いものの、物差しは別です。交際費等でも、祝い金だけで見返りの役務がなければ不課税です。領収書に消費税の表示があるかではなく、見返りの有無で判断します。

同業者団体の共同行事の負担金

同業者団体などの構成員が共同して行う宣伝や販売促進の費用を、主宰者が参加者から集める負担金は、主宰者にとって資産の譲渡等の対価です(消費税法基本通達5-5-7)。ただし、参加者ごとの負担割合が前もって決まっていて、主宰者が仮勘定として経理したときは、各参加者が負担割合に応じて課税仕入れを計上する扱いも認められています。精算書に費用の内訳と負担割合があるかを確かめます。

控除に要るインボイス

課税仕入れとして消費税を控除するには、原則として適格請求書の保存が要ります。主催者が適格請求書発行事業者でないときは、金額で控除の扱いが分かれます。

主催者が適格請求書発行事業者でないときの控除
税込1万円未満の支払い
少額特例で、インボイスがなくても一定の事項を書いた帳簿の保存だけで控除できる
基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象
令和5年10月1日から令和11年9月30日までの支払いが対象
税込1万円以上の支払い
経過措置の要件を満たせば、控除できる割合は令和8年10月1日から令和10年9月30日まで70%
その後は段階的に下がる
適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計が年1億円を超えた部分は、経過措置の対象外

少額特例の1万円は、1回の取引の合計金額(税込み)で判定します(国税庁「少額特例の概要」)。経過措置は、令和8年度税制改正で70%から始まる3段階に改められました(国税庁リーフレット「インボイス制度に関するお知らせ 令和8年度税制改正特集」)。

協賛金の仕訳と記録はどうする?

結論: 仕訳は、払った見返りの区分に合わせた科目で切ります。払う前に案内文書で見返りを確かめ、掲出の写真とあわせて残します。

区分ごとの仕訳

見返りごとの仕訳は次のとおりです(説明用の金額です。税抜経理の会社は、消費税を仮払消費税に分けます)。

協賛の内容 借方 貸方 消費税
パンフレットへの広告掲載の協賛金5万円を預金から払った 広告宣伝費 50,000 普通預金 50,000 課税仕入れ10%
神社の祭礼に寄贈金3万円を現金で渡した 寄附金 30,000 現金 30,000 不課税

支払う前に確認する3点

区分の材料は、支払いの前にしか集まりません。案内文書で、何を受け取るのか、誰の目に触れるのか、相手は誰か(実行委員会、神社、取引先、公益法人)の3点を先に押さえます。

残しておく資料

払ったあとは、案内文書、掲出されたパンフレットや看板の写真、主催者の実施報告を残します。金額の小さい協賛ほど資料が残らず、あとで説明できなくなります。

よくある質問

提灯に会社名が入るお祭りの協賛金は、広告宣伝費にできる?
神社の祭礼への寄贈金として払うなら、原則寄附金です。社名が提灯に入ることだけでは、原則は動きにくいところです。実行委員会などと広告掲載の契約を結び、掲載の内容と金額が見合うなら、広告宣伝費として説明できる余地があります。
協賛金という勘定科目を作ってしまった。作り直したほうがいい?
科目名は会社が決められますが、申告では広告宣伝費・交際費等・寄附金へ分ける作業が残ります。科目を残すなら、補助科目でこの3つに分けておくと、決算の手間が減ります。
個人事業主の協賛金は、経費になる?
屋号が看板やパンフレットに載るなど、事業の宣伝になる協賛は、広告宣伝費として必要経費になります。事業と関係のない寄附は家事上の経費で、必要経費になりません(国税庁タックスアンサーNo.1350)。国や地方公共団体などへの特定寄附金に当たるなら、所得控除の寄附金控除で扱います(No.1150)。

まとめ:見返りで区分を決めよう

  • 協賛金という勘定科目はなく、払った見返りで広告宣伝費・交際費等・寄附金のどれかに入れます
  • 神社の祭礼等の寄贈金は原則寄附金で、損金の額に算入できる額に限度があります
  • 消費税は、見返りの役務を受けたかで判定し、控除には適格請求書などが要ります

祭りや地域行事への協賛を、広告宣伝費と寄附金のどちらにするか迷っている方、過去の協賛金の区分と消費税の処理を見直したい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。直近の決算書と協賛の案内文書を確認し、区分と限度額、消費税の処理を整理します。

勘定科目・仕訳は私たちにお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

出典

  • 国税庁 タックスアンサー No.5260、No.5262、No.5265、No.5281、No.5283
  • 国税庁 タックスアンサー No.6105、No.1150、No.1350
  • 国税庁 租税特別措置法関係通達(法人税編)第8章
  • 国税庁 消費税法基本通達 5-5-7「共同行事に係る負担金等」
  • 国税庁「少額特例の概要」、リーフレット「インボイス制度に関するお知らせ 令和8年度税制改正特集」
  • 広島国税局 文書回答事例(第66回国民体育大会等の協賛者の費用)
  • e-Gov法令検索「租税特別措置法」第61条の4

この記事の監修者

中村 清誉

中村 清誉

税理士法人Light UP 代表社員(税理士)

近畿税理士会 尼崎支部 登録番号 5957(税理士法人Light UP)

2013年に税理士事務所を創設。2019年からは会計・コンサルティング・M&Aの支援へ業務を広げ、現在は職員70名の体制で中小企業の税務と経営を支えています。

事務所概要を見る

勘定科目・仕訳の記事

更新日 2026年10月17日
仮払金とは?決算で残ったときの仕訳と立替金との違いを解説
更新日 2026年10月16日
未払金と未払費用の違いとは?決算の仕訳と使い分けを解説
更新日 2026年10月14日
固定資産税の勘定科目は租税公課|経費にする時期と仕訳の方法
更新日 2026年10月14日
駐車場代の勘定科目と仕訳の方法|更新料・消費税の扱いまで解説
勘定科目・仕訳をすべて見る