中古車の耐用年数は何年?減価償却の計算方法を年落ち別に解説
監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉
中古車の耐用年数は、新車の法定耐用年数(国が車の種類ごとに決めた年数。普通車は6年、軽自動車は4年)をそのまま使わず、経過年数から計算します。式は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で、1年未満の端数は切り捨て、2年に満たなければ2年です。普通車の4年落ちなら2.8年で2年、軽自動車の4年落ちは法定耐用年数の全部を経過しているため2年になります。この記事では、年落ち別の早見表、間違えやすい点、1年目に経費にできる額、40万円未満の特例、事業に使っている説明を、国税庁の公表資料と法令(2026年10月時点)に沿って整理します。
中古車の耐用年数は何年?
結論: 普通車の中古は、経過1年3か月以内で5年、3年10か月を超えると2年です。軽自動車の中古は、経過1年3か月以内で3年、それを超えると2年になります。
年落ち別の早見表
経過年数ごとの耐用年数は次のとおりです。普通車は法定耐用年数6年、軽自動車は4年で計算しています。
| 初度登録から取得までの期間 | 普通車 | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 1年3か月以内 | 5年 | 3年 |
| 1年4か月〜2年6か月 | 4年 | 2年 |
| 2年7か月〜3年9か月 | 3年 | 2年 |
| 3年10か月以上 | 2年 | 2年 |
新車の法定耐用年数
計算の出発点は、国が決めた新車の法定耐用年数です。減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一(車両及び運搬具)で、主な区分は次のとおりです。
- 一般の乗用車:6年
- 小型車(総排気量0.66リットル以下。軽自動車):4年
- 貨物自動車:ダンプ式のものは4年、その他は5年
- 運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用:3〜5年(車の大きさで分かれる)
簡便法の計算式
中古車は、あとどれだけ使えるかを見積もるのが難しいため、法定耐用年数から計算する簡便法で年数を出します。省令3条1項2号が定める式は2つです。
- 法定耐用年数の全部を経過している車:法定耐用年数×20%
- 一部を経過している車:(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%
計算結果の1年未満の端数は切り捨て、2年に満たなければ2年とします(国税庁タックスアンサーNo.5404)。
普通車を4年落ちで買った場合は、(6−4)+4×0.2=2.8年で、切り捨てて2年です。軽自動車の4年落ちは4×0.2=0.8年で、2年未満のため2年になります。
耐用年数の計算でよくある間違いは?
結論: 間違えやすいのは、経過年数の数え方、簡便法を決める時期、改造費が大きいときの扱いの3つです。どれも、償却できる年数と毎年の経費の額がずれます。
決算で中古車の償却費が合わないと気づいて、相談に来られる方が少なくありません。原因は、車検証の日付の読み違いか、簡便法を使わずに新車と同じ年数で償却していたことが多くあります。
経過年数を年式で数えてしまう
経過年数は、新車として使われ始めた時から、買って事業に使い始めるまでの期間です。実務では車検証の初度登録年月を目安にします。年式や車検を通した年で数えると、境目の月でずれます。
普通車で初度登録から3年9か月なら、(6−3.75)+3.75×0.2=3.0年で3年です。1か月違いの3年10か月だと2.93年で、端数を切り捨てて2年になります。月数まで入れて計算します。
簡便法を使い始めた期に決めていない
簡便法を使うかどうかは、事業に使い始めた事業年度の決算で決めます。その事業年度で算定しなかった場合、後の事業年度で簡便法に切り替えることはできません(耐用年数通達1-5-1、国税庁タックスアンサーNo.5404)。
簡便法は選ばなければ使えない計算です。新車と同じ年数で償却を始めると、後から短くできません。
改造費が大きいと簡便法が使えない
中古車を事業に使うために改造や設備の取付けをして、その金額が車の取得価額の50%を超えると、簡便法は使えません。冷凍設備の取付けや車体の架装など、資本的支出(価値や耐久性を高める支出)が対象です。通常の整備や部品の交換は、価値を高める工事ではなく修繕費にあたるため、この判定に入りません。
さらに、改造の金額が、同じ車を新車で買う場合の価額(再取得価額)の50%を超えると、見積りも簡便法も使えず、新車と同じ法定耐用年数になります(耐用年数通達1-5-2、法人の場合)。取得価額の50%を超えても再取得価額の50%以内なら、使える期間の見積りか、国税庁が認める算式で年数を出します。
車検証の写しと購入の契約書(改造があれば見積書)をお持ちいただければ、経過年数の数え方、簡便法が使えるか、使い始めた事業年度の耐用年数を一緒に確かめます。
1年目に経費にできる額は?
結論: 耐用年数2年の定率法の償却率は1.000、定額法は0.500です。1年目に経費にできる額は、使い始めた月からの月割りと、償却方法で決まります。
償却方法ごとの償却率
減価償却費は「取得価額×償却率」で計算します。償却率は耐用年数ごとに省令の別表で定められています。中古車で出やすい2〜5年は次のとおりです。
| 耐用年数 | 定率法の償却率 | 定額法の償却率 |
|---|---|---|
| 2年 | 1.000 | 0.500 |
| 3年 | 0.667 | 0.334 |
| 4年 | 0.500 | 0.250 |
| 5年 | 0.400 | 0.200 |
定率法の償却率は、平成24年4月1日以後に取得した資産に使う率です(省令別表第八・別表第十)。
使い始めた月で変わる1年目の額
事業に使い始めた月から決算月までの月数を12で割って掛けます(国税庁タックスアンサーNo.2106)。取得価額120万円、耐用年数2年の場合は次のとおりです(説明用の金額です)。
| 使い始めた時期 | 定率法(1.000) | 定額法(0.500) |
|---|---|---|
| 期首から使い始めた(12か月分) | 1,199,999円 | 600,000円 |
| 決算の6か月前に使い始めた | 600,000円 | 300,000円 |
| 決算の1か月前に使い始めた | 100,000円 | 50,000円 |
定率法の12か月分が120万円にならないのは、取得価額から1円を引いた額までしか償却できないためです。この1円は備忘価額といい、帳簿に残ります。
法人と個人事業主で原則の方法が違う
届出をしなければ、法人の車は定率法、個人事業主の車は定額法で計算します(法人税法施行令53条、所得税法施行令125条)。同じ車でも、1年目の経費は法人の方が大きくなりやすい計算です。
償却方法は、車両運搬具のように資産の種類ごとに選びます。すでに車を定額法で償却している会社は、新しく買った車も同じ種類として定額法です。同じ種類のまま方法を変えるには、届出でなく変更の承認申請が要ります(国税庁C1-33、C1-38、A1-18)。
40万円未満の中古車なら全額経費にできる?
結論: 取得価額が10万円未満なら全額を費用にできます。中小企業者等なら、40万円未満の車も年300万円まで全額を費用にできます(令和8年4月1日以後の取得)。
金額ごとの処理
取得価額に応じて、次の処理が選べます。
| 取得価額 | 処理 |
|---|---|
| 10万円未満 | 取得した事業年度に全額を費用にする |
| 10万円以上20万円未満 | 通常の減価償却か、3年で均等に償却する一括償却資産 |
| 20万円以上40万円未満 | 通常の減価償却か、中小企業者等の少額減価償却資産の特例 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却(簡便法で耐用年数を出す) |
取得価額は、購入代金に事業に使うための費用を加えた額です(国税庁タックスアンサーNo.2106)。判定は、税抜経理なら税抜、税込経理なら税込の金額です。
特例を使う条件
特例を使えるのは、青色申告をする中小企業者(基本は資本金1億円以下の法人)などで、常時使用する従業員が400人以下の法人です。青色申告の個人事業主も、同じ考え方で使えます。
使うには、事業に使い始めた事業年度に取得価額を損金経理(費用として帳簿に載せること)し、確定申告書に明細書(別表16(7))を付けます。1事業年度の合計は300万円までです。中古の資産も対象で、貸付けに使う資産は除かれます(国税庁タックスアンサーNo.5408)。
40万円という金額は、令和8年4月1日以後に取得した資産から適用されます。3月31日までに取得した車は、30万円未満のままです。
事業に使っていることはどう示す?
結論: 減価償却が始まるのは、事業に使い始めた日からです。使用の記録を残し、私的に使う部分があれば分けて処理します。
償却の起点は使い始めた日
納車された日でなく、事業に使い始めた日が起点です。使い始めが翌期なら、決算の直前に買ってもその期の償却費はありません。納車が遅れて期をまたぐこともあるため、期末近くの購入は使い始めの時期を確かめておきます。
運行記録を残す
高額な車では、事業に使っているかの説明を求められることがあります。運行日報、訪問先の記録、走行距離が材料になります。
私的に使う部分は分ける
個人事業主が事業と私用の両方に使うときは、走行距離や使用日数など合理的な基準で按分します。
法人では、社長が私的に使う分は、会社が社長に与えた経済的な利益にあたり、役員給与として扱われます。毎月おおむね一定の額の継続的な利益でなければ、損金の額に算入できません(国税庁タックスアンサーNo.5211)。社用車を休日に自宅で使うときは、走行の記録で社用と私用を分けておきます。
よくある質問
4年落ちの中古車は1年で全額経費にできる?
軽自動車の中古の耐用年数は?
10年落ちの中古車の耐用年数は?
中古車に簡便法を使わず、新車と同じ年数で償却してもいい?
まとめ:年落ちと使い始めの時期から確かめよう
- 中古車の耐用年数は、(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%で計算し、端数は切り捨てて、2年に満たなければ2年です
- 普通車の4年落ちは2年、軽自動車は経過1年3か月を超えると2年です
- 簡便法は、事業に使い始めた事業年度の決算で決めます
- 1年目の経費は、使い始めた月からの月割りと、定率法か定額法かで変わります
- 取得価額が40万円未満なら、中小企業者等は少額減価償却資産の特例で全額を費用にできます
購入を決める前の方や、すでに使い始めた車の耐用年数を見直したい方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。初度登録年月と取得価額、改造の有無を確認し、簡便法で出る年数と1年目の償却費を整理します。
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」
- 国税庁 No.5404 質疑応答「取得した中古資産を業務に使用するためにその取得価額の50%に相当する金額を超える資本的支出を行った場合」
- 国税庁 耐用年数の適用等に関する取扱通達 1-5-1〜1-5-6「中古資産の耐用年数」
- e-Gov 法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」第3条、別表第一、別表第八、別表第十
- e-Gov 法令検索「法人税法施行令」第53条、「所得税法施行令」第125条
- 国税庁 タックスアンサー No.2106「定額法と定率法による減価償却」
- 国税庁 タックスアンサー No.5403「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入」
- 国税庁 タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
- 国税庁 タックスアンサー No.5211「役員給与の取扱い」
- 国税庁 手続案内 C1-33「減価償却資産の償却方法の届出」、C1-38「減価償却資産の償却方法の変更の承認の申請」、A1-18「所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続」





