固定資産税の勘定科目は租税公課|経費にする時期と仕訳の方法

監修税理士法人Light UP 代表社員(税理士) 中村 清誉

固定資産税の勘定科目は租税公課(税金や公的な負担金をまとめて入れる科目)です。事業に使う土地・建物・機械に係る分は、法人なら損金(法人税の計算で認められる経費)に、個人事業主なら必要経費にできます。迷いやすいのは科目ではなく、どの事業年度の経費にするかと、決算日に払っていない分をどう仕訳するかの2つです。この記事では、場面ごとの仕訳、経費にする時期、決算でつまずきやすい点、売買時の精算金、償却資産の申告を、国税庁・総務省の公表資料(2026年10月時点)に沿って整理します。

固定資産税の勘定科目と仕訳は?

結論: 固定資産税の勘定科目は租税公課で、仕訳の相手は未払金か預金です。納税通知書を受け取った日に計上するか、払った日に計上するかで、借方に租税公課が立つ日が変わります。

租税公課で処理する税金

租税公課は、損益計算書では販売費及び一般管理費に表示する科目です。固定資産税のほか、都市計画税、自動車税、印紙税、事業所税が入ります。機械や器具備品に係る固定資産税(償却資産税)も同じ科目で、土地建物の分と分ける必要はありません。

同じ税金でも、法人税・地方法人税・法人住民税は租税公課に入れません。利益に課される税金は「法人税、住民税及び事業税」で処理します。納付書の税目で見分けます。

借りている物件の固定資産税は、所有者である家主が納めます。借りている側が払う家賃や、契約で別に請求される固定資産税相当額は、地代家賃です。

場面ごとの仕訳の早見表

年税額200,000円、年4回の納付(1回50,000円)の例です(説明用の金額です)。選ぶ方法で、仕訳の日が変わります。

場面 借方 貸方
納税通知書を受けた日に年税額を計上する方法:通知を受けた 租税公課 200,000 未払金 200,000
同じ方法:第1期分を納付した 未払金 50,000 普通預金 50,000
各納期の開始日に計上する方法:第1期の納期が始まった 租税公課 50,000 未払金 50,000
同じ方法:第1期分を納付した 未払金 50,000 普通預金 50,000
納付した日に計上する方法:第1期分を納付した 租税公課 50,000 普通預金 50,000

どの方法でも、1年間の租税公課の合計は200,000円です。違うのは入る事業年度です。

固定資産税の処理でよくある間違いは?

結論: 間違えやすいのは、経費にする時期を毎期変える、通知前に費用を立てる、口座振替で費用が二重になる、未払費用で処理する、の4つです。どれも、利益と納める税金の額がずれます。

経費にする時期を毎期変える

利益が多い期は全額を計上し、少ない期は払った分だけを計上する。こうして年ごとに方法を変えると、期ごとの租税公課の額が実態と関係なく動きます。前の期と比べられなくなり、利益を調整したと見られかねません。

方法を変えた年は、損金が一時的に増えるか減ります。変えるのは、保有する不動産が増えたなど、実態が変わったときだけにします。

通知前に費用を立てる

決算日の時点で納税通知書を受け取っていないと、その年度の税額は確定していません。見込みで租税公課を立てると、翌期の経費を先に落としたことになります。

口座振替の引き落としで費用が二重になる

未払金に計上済みの分が口座振替で引き落とされたときは、未払金の取り崩しです。通帳の摘要だけを見て租税公課で起票すると、同じ税金が二重に費用になります。

防ぐには、計上した金額と納期の一覧を残し、引き落としのたびに突き合わせます。

未払費用で処理する

決算日に払っていない固定資産税は、未払金で処理します。未払費用は、家賃や利息のように、継続して受けるサービスに対する未払いに使う科目です。固定資産税は納税通知書で金額と納期が決まった債務なので、未払金です。

納税通知書と、租税公課・未払金の総勘定元帳(科目ごとの取引の一覧)をお持ちいただければ、経費にする時期のそろい具合と、未払金の残高のずれを一緒に確かめます。

毎月の記帳はまるごとお任せください。税理士法人Light UP の無料相談のご案内です。

固定資産税はいつの事業年度の経費になる?

結論: 原則は、賦課決定(市町村が税額を決めて納税通知書で知らせること)のあった事業年度です。納期の開始日または納付日の事業年度に損金経理(決算書の費用に入れること)をすれば、その事業年度になります。

原則と、選べる2つの時期

国税庁のタックスアンサーNo.5300は、固定資産税のような賦課課税方式の税金について、「賦課決定のあった事業年度」を原則としています。ただし「納期の開始の日の属する事業年度または実際に納付した日の属する事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度」になると定めています(令和8年4月1日現在法令等)。

そのため、経費にする時期は次の3つから選べます。納期の開始日や納付日を選ぶなら、その事業年度に費用として帳簿へ入れていることが前提です。

方法 損金にする事業年度 決算日に払っていない分
賦課決定日で全額 納税通知書で税額が決まった事業年度に、年税額の全額 未払金に計上する
納期の開始日ごと 各納期の開始日が属する事業年度に、その納期の分 決算日までに納期が始まった分だけ、未払金に計上する
納付した日 実際に納付した事業年度に、納付した分 計上しない

賦課期日、通知、納期の関係

固定資産税の賦課期日(税額を決める基準の日)は、毎年1月1日です。1月1日に所有者として登記や登録がされている人が、その年度の1年分の納税義務者になります(地方税法343条・359条)。

納税通知書は、遅くとも納期限の10日前までに納税者へ交付する決まりです(同法364条)。納期は4月・7月・12月・2月が標準で、市町村の条例で定めます(同法362条)。

1月1日から決算までの流れ
1

1月1日に所有者が決まる
この日の所有者が納税義務者になる
2

納税通知書を受け取る
納期の10日前までに市町村から交付される。ここで年税額が決まる
3

年4回の納期に分けて払う
標準の納期は4月・7月・12月・2月
4

決算日に払っていない分を確かめる
通知を受けていて未納の期があれば、選んだ方法に沿って処理する

決算月によって、同じ方法でも結果が変わります。3月決算の会社は、標準の納期の4回がすべて同じ事業年度に収まるため、どの方法でも年税額が1期に入ります。12月決算の会社は、第4期(2月)が翌事業年度です。納期の開始日ごとや納付した日の方法を選ぶと、第4期の分は翌期の損金に入ります。

不動産を売買したときの精算金はどう処理する?

結論: 年の途中で不動産を売買したとき、買主が売主に払う固定資産税の精算金は租税公課ではありません。買主は取得価額に含め、売主は譲渡収入に含めます。

精算金が税金の支払いではない理由

固定資産税の納税義務者は、1月1日の所有者です。年の途中で売買しても、その年度の納税義務は売主に残り、買主には移りません。買主が払う精算金は、納税義務に基づく支払いではなく、合意に基づく支払いです。

国税庁の質疑応答事例(令和7年8月1日現在)は、個人が賃貸用アパートを買ったときに払った清算金を、購入代価の一部として取得価額に算入すると回答しています。法人も、取得価額は購入の代価に購入のために要した費用を加えた金額なので(法人税法施行令54条)、同じ扱いです。

買主と売主の処理

買主 売主
払った・受け取った精算金 土地・建物の取得価額に含める。建物の分は減価償却で費用になり、土地の分は償却しない 土地・建物の譲渡収入に含める
消費税 建物に対応する分は課税仕入れ 建物に対応する分は課税売上げ。土地に対応する分は非課税

売主が受け取る精算金は、国税庁の質疑応答事例(令和7年8月1日現在)で、譲渡所得の収入金額に算入するとされています。租税公課のマイナスにすると、譲渡の損益が正しく出ません。

消費税は、国税庁の質疑応答事例「未経過固定資産税等の取扱い」が、買主が分担する金銭を不動産の譲渡対価の一部として課税の対象と回答しています(消費税法基本通達10-1-6)。土地の譲渡は非課税なので、土地に対応する分は非課税、建物に対応する分が課税です。

償却資産に係る固定資産税はどう申告する?

結論: 償却資産の固定資産税は、所有者が毎年1月1日現在の資産を、1月31日までに市町村へ申告します。課税標準額の合計が免税点未満なら課税されませんが、申告は必要です。

申告の対象と期限

土地と家屋は、市町村が登記簿などで把握するため、申告は要りません。償却資産は、所有者が申告しなければ把握されません。地方税法383条は、償却資産の所有者に、毎年1月1日現在の資産について、取得時期や取得価額などを、1月31日までに資産の所在地の市町村長へ申告するよう定めています。

償却資産は、事業に使う土地・家屋以外の資産のうち、減価償却費が法人税や所得税の計算で費用に入るものです。機械、器具備品、看板、内装工事や建築設備が当たります。取得価額が10万円未満で全額を損金に入れた物と、一括償却資産として3年で償却している物は、対象から除かれます(地方税法施行令49条)。少額減価償却資産の特例で全額を損金に入れた物は、対象に残ります。

賃借人が事業のために取り付け、家主の所有になった内装や設備も、取り付けた人の申告対象になる場合があります(地方税法343条)。

免税点は150万円、令和9年度分以後は180万円

同じ市町村にある自分の償却資産の課税標準額の合計が150万円に満たなければ、固定資産税は課されません(地方税法351条)。これを免税点といいます。償却資産の課税標準額は、取得価額ではなく、賦課期日の価格(評価額)です。

令和8年度の税制改正で、令和9年度分以後は、償却資産の免税点が180万円に、家屋の免税点が20万円から30万円に引き上げられます(総務省「固定資産税の概要」)。令和8年度分までは150万円のままです。

帳簿の簿価とは一致しない

償却資産の評価額は、取得価額から取得後の経過年数に応じた減価分を引いて求めます。評価額の最低限度は取得価額の5%です(総務省「固定資産税の概要」)。法人税や所得税の減価償却とは別の計算なので、帳簿の簿価が1円になっても、評価額はゼロになりません。

土地・家屋と償却資産で違うところ
土地・家屋
市町村が登記簿などで把握し、申告は要らない
評価額は原則3年ごとに見直される
免税点は土地30万円、家屋20万円(令和9年度分以後は家屋30万円)
償却資産
所有者が1月1日現在の資産を1月31日までに申告する
取得価額から経過年数に応じて評価額が下がる
免税点は150万円(令和9年度分以後は180万円)

個人事業主の固定資産税はどう処理する?

結論: 個人事業主も租税公課で処理し、事業に使う分を必要経費にします。自宅の一部を事務所にしているときは、事業に使う分だけです。

必要経費になる時期

国税庁のタックスアンサーNo.2215は、原則を、その年12月31日までに納付すべきことが具体的に確定した年分としています。固定資産税のように納期が分かれている税は、各納期の開始日の属する年分、または実際に納付した日の属する年分の必要経費にもできます(令和8年4月1日現在法令等)。

第4期分(納期が翌年2月)は、原則として賦課決定を受けた年分の必要経費で、翌年分にもできます。個人は暦年(1月から12月)で判定するため、決算月による違いはありません。

自宅兼事務所の按分

店舗併用住宅の固定資産税のように、家事上と業務上の両方にかかわる費用は、業務に直接必要だったことが明らかに区分できる金額だけが必要経費です(国税庁タックスアンサーNo.2210)。事務所の床面積の割合で按分するのが一般的です。按分の基準は記録に残し、毎年同じ基準を使います。

よくある質問

都市計画税の勘定科目は何?
固定資産税と同じ租税公課です。固定資産税とあわせて賦課され、経費にする時期の考え方も同じです。
土地の固定資産税も経費になる?
事業に使う土地なら経費になります。土地は減価償却をしませんが、毎年の固定資産税は租税公課です。
免税点未満なら、償却資産の申告はしなくていい?
申告は必要です。令和9年度分以後は免税点が180万円になりますが、申告が必要な点は変わりません。

まとめ:科目は租税公課、迷うのは時期

  • 固定資産税の勘定科目は租税公課です。都市計画税も償却資産税も同じ科目で処理します
  • 経費にする時期は、賦課決定の事業年度が原則です。納期の開始日または納付日の事業年度に損金経理をすれば、その事業年度になります
  • 決算日に払っていない分は未払金で処理し、口座振替の引き落としで費用を二重にしません
  • 年の途中で売買したときの精算金は租税公課ではなく、買主は取得価額に、売主は譲渡収入に含めます
  • 償却資産は1月31日までに申告します。免税点未満でも申告は必要です

決算のたびに固定資産税の処理で迷う方、過去の処理が期ごとにばらついている方は、税理士法人Light UPの無料相談をご利用ください。納税通知書と直近の決算書を確認し、経費にする時期の方法を決めて、今期の未払金を整理します。

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出典

  • 国税庁 タックスアンサー No.5300「租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁 タックスアンサー No.2215「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁 質疑応答事例「賃貸用アパートを購入した際に支払った固定資産税及び都市計画税相当額の清算金の取扱いについて」(令和7年8月1日現在)
  • 国税庁 質疑応答事例「未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合」(令和7年8月1日現在)
  • 国税庁 質疑応答事例「未経過固定資産税等の取扱い」(消費税・令和7年8月1日現在)
  • 総務省「固定資産税の概要」
  • e-Gov 法令検索「地方税法」(第343条、第351条、第359条、第362条、第364条、第383条)、「地方税法施行令」(第49条)、「法人税法施行令」(第54条)

この記事の監修者

中村 清誉

中村 清誉

税理士法人Light UP 代表社員(税理士)

近畿税理士会 尼崎支部 登録番号 5957(税理士法人Light UP)

2013年に税理士事務所を創設。2019年からは会計・コンサルティング・M&Aの支援へ業務を広げ、現在は職員70名の体制で中小企業の税務と経営を支えています。

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